LPレコードと私

【私のオーディオ歴】

移り気な性格からか、人並み以上に多趣味と自負しているにも拘わらず、これぞと誇れるものがないのは残念だが、凝り性な面もあって、とことん拘って来たのが、オーディオの趣味である。
生業のためかなりの中断期間があったが、この趣味は高校生の時から始まり、足掛け数十年続いている。これまでに真空管アンプ、レコード・プレーヤー、特注スピーカー・ボックスなど数セット分は自作、或いは購入し、グレードアップを重ねてきた。

ほぼ二十年前にアンプが故障し放置していたのだが、昨年家 改築完成を機にアンプとCDプレーヤーを買い直し、少なからず手を加えこの趣味を再開した。残っていた500枚近い古いLPレコードから聞く予想外の音に感激し、楽しんでいる。因みにLPレコードは1980年代始めにはCDに替わり、ほぼ生産を終了している。


【LPとCD】

近頃“アナログ・レコード”と言う言葉を聞くが、現在のCD(デジタル録音)に対し名付けられた当時のLPレコードの事である。
CDは音の波形を細分化、数値化し記録したものである。細かく分解する程波形は正確になるが、再生するには数値の切り替えが必要で、この時高い周波数の雑音を生ずるので、ローパス・フィルターを通してカットしている。
これに対しLPレコードは音の波形をそのまま溝に刻んだもので、この様な加工はなく微少とはいえこの聞こえないはずの高域成分が人間の耳に影響するのではないかという説がある。確かにLPレコードは盤面の傷など拾い雑音は多いが、我々はこんな雑音を常に排除し、容易に聞きたい音のみを選別する訓練をしている。

CDとLPとどちらの音が良いかというと理屈はともかく私は後者を採る。
今回“Super Audio CD”と称する最新規格のCDプレーヤーも購入し、対応するCDも何枚か試聴したが、状態の良いLPの方が心地良いと感じた。「アナログ・レコードの方が、特に高齢者に支持者が多い。」とオーディオ関係者から耳にした。最近新聞で読んだ記憶があるが、LPレコードが見直され、復活の兆しがあるという。新譜も発売されている。


【音のグレードアップ手法の数々】

機器も複雑、高級になった面もあうが、市場が小さいせいか、若い頃経験した機器と比較し、その価格上昇には驚くものがある。確かに高価なもの程それなりに音が良いのは当然だが、それだけでは十分でなく、一寸した工夫の数々が再生音質の向上に大きく影響するのは確かで、この成果がこの趣味の醍醐味でもある。

●カートリッジ、アーム、ターンテーブル
カートリッジはレコードの音溝を電気信号に変換する重要な入口である。取り扱う信号が1mV以下と非常に小さく、雑音の混入を防ぐ細心の注意が必要だ。高級な装置ではMC(ムービング・コイル)型が一般的である。針先はあくまで動き易く、支持部は動かないのが理想であるが、この支持の役目をするのがトーン・アームであり、同時に回転する音溝に対して正確にトレースするための補正機構も有する中々重要なパーツである。高級である程その機構は複雑高価である。ターンテーブルは回転むらが少なく、振動の少ないのが理想である。

●アンプ(増幅器)
カートリッジの微少信号を、スピーカーを鳴らすパワーまで増幅する機器である。出力も色々、価格も千差万別、各社特色を出そうと競い合っており、選択には苦労する。現在ほとんどの製品はトランジスター、FETなど半導体を使ったものが多いが、未だに真空管を使用したものもあり、結構人気がある。

