2004年11月例会報告     過去の例会へ ホームへ../zhong_yang_yan_xian_li_kesakuruHP/guo_quno_li_hui.html../zhong_yang_yan_xian_li_kesakuruHP/homu.htmlshapeimage_1_link_0shapeimage_1_link_1
 


日 時 2004年11月26日(金)

場 所 国分寺市立本多公民館視聴覚室

出席者 小川郁、酒巻美和子、佐藤完二、鈴木綾子、鈴木まき子、鷹取健、堀雅敏、町田智朗、吉村成公  

司 会 堀雅敏 記 録 鷹取健

 「音」の指導計画や実践記録が小・中・高校と、3つ揃った報告と討論が久し振りに実現した。前回に揃った報告があったのは「気象」である。

 このところ、映像による報告も続いており、マダガスカルの自然をどのように観察してきているかという堀雅敏さんの記録を、出席者で楽しく視聴した。

例会で紹介・配布された資料など

1.『中央沿線理科サークル通信』:堀雅敏

2.「音」の学習:町田智朗(都立八王子北高校)

3.音の学習(中1):小川郁(三鷹市立第一中学校)

4.音の授業 報告とプラン:酒巻美和子(小金井市立東中学校)

5.3年理科「音」:鈴木まき子(早稲田実業学校初等部)

6.「理科教室」11月号を読んで:鈴木綾子

7.新潟県中越地震はなぜ起きたか:佐藤完二

8.新潟県中越地震:鷹取健

9.写真資料(晩秋の雲、佐藤農園の土壌、その他):鈴木まき子

10.ビデオ「マダガスカル島の自然」:堀雅敏


報告1 堀 雅敏:マダガスカルの自然

 堀雅敏さんは「マダガスカルの自然観察」を『中央沿線理科サークル通信』No.107、2004年1月から始めている。カメレオン、キツネのような顔をしているサル、アイアイなどなど、“進化の方舟”としてのマダガスカルに行きたいという気持ちで出かけた自然と社会のビデオ映像を紹介してくれている。わたしの場合は、初めはアフリカ大陸とは約400離れている島というよりも、モザンピーク海峡周辺に生息するシーラカンス類に興味があった。何度も読み返した地団研の故井尻正二さんが解説している『科学朝日』は1950年代のものだ。

 島泰三さんの著書が紹介され、『なぞのサル アイアイ』(月刊たくさんのふしぎ)が出席者に広まる中で、堀さんが見てきたものをみんなで見ようという雰囲気が続いている。見せてもらおうという気持ちもさることながら、と同時に“自分も行きたいのだ”というところからの興味がいつの間にか話しながらの視聴になっているようだ。

 カメラワークの巧みな堀雅敏さんの映像がテレビモニタに映し出される。この映像は団体での観察であり、必ずしも自由な行動ができるとは思えない中で実に多彩な数多くの対象にビデオカメラのレンズが向いていく。わたしなら、一緒に行ったとき、その数分の一程度しか記録できないだろう。それに1シーンが長く撮れないように思う。

 堀さんは、撮影対象をどのように決めたのだろうか。

 ビデオの作り方は現地音で種名が出てきたり行動の説明が出てくるが、多くは画面を見ながら堀さんの肉声での説明をするという手法である。途中、質問があればこれに答えるという塩梅である。図鑑的な編集であれば分類が行われたり、それぞれほぼ等しい時間が割り当てられていくだろうが、あくまで行動順に、それこそ堀さんが気の済むまでというか、視聴可能なカットが連続している。

 今回も口先まで毛が生えている森林地帯生息の原猿類・キツネザルが登場した。 和名が「輪尾狐猿」で、ふだんはこうは書かないけれどもデパートの展示会や伊豆バイオパークで見てきたワオキツネザルが人間を恐れることなく地表を移動する。体長45、尾長55、マダガスカル南西部という。

 たしか、シファカ(ベローシファカ)も木から木へと跳び移っていた。

 ところで、機材の借用が難しくてビデオ視聴の回数も連載記事も多いとは感じていない。9月例会ではボルネオ旅行の話とフタバガキのお土産で賑わったが、マダガスカル観察その後、あるいは総集編といったものを希望してみたい。

