2006年2月例会報告      過去の例会へ ホームへ../zhong_yang_yan_xian_li_kesakuruHP/guo_quno_li_hui.html../zhong_yang_yan_xian_li_kesakuruHP/homu.htmlshapeimage_1_link_0shapeimage_1_link_1
 


日 時/2006年2月24日(金)18:50~21:10

場 所/国分寺市本多公民館

参加者/阿久津・酒巻・鈴木あ・鈴木ま・鷹取・町田・吉村・堀


※ 配付資料に混じってポンカンが2袋、怪しげに机上に置かれていた。実はこれ、当日サークル用に必要なものを入れた手提げ袋を玄関に忘れてしまい、予定していた「エクアドル・アマゾン源流の旅」が上映することができなくなった堀のお詫びの印。ますますボケの心配。すみません!


1.『理科教室』1月号を読んで…………………………………酒巻さん

 ご自身も「性教育をしなければいけない」と思っていたという酒巻さんの報告でした。酒巻さんは、口絵写真も特集に連動していたと思っていらっしゃったようですが、これは全くの偶然。「アイアイファンドの理事会でおもしろいビデオを上映するからぜひ参加を」、と島泰三さんに声をかけられて見てきたカメレオンの交尾と産卵。おもしろいと、即座に依頼したのでした。この話を聞いて、鷹取さんは3月号の口絵「奥多摩のほ乳類たち」も「内容的に大変よかったが、貴重な写真はそのまま教材として使えるように大きく掲載すべきではないか。残った写真は本文の方に回せばいい。キャプションもすばらしかったが、本文でも詳しく載せてほしかった」とおっしゃっていました。浦野守雄さんには、「“研究室から”を書く余裕はない」と断られていたのですが、何か重要な写真を大きく掲載する(2回の連載ということも考えられる)ことも必要だなと思いました。

 さて、酒巻さんの読後感想は資料を見ていただくとして、話し合いでは、インタビューにある“性教育元年”という言葉が何を意味するかから始まりました。鷹取さんは、「1992年ということは、当時の文部省が副読本を配って性教育をやりなさいと言い出したことを指しているのだろう」とのことでしたが、私もそう思います。鷹取さんはさらに、「いまは、性教育はするな、と言う。文部省側の対応を年表にしていくと、政治の中で翻弄されるのがよくわかる。エイズのパンフレットも出たし、以前は保健や家庭科など他教科と連携し、話し合ってやっていた。科教協の中でもエイズの授業報告がかなりあったが、いまはまったく出てこない。小学校の教科書でも受精は扱わないし、体内受精を教えたら“非国民”という状況だ。」と指摘されました。

 阿久津さんが岩間さんの論文に関して「“人の性の特徴”として“父親が子育てに参加するのは特別”というのは違うのではないか。鳥などはオスも子育てに参加している」との意見がありました。鈴木綾子さんは、「鳥などはカップルで育てたりするが、ほ乳類の中では長年にわたって子どもの面倒を見るのはヒトくらい。メスは乳が出るから、どちらかというとメスが面倒を見ることになる」と話されました。生物全体で見ると、イトヨやハリヨ、タツノオトシゴなどの魚はオスが孵化まで面倒を見ています。鷹取さんは、「どこまでを子育てというか、子育ての概念規定がないからいけない」と批判します。さらに、「三上さんも同じで、シマウマが生まれてすぐに立ち上がるのに、ヒトは20才でやっと成人になるというのは、ヒトの社会的な内容を無視している」と批判します。

 また鷹取さんは、「三上さんは“性というのは違いであって、オス・メスが生じた。違いが本質”」としているが、「遺伝的なものと種としての多様性のとらえ方はついていけない」と言います。鈴木綾子さんはこれに関して「下末さんは種の中の同一性を書いている」と指摘されました。三上さんの“レイプされた女性の子の話”についても、鷹取さんから「本当にそうなのか」と疑問が出されました。酒巻さんは、「そういう子に直面しての考え抜いての答えだと思うが、“カエルの子はカエル”という遺伝の話と、絶対100%同じ人間は存在しない、という両方を話せばいいのかな」と答えられました。