●スビーカー
重要なコンポーネントである。円錐(コーン)に接着されたコイルが強い磁場の中で振動する、いわゆるダイナミック・スピーカーが一般的である。コーンは紙を中心に種々の素材、形状が工夫されているが、理想的な素材はないので、周波数帯域を2、3に分け、振幅の大きい低域は大口径、高域は小口径のスピーカーを組み合わせて使い、2Way、3Wayなどと呼ぶ。特に高域スビーカーにおいては振動板にホーン(円錐形のラッパ)を付け、空気中への輻射効率を高めることも良く行われている。機器も複雑、高級になった面もあうが、市場が小さいせいか、若い頃経験した機器と比較し、その価格上昇には驚くものがある。確かに高価なもの程それなりに音が良いのは当然だが、それだけでは十分でなく、一寸した工夫の数々が再生音質の向上に大きく影響するのは確かで、この成果がこの趣味の醍醐味でもある。

●カートリッジ、アーム、ターンテーブル
カートリッジはレコードの音溝を電気信号に変換する重要な入口である。取り扱う信号が1mV以下と非常に小さく、雑音の混入を防ぐ細心の注意が必要だ。高級な装置ではMC(ムービング・コイル)型が一般的である。針先はあくまで動き易く、支持部は動かないのが理想であるが、この支持の役目をするのがトーン・アームであり、同時に回転する音溝に対して正確にトレースするための補正機構も有する中々重要なパーツである。高級である程その機構は複雑高価である。ターンテーブルは回転むらが少なく、振動の少ないのが理想である。

●アンプ(増幅器)
カートリッジの微少信号を、スピーカーを鳴らすパワーまで増幅する機器である。出力も色々、価格も千差万別、各社特色を出そうと競い合っており、選択には苦労する。現在ほとんどの製品はトランジスター、FETなど半導体を使ったものが多いが、未だに真空管を使用したものもあり、結構人気がある。

●スビーカー
重要なコンポーネントである。円錐(コーン)に接着されたコイルが強い磁場の中で振動する、いわゆるダイナミック・スピーカーが一般的である。コーンは紙を中心に種々の素材、形状が工夫されているが、理想的な素材はないので、周波数帯域を2、3に分け、振幅の大きい低域は大口径、高域は小口径のスピーカーを組み合わせて使い、2Way、3Wayなどと呼ぶ。特に高域スビーカーにおいては振動板にホーン(円錐形のラッパ)を付け、空気中への輻射効率を高めることも良く行われている。
またスピーカーを収納するスピーカー・ボックスは重要な役目があり、人の感覚に直接訴える楽器のような要素を持つ。前二者のように測定器などではとても性能評価はできず、好みもあり自分の耳が頼りである。またアンプ並びに部屋との相性も重要で、試聴を重ね慎重に選択するのは当然であるが、完全ではないので、購入後試行錯誤により小改善を積み重ね、理想の姿に近づけるセッティングが必要で、その効果も大きく、この趣味の醍醐味でさえある。スビーカーは性能、価格差が大きく重要部分であるが、他コンポーネント価格との極端なアンバランスは良い結果を生まない。


【再開後手を加えた項目】

●AC電源強化
今回実施した中で効果を実感した一つが機器AC電源強化である。改築時意図して近くに200Vコンセントを設け、オーディオ機器専用の200−100Vトランスを設置、電源コード、テーブルタップも金を掛け、容量のあるものにした。考えて見るとアンプは、スビーカーにエネルギーを供給するものであり、そのエネルギー源はAC電源である。その強化は音波の急激な変化を支える大事なものであることに気が付いた。特に低域の音の立ち上がりが良く、力強くなり安定感が増した。

●接続ケーブル類
各コンポーネントを結ぶケーブル類も重要といわれている。無酸素銅、銀線など導線材料、束線の構成など多様な製品があり宣伝されている。効果大と思える体験もしており、全く無視もし難いが、結構高価なだけに真偽の判断に苦労する。

●セッティング
プレーヤー廻りは先に書いたように微少信号を取り扱うので、雑音の混入を防ぐAC電源の極性、アースの取り方及びコンポーネントの配置を色々試してみる必要がある。また外部からの振動が直接雑音になるので、がっちりした支持台が必要。振動を絶縁する部品もある。試行錯誤により採用したい。
スピーカーのセッティング(位置、スタンドなど)も音に影響する。