報告2 音の学習指導から 1.音の学習指導これまで(その1)

 4月例会の報告の中で小川郁さんの「中1 音の学習」の授業報告があった。この様子は鈴木綾子さんが「例会報告」(『中央沿線理科サークル通信』No.110、2004年5月、p.4)に書いている。なお、このときの小川さんの5時間扱いの報告資料はこの号(pp.16-17)に掲載されている。指導計画は以下の通り。 1 物体の振動と音

(1)バネと振動/(2)音と振動/(3)物体の固有振動 2 音を伝えるもの

 教科書の紹介の他に次の論文を紹介した。

板倉聖宣「『音と振動』と『ふりこ振動』」『理科教室』1980年3月号

 小川さんは『理科教室』2004年8月号入門講座「身近な物理現象--光や音、力で見る世界とは何を見るのか--」(pp.65-67)で、「4 音の学習」と位置づけて物体の振動を展開している。「3 力の学習」では学習指導要領改訂で削減されたフックの法則の学習を「バネと力」の項で指導している。

バネ振り子/音叉を使う/弦の振動/和音のこと

上の2つを読むことで授業の構成と<学習課題>と<授業の首尾>が見えてくる。


2.高校物理としての「音」

 11月例会では、音の学習の小・中学校・高校と3つ揃った報告と討論が久し振りに実現した。「音」の実践報告は、あらかじめ10月例会で報告が予定されていたこともあって、今回は町田智朗さんの報告から始まった。

 以下我流に駆け足で記録していくので了承してほしい。

(1) 高校2年文系物理選択(2単位)の「波」

「光」や「音」の学習を経て「波」の学習へ進むのが指導順序としてはよいのでるが、「波」の学習の中で「音」を挿入してみた、という。

(2) そのポイント

 音の三要素は大きさ、高さ、音色であるが中学校段階では音色が削除されているから、波の学習では“せっかく波の合成を学習しているので”あるから、“波の重ね合わせ”を理解させるべく指導内容を構成してみた。

 音色が図形としては波形として表現でき、単純な波の重ね合わせによるのであるからオシロスコープなどの活用で視覚的にも把握させられると考えた。

(3) FFTアナライザー 縦軸に音圧、横軸に振動数(周波数)をとったグラフを示す機器であり、安価で、試用したところ重宝であることが分かった。

(4) ピアノの音をFFTアナライザーで見る  音の学習にはどこの学校にもあるピアノの利用が考えられ、適当な教材である。

 “音に含まれる音を”聞く学習をするには、鍵盤の1つを静かに下ろしておいて、1オクターブ下の鍵盤を強く叩くと開放されていた弦が鳴り出す。これは2倍音、3倍音…、と確認できる。

(5) 到達目標と具体的内容

 音源の物体の振動がまわりの空気を振動させ、耳に音として聞こえる。

(1) 音源は振動している。

(2) それぞれの物体には固有振動数がある。

(3) 物体の持つ固有振動数が外から与えられると、その物体は振動(共鳴)する。

(4) 物体が発音するときには、基本振動の他に基本振動の2倍、3倍、4倍…の振動も含まれていて、その含まれ方によって波形が決まり、音色が決まる。

(5) 音源の振幅や振動数によって、音の強弱や高低が決まる。

(6) 振動数の近い音を同時に鳴らすと「うなり」が聞こえる。 *具体的内容の記述順序は指導順序になるのであろう。とすると、この順序が分か りやすいか考えてみたい。(鷹取)

(6) 授業計画(4時間配当)

 ここでは用語を(  )内に挙げた。

1時間目 物体の振動(音源、振動、振幅、音の強弱、振動数、音の高低)

2時間目 固有振動数と共振(固有振動、共鳴、共振)

3時間目 音色(基本振動、倍音、音色、オクターブ、ピアノの音、FFTアナライザー)

4時間目 うなり(音叉、波形、オシロスコープ)