 いずれにしても、科学的に人のからだを理解することは絶対に必要なことなのに、教育に政治が介入して弾圧することは絶対許せません。酒巻さんが、「東京での攻撃が全国に波及しているのが申し訳ない思い。東京都の教育の流れを変えたい!」と述べられたその思いを広くみんなで共有したいと思いました。


2.磁束密度Bのみを用いた磁場の指導………………………阿久津さん

 昨年度、ほとんど初めてという状態で「電磁気」の授業をされたそうです。そのときの経験と、今年度行った授業からの問題提起です。

 磁場の強さを表す表記のしかたには2つあるそうです。一つは磁束密度B。これは私でも一発で理解できます。もう一つは、磁荷mが磁場Hから受ける力をFとして、F=mHで定義されるHというのがあるそうである。こちらは定義を前提としているので頭の中は?????

 阿久津さんは以前ある大学教授の「高校では磁場の強さを表す表記は一つでいいのではないか。扱うとすれば大学につながるHを」という主張を読み、表記を一つにすることは賛成するものの、扱うべきなのは自分自身の大学時代の勉強を振り返ってもHは必要なかったし、昨年の実践でもBだけでいいのではないかと思い、今回の実践となったそうです。

 まず鷹取さんから、レポート資料の4ページにある「まわりの物質によって電磁石の強さが違う」という場合の“まわり”とはどこを指すのかという質問がありました。吉村さんが、「電流が通るところ以外のことを言っている?」とつけたすと、阿久津さんは「そう」と答えました。しかし、小中の教科書通りの理科では何も習っていないと思った方がよく、子どもたちには“鉄心がない電磁石”のイメージはないことが鷹取さんから指摘され、実際に課題にしているものがどういうものであるか見せる必要があるだろうという話になりました。

 阿久津さんから「コイルの磁力線について、絵を描いたり、一つの円電流を扱ってから二つ重なるとどうなるか考えさせたりしたが、定量的なものは力を計るしかなく、見せるのは難しい」という話がありました。吉村さんから「電流を流したとき、近くに置いた方位磁針を見せ、鉄粉をまいて振るとよくわかる」と出されましたが、阿久津さんの流れにはフィットしないようでした。

 また、鷹取さんは、「子どもたちが“電流”について、どんなイメージを持っているのか?」という問いがありました。阿久津さんは、「何かが流れているという概念はある。荷電粒子が動いているというイメージまであるかどうかはわからない」と言います。これに関して、町田さんから、「原子の構造についてはいつやるのか」と質問があり、阿久津さんは「2年の化学で原子の構造はやっている。電子についてちゃんと話をするのはもう少し後」との答えがありました。町田さんは、「物質の構造を最初にやった方がいいのではないか。自分の場合は電子の導入は静電気から入る」として、この時期、ネギやゴボウを理科室にぶら下げ、マイナスに帯電させた塩ビ管を近づける実験を紹介しました。ネギは箔検電器にあてても箔が開かない。しかし、塩ビ管に近づいてくる。ということは、プラスがある。箔検電器が開かないということは、プラスとマイナスが同量あるということだ。というところで、電子を導入するということです。

 話は阿久津さんの「Bで教える」ということに戻りましたが、町田さんも「電場と磁場の統一感はHを使わないとわからないが、それでもBだけでいい」という考えでした。ただ、教科書ではHも出てくるし、受験のことなど考えると少しはふれる必要があるだろうということになりました。

 自説に自信を持った阿久津さんは、こんどもBで通す実践をするつもりで、4月例会にはそのプラン発表の予定です。


3.ビデオ「えびの高原・霧島フィールドワーク改訂版」……鷹取さん

 昨年の科教協鹿児島大会のときに行ったフィールドワーク。みんなの映像を、それぞれの視点で撮影しているので、みんな収めたDVDをつくろうということで、そのイントロダクションのつもりで制作されたものだそうです。

 小川さんの写真や、私のビデオの一部も使いながら、実写とアニメを重ねた説明映像も盛り込んだ10分ほどの作品ですが、これだけで十分完成している感じがしました。バックミュージック、ナレーション、テロップ、それらが映像を効果的に盛り上げていて、貴重な記録映像となっています。

(記録:堀 雅敏)