●その他
a.レコードの保守は再生音に直接影響するので注目したい。レコードの埃を取るのにベルベット製クリーナーを使用していたが、むしろ静電気で埃を吸い寄せ良くない、と当時から言われていた。更に長期ではカビも発生し雑音源となる。
今回LPレコード用の洗浄機を購入した。レコードディスクを固定、回転し洗浄液を振り掛け、ナイロンブラシを当て汚れを浮かせた後、真空掃除機で吸い取る仕組みだ。米国製でガラガラ音を立て、とても出来が良いとは思えない機械だが、廃液を見ると永年溜まった汚れが溶け出し、盤面がスベスベになった。1枚 数分の作業だが、500枚近いレコードを試聴し乍らではあるが、総て処理するのに2,3ヶ月掛かった。音質にも影響したようだ。

b.カートリッジの針先に汚れがこびりついているのは気になる。専用の洗浄剤と30倍程の拡大鏡でたまにはチェックしたい。
ガートリッジの能力を最大に引き出すために適正針圧が望まれる。0.1グラム単位を正確に計れる針圧計で一度はチェックすると良い。


【現システム概要】

カートリッジ:
  XSD15 SFL/EMT(独) ※1、SPU-AE/ORTOFON(米)、DL 103D/DENON

トーンアーム:
  DV-505/Dynavector

ターンテーブル:
  DP 5000F/DENON

MC昇圧トランス:
  EST 10/EMT(独) ※1、TH-7834/Partridge(英)

アンプ:
  V 70 SE/OCTAVE(独、真空管アンプ)※1

CDブレーヤー:
  D-06/Luxman ※1

スピーカー:
  ROCKWOOD MAJOR(英)※2、現在製造中止 、(SPユニットはTANNOY 38cm 同軸2Way)

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※1  今回買い直した機器、その他は30〜50年前に購入。(国名)ナシは日本製

※2  タンノイ製、スピーカー ユニットは2Wayながら、コーン型ウーファー(低域用)の磁石中心をくり抜いて、
      ホーン型トゥーイター(高域用)を仕込んだ2Wayスピーカーユニット。
      音域は取り立てて広くないが、同軸のため全音域が同じ位置から出るので、音源がシャープ、
      音像定位に優れるといわれる。特にクラシックの再生に優れ、定評がある。


【レコード鑑賞の楽しみ】

少々レコード鑑賞に力点を置き、書き過ぎたと思うが、クラシック音楽を聞くこと自体楽しくて好きだ。もちろん演奏会で聞く生の音が本当の音だとする主張も分からない訳ではない。しかし演奏者の出来、会場の優劣等々人の感情に訴える要素は多様であり、生演奏だけが絶対だとの主張には疑問がある。

一方レコード鑑賞は、今は亡き巨匠の素晴らしい名演、演奏会では恐らく聞けないであろう珍しい古典などとの出会いを果たせ、しかも聞きたい時何時でも手軽に再生できるメリットがある。私はこの二者は別々の文化で、両立すべきものだと信じている。
レコード鑑賞において音が良ければ更に感銘は深まる。そのために行う改善に効果を感ずると、これぞ“オーディオ・マニアの喜び”と嬉しくてたまらない。しかし音楽関係者である家内にいわせると、ことごとく「気のせい」と簡単に片付けられてしまうが、この殆ど役に立たない行為を世間では“趣味”というのかも知れない。

今回この趣味を復活出来、大変良かった。アンプと部屋の違いによる差は大きく、音質は数段向上したように思える。長い中断を取り戻すべく、近頃かなりの時間を費やし、アナログ・レコードを楽しんでいる。更なる音の向上に努めたい気持ちには際限がない。

−以上−      

2018年09月21日 田中 あきひろ      


全システム プレーヤー&真空管アンプ