 *町田さんから振動、振動数ということばを聞いているうちに、振動と振動数とを 生徒が聞き分けているのかな、という疑問が湧いてきた。同じ音の繰り返す振動 の数を単位時間にいくつ、と表現するのであるから、単位や単位記号の押さえは されたのだろうが実践報告の中では聞こえなかったからである。

 *「物体の振動」の学習で「(5) 音源の振幅や振動数によって、音の強弱や高低が 決まる。」がでてきているように思われるから、「(5) 音源の振幅や…」は物体 の振動に入ってしまうように思うのであるが、改めて後半に持ってきた方がよい のであろうか。

 *固有振動数と共鳴の学習では、学習課題で「同じ音を出す音叉…」という文があ る。ここでは“振動数が等しい音”とか“同じ高さの音”という表現にした方が 生徒には分かりやすいのではないか、と考えたが、そういうことはないのであろ うか。(鷹取)

(7) 授業記録(音色の学習)を読む 授業の展開(案)を読む

 学習課題として、ピアノで「ドの音」を弾くと他の弦は振動するでしょうか、という問いかけをする。「ドの音の隣のレの鍵盤を開放し…」て“弦を開放していることを説明して”考えさせる。実際にやってみて確認する(実験1)。結果はほとんど聞こえない、である。

 次に「ドの音の2つ隣のミの鍵盤を開放し…」て、とはしないで、一挙に1オクターブ上のドの鍵盤を開放(実際は弦を開放してと表現すべき)する計画である。ドの音を出し、すぐさま鍵盤を叩いていた指は鍵盤から離してドの音を引き続き出さないようにする。ドの音を出す弦の振動を止めてしまう。このとき、生徒は、ドの音が全く出なくなった、だが、上のドの音が鳴り、同時に上の弦からドの音も出る、と確認するのか、それとも鍵盤から指を離してもドの音は出ている、ドを出す弦が鳴り響いている、と確認するのか。そういうことではなく、1オクターブ上の音が“つられて鳴って=共鳴して”いると解釈するのかは、はっきり読み取れない。すなわち実験2の結果の文は「大きくドの音が残る」とあるからである。これは“ドの音の一部が大きく残った”ということではないのか、とも思うが、実践報告の際に、ピアノで実際に実験した時に出席者はどうであったのだろう。

 授業の記録からはじめは前時の復習(固有振動。基本振動、○倍振動。振動している物体の腹、節)をした。

 本時の学習課題に入る。ピアノで「ドの音」を弾くと他の弦は振動するでしょうか、という問いかけをして、「もし振動しているとすれば、どの弦が振動」するかまで尋ねていく。

・他の音が鳴る----- --------------何人かが意思表示。

・鳴ると考えた中ではじめに鳴らした「ド」の音でない音が鳴る---7人。

・7人中のI君の考えが、変更。で「ド」の音でない音が鳴るは---6人。

・6人中のH君は「高さの違う“ド”」であるという

・<理由>を考える。H君は「固有振動が一緒だから」という。1オクターブ上のドは2倍振動をして人間に聞こえる、という訳である。これを受けて教師が2倍振動するドを弾くと、3倍振動のドが聞こえるのだねと言いつつ実際に鍵盤を弾く。つづいて共鳴という言葉をこの現象に当てはめさせて次にすすもうとする。H君は共鳴まで発言している。佐藤完二さんは「固有振動数と共振」の指導でよく分かったが、1時間配当では少なくないか、という感想を述べている。

・I君は、はじめ、シやレという鍵盤でいえばすぐ隣の音が鳴るのではないか、と何となく思ったと教師に答える。ただし、教師は“すぐ隣の音”という部分に着目していないように思われる。I君は正しくピアノの機構をしていて、“すぐ隣の音”が鳴るかなと思いついたが、そんなはずはないと訂正したのだろう。このところは、そうは教師に説明していない。

・他の音はならないというK君の考えが教室にいる仲間に伝わる。これは他の音は鳴らないと考えた生徒が圧倒的に多くて、まずK君に尋ねたのであろうか。K君は「同じ(種類の)物体でも長さが違うとか何か」で(質量その他の性質が違うと)共振は起こらないだろうから鳴らないと考えた。

