2007年10月例会報告     過去の例会へ ホームへ../zhong_yang_yan_xian_li_kesakuruHP/guo_quno_li_hui.html../zhong_yang_yan_xian_li_kesakuruHP/homu.htmlshapeimage_1_link_0shapeimage_1_link_1
 


日時 2007年10月26日(金) 19時~21時

場所 国分寺市本多公民館


《写真報告》 「マダガスカル・進化の箱船の旅」 堀 雅敏(立川三小)

  1.  今年8月のマダガスカル旅行のレポートでした。とてもさまざまな写真を持っていただき、興味深く拝見しました。最初はマダガスカル航空のちよっとステキな飛行機の写真、この航空会社のマークは旅人の木です。その後本題に入り、紹介された写真の主なものは、さまざまなキツネザルとバオバブの木でした。

  2.  8月の南半球は冬で、バオバブは葉を落としちょっとさびしげでしたが、かえって種による枝ぶりの違いが判りやすかったと思います。幼木と成長した木の枝のつき方で、成長するにつれ低い部分の枝が自然に落ちるのだろうかという疑問が出されました。杉のように人が落とすとはちょっと思えませんが、どうなのでしょう。とてもたくさんのバオバブがあるところ(バオバブ並木?)の夕日がきれいでした。

  3.  写真にあったバオバブの多くはレイナラという種だそうで、これを含めマダガスカルには8種のバオバブがあるそうです。それに対し大陸(アフリカ大陸)にはその中の1種のみしかないそうです。大陸からマダガスカルに渡って分化したのか、マダガスカルから大陸に渡り1種のみ生き残ったか謎です。分子生物学的な調査があるかどうか気になりました。

  4.  バオバブの倒木の幹を爪で引っかいた写真をみると緑色をしていました。バオバブは幹で光合成をしているのでしょうか?。日本で普通木の幹を削って緑色をしていることはないので、バオバブが特別なのでしょうか。ただ日本でも幼木の場合、幹が緑色をしている場合があるとの指摘がありました。しかし、削らないと緑色が見えないバオバブの木、幹で光合成が出来るのか疑問です。

  5.  動物では、おなじみワオキツネザルや茶色いキツネザル(名前をメモし忘れました)、子どもが売りに来たカメレオンなど、いろいろ登場しました。カメレオンはもちろんもって帰れないと思いますが、買う観光客がいるのでしょうか?。もしかしてこっそり輸入し、闇で高額取引されているのかもしれませんね。

  6.  時間になり、堀さんの報告は次回に続くことになります。

 

《実践記録》 「高校化学への粒子学習」 阿久津嘉孝(府中西高校)

  1.  阿久津より、高等学校1年生で行った高等学校の化学を勉強するための準備として行った授業について授業記録をレポートしました。

  2.  授業の目標は、分子概念の確立です。食塩水の中に溶けている食塩がろ紙を素通りすることから、食塩が非常に小さな粒になっていることを分からせたいと考えて授業を行いました。

  3.  皆さんとの議論で、まずろ紙の目の細かさが話題になりました。私(阿久津)はろ紙が目の細かさで、たくさん種類があることを知りませんでした。片栗粉はろ紙を通らず、食塩が通ることは授業前に練習し確認していましたが、もし粗いろ紙であったら問題あったかもしれません。勉強になりました。コーヒーフィルターではどうだろうか?結構出てきてしまうのではないか?疑問が膨らみました。

  4.  前の時間で食塩水中に塩がなくなっていないことを蒸発乾固で見せているが、そこで食塩の粒が集まって大きくなって見えるようになったと説明しているのか?。と質問がありました。

  5.  食塩がろ紙を通るくらい小さな粒になったことで説明出来るのではと考えていたので、粒が集まって見えるようになることは生徒に説明していませんでした。説明があれば違う展開になったのでは、結晶が成長する様子を顕微鏡で見せたほうがよい、エレキバンの磁石が集まっていくモデルがよいなど、さまざまな意見を頂きました。

  6.  その後の授業については、食塩水中で食塩が一様に分布してることを説明するのに、顕微鏡でブラウン運動を見せたほうが良いと指摘を受けました。時間的な余裕のなさからブラウン運動はビデオ「動き回る粒」で見せましたが、今考えると顕微鏡ビデオ装置を使えば充分時間はあったかもしれません。また、顕微鏡を使う内容では、結晶が成長する様子や、逆に溶けていく様子も見せると良いという意見も頂きました。この後高校の内容に進まなければならず時間的な難しさもありますが、できたらその方が良いと思いました。

  7.  酸化水銀の分解について、私(阿久津)のほうから酸化水銀の使用量について質問しました。今回の授業では0.5gでやったのですが、液体の金属が出てきたことが良く分かりませんでした(生徒は銀が出てきた!と反応しています)。2g位必要ではないかと教えて頂きました。

  8.  マグネシウムの燃焼で、酸素の化合により質量が増すことを示す実験では、質量の増え方が少ないのはなぜか?、と議論になりました。穏やかに加熱するためルツボで蓋をしながら加熱したのですが、酸素不足で窒化マグネシウムが出来たのでは?、との考えも出されました。燃焼前のマグネシウムのみの質量を測っていませんでしたので、よく分かりません。ただ、出来た灰は黄色くありませんでした(窒化なマグネシウムは黄色いそうです)。酸化マグネシウムが煙となって少し出て行ってしまったのかな?と感じています。

  9.  先月レポートした授業計画から今回の授業記録とその後の授業についての検討、とても勉強になりました。どうもありがとうございました。

 

《ビデオ報告》 「手賀沼の自然と社会」 鷹取 健 (自然科学教育研究所)

  1.  千葉県にある、汚くて有名になった手賀沼についてのレポートです。私(阿久津)は名前を聞いたことがある程度で、どのような沼か?全く知らない状態でお話を伺いました。

  2.  手賀沼は、江戸時代の頃からつい最近1968年までの長きにわたって、干拓事業が続けられたようです。合わせて利根川の流路を変える工事も続けられました。資料の中に「千年前の利根川」という図面がありましたが、現在の利根川はありません。この頃の利根川は東京湾に注いでいました。現在の利根川が、人の手によって作られた人工の川であることを初めて知りました。

  3.  さて手賀沼ですが、地形図を見ますと周囲と比べそこが窪地のように、低くなっていることが分かります。そのため、大雨が降ると本来は利根川に流れるはずの水が逆流し、長く溜まり易い地形になっています。これも水が汚れやすい原因のひとつのようです。あまり高低を考えない土木工事が行われたのでは、という指摘がありました。

  4.  資料の中に昭和35年(干拓事業終了8年前)と平成10年の土地利用図があります。沼の面積が大きく減少し、元々水田や畑だった場所は宅地化、市街地化され、人口が増えたことが伺えます。元々低地であったことに加え、この市街化が手賀沼の水質悪化につながったようです。それにより、多くの動植物種が姿を消しました。近年下水道の整備が進み、北千葉導水(利根川からの浄化用水を流しているそうです)稼動により幾分水質は浄化しているようです。しかしなおCOD(化学的酸素要求量)は10mg/?で基準値の倍です。

  5.  しかし人間というのはどうも自然と仲良く出来ないようですね。目先の都合で木を切り、川の流路を変え、生態系を壊す。でも人間だって地球上の微妙なバランスのうえに存在しているわけです。農業を始めて数千年だと思いますが、今これまでのツケが回ってきている感じがします。人類の未来のためにも理科教育が大切と感じました。

《文責 阿久津》