・教師はここで、ふたたびドを弾いて、(もし他からエネルギーが与えられたら、振動が空気中を伝わったら)開放された弦が鳴ることを解説しながら演示した。生徒は「高いドの音だけが小さく」聞こえてくるのを確認した。H君にこれが共振であると発言させた。共振、共鳴、どちらでもいい、と教師が宣言。

・プロジェクターやFFTアナライザーを机上に置いて音叉の映像--音叉の周波数スペクトルを視聴させた。つづいてピアノを視聴させて、小さなノイズの他に倍音の存在をグラフ上で説明し、いろいろな音の重ね合わせになっているとした。

・基本振動と倍音の重ね合わせをFFTアナライザーを使って実際にしてみる。音叉とピアノの波形の違いを確認させてから、楽器の音色の特徴(違い)の説明に入った。ここで、縦軸の大きさの変更作業では、基本振動を加算するときに、ていねいに、そう、棒グラフの足し算(重ねあわせ)をしてみせてやったのか気になった(鷹取)。力の合成・分解という学習で力の加算・減算を中学校で経験していているか否かについては、かねてから疑問を抱いている。

・きょうの学習で分かったことのやりとりでの生徒の考えは、どこまでを正しい言えるのであろうか。まず、長い机間巡視があって様々な質疑応答がある。生徒一人ひとりが自分だけで考え・記述していく時間でなくて、安易とも思える指導として“簡単に質疑応答をしていく”。もしそうであるとしたら残念だ。「一つは固有振動のどれか一つ…」という正しい結論を説明していくのであったが、これは全員に向かって説明したのか一部分の生徒に対して説明しているのかが、印刷されたものからは判断しにくいと感じた。教師がここでどうした、というような記述は必須だろう。質疑応答の時間帯の他に、はっきり区別してきょう勉強して分かったことを記述させてほしい。しかも、生徒に考えさせておきながら、最終的に教師が“分かったこと”をていねいに解説してしまっている。なお、説明のしやすさで波長と表現したり振動数で表現している。これは高校生なら自由自在に考えられるのかも知れないけれども。それにしても、発言内容が詳細につづられているのは貴重であると感じたところである。

・FFTアナライザーやオシロスコープは活用したい、という意見が多かった。出席者は教材は何がよいか考えた発言がつづいた。小川郁さんは、定規に張った弦を弾くとか、また弦の中程を弾いて音の高さを耳で聞いて分からせるという、のを実際にやってみせてくれた。


3.中学校の音の学習

(1) つるまきばねに質量の大きな物を吊るして振動の学習を

 4月例会の小川郁さんは、物体の振動と音という考え方での指導計画と実践報告をしている。町田さんの場合は生徒が「光」の学習をしてきていないから、これも含めて構成しなくてはならいと言っていた。

 小川さんは、前回報告したので、今回は資料を発表して、読んでもらえればよい、 と言われたから、時間の都合上、酒巻美和子さんの提案に入ることになった。小川さんは前回のプリントを改訂している。その改訂は「2 音を伝えるもの」のところで、ヒトの耳の構造とはたらきの説明である。

 なお、『細胞紳士録』(岩波新書)pp.216-219の引用で内耳の有毛細胞の紹介をした。目という受容器の学習は動物体の学習で大事な内容であるという意味からも。すでに「バネ振り子/音叉を使う/弦の振動/和音のこと」という『理科教室』2004年8月号の記事を初めに紹介した。町田さんの実践についての報告と討議では、小川さんは「和音」の学習の必要性を述べた。このことについて、とりたてて議論がすすんではいないが、いずれ酒巻美和子さんの実践報告が行われるときに再論してみたいと思う。小川さんは、「和音」を音色の学習の前に入れてみたらどうか、という考えがある。

 ピアノがどこの学校にもあるから、というのは分かるが、果たして適切な教材であろうか、という話題があった。「キーボード」がいいし、いろいろな楽器の紹介も積極的にしようではないか、という意見が出てきてひとまず終了した。


(2) 中学校第1学年での「音」

 酒巻さんは、広島支部の下末伸正さんの実践を参考にしながら、第1学年での「音」を第2学年・選択理科で指導(復習)し、今回、改めて指導計画をつくっての提案である。

 後期選択理科基礎コースでつるまきばねにおもりを吊るして振動現象を考える。バネの長さと振動の様子を考えさせる。

 鋼製の定規をばねと見立てて振動させて、振幅、振動数の概念を学習する。

 笛(ストロー笛)などを作って音の高低と振動の関係を学習する。

 以上のような生徒16名での授業報告のあと、今回は教科書記述の順序に合わせての実践の計画の提案。

 第1学年用の指導では

「1 物体の振動の様子」、「2 発音と音の伝わり方」、「3 簡易な楽器を作って振幅・振動数の大きさを確認する」、「4 音を波形で見る・音叉、音の共鳴、振動を伝える物質」、「5 音速の測定」という内容と教材で5時間配当で授業を始めているという。授業は第1時間目まで終わっている。

 音の伝わり方では固体の場合を詳しく扱うようである。音速は実際に測定してみてほしいし、結果を聞きたい。

 質疑応答では、鋼製の定規を固定して振動させるには万力が何台も揃ってあるのかという質問や、多種多様な教材が開発され、それぞれが効果を挙げているという話が続出した。主に小学校での実践が豊富である。

 板ばねとつるまきばねの双方を扱うのは、学習効果があるという意見、中学生にもストロー笛を作らせて実験させていくが、とにかく音を出す、いろいろな音を出させて楽器のように音階を考えさせるのは賛成である、という発言の中で小川さんは物理現象として“重いものは動きにくい”という事実を大事にしたいし、これはつるまきばねにおもりを吊るすなどして確認していく授業を展開したいと述べた。


 4.小学校の音の学習

鈴木まき子さんは小学校第3学年の指導で、「音のもとを作ろう・見つけよう」という単元名で実践している。

〔目標〕(1) 音が出ているときは、物が振るえ(振動し)ている。(2) 音の振るえ(振動)は、紙でも、糸でも、ゴムでも、金属でも、木でも空気でも伝わる。(3) 物の振るえ(振動)は、耳だけでなく、目や、手や全身を使って感じられる。

参考にしたものは、次の2つであるという。

江川多喜雄編著『基礎的な内容を楽しく学ぶ 理科3年の授業』(星の環会)

坂上「音」(2004年度科教協全国研究大会報告)

 指導計画は9時間配当で(課題1)から(課題3)までの3時間では音を出すものを作って、振動を確かめる。(課題4)からの5時間は糸電話やいろいろな物体で音を出させて、それがどのように伝わるか調べてみるが、最後の課題では「べートーベンは、耳が聞こえなくなっても、ピアノを弾いて作曲をしました。どのようにして、ピアノの音を聞き分けたのでしょう」か、と考えさせる。

(1) 検討してほしいこと

鈴木さんは次の3つについて検討してほしいという。

・授業では個々の物体の振動をとらえることを、その物質名を意識させて教えたいけれども、児童はそこまでは理解できないのではないかと考えたが、どうか。

・「音」は聞こえる、振るえる、見えるものであるが、このような現象を児童が言葉で認識して文章化するのは容易ではないだろう。どの程度の表現でよしとするか。

・空気のような“音を伝える物質”というようなとらえ方で課題を作れなかったが、どのようなものにすればよかったのか。

(2) 授業記録から

紙笛の音を確認する

 授業の記録は「ごきげんよう」という学級通信に掲載するスタイルで蓄積されていった。No.51、2004年9月9日号では「音が出ているときは、物が振るえ(振動し)ている。」が掲載されている。児童は紙笛を作り、教師は紙笛から音が出ているのを五感で確認できるように導く。Kは笛が鳴っている(振るえている)と認識し、同時に聞こえていることを記述している。「手がふるえました」とJ。