参加者:堀、吉村、柳下、鷹取、阿久津、小川、町田(記録)
1.「ボリビア・ヒース川の旅 ?」(堀さん)
少し遅れてしまったので、到着したときにはすでに始まっていました。
ペルーとボリビアの国境を流れるヒース川を上っていく船上の映像が映し出されていました。この船旅の目的は崖の土をついばむインコを観察することです。
川は乾期なので水が少なく、スクリューが引っかからないように船頭さんが竿をついて進む場所もあるそうです。
しばらくすると、川の中に双胴船のような観察小屋が浮いていて、その中からコンゴウインコを観察できるようになっていました。小屋の中にはヒト用の朝食が用意されていたそうです。
当然、なぜ土を食べるのか、が疑問として浮かぶのですが、実はよくわかっていないようで、ミネラル分の摂取という説や木の実の毒素を排泄するため、などという説があるそうです。
映像にはコンゴウインコの他に、ムジボウシインコ、シモフリインコ、ベニコンゴウインコ、アケボノインコ、ヒメコンゴウインコなどが映っていました。特にベニコンゴウインコの親が子(と言っても大きさはさほど親と変わらないのですが)に口移しでえさを与えている様子には感心しました。
2.知床の写真 秋編(小川さん)
10月の三連休を利用して、2月に引き続き知床の「いるか荘」に行ってきた小川さんの「知床の写真 秋編」です。ミヤマカケスやシカの食べたばかりのキハダの木の他、水中の様子も撮影されていました。昨冬に樹皮をシカに食べられていたキハダの木はすべて枯れてしまっていたそうです。
3.武蔵野段丘崖の湧水~「野川」の観察と教材作り?~(鷹取さん)
日立中央研究所の「大池」を源流とする多摩川の支流「野川」の観察映像の<予報>として、資料が1枚配布されました。
私は調布で育ちましたが、高校生の時は毎日野川を甲州街道で横切って通っていました。その頃はコンクリートで固められた川でしたが、その後緑が多くなってきている印象があります。
映像を見られるのが楽しみです。
4.糸の張力と垂直抗力を弾性で教える(阿久津さん)
今年(2009年)の埼玉大会で阿久津さんがレポートしたときに、神奈川の鈴木さんから「力の原理を弾性で教えるのはやめたほうがよい」という主張があったことを受け、夏に以前の論文を読んだそうです。その結果、阿久津さんとしては、垂直抗力や聴力の具体的なイメージを持たせることが大切で、そのためには弾性は有効、と結論したそうです。
作用反作用を弾性で教えない、という主張は90年代に千葉の朝生さんや石井さんが大会で主張されたことを聞いたことがありますが、そのような考えに立った実践の報告は無く(少なく?)、このように教えるべきだ(もしくは、教えるべきではない)といった主張のみが繰り返されていた印象があります。
作用反作用を弾性で教えないことの論点は主に二つだったと記憶しています。1つめは同時性の問題。例えば垂直抗力では、机に物体が載せられた→机は物体から力を受けて変形する→机が元に戻ろうとする→机が物体を押し上げる というストーリーとして考えがちです。すると、机が物体から押されてから物体が机に押されるまでに時間差が生じてしまうような誤解を与えてしまうという点。二つめは弾性を突き詰めていくと分子間力まで扱わざるを得なくなる、という点。
それに対して阿久津さんは同時性については丁寧に説明することで対応することにして、分子間力についてはその原因までは説明する必要がないと主張しています。それよりも理解のしやすさを優先すべきではないか、ということです。
この二点に関しては特に異論は無かったように思います。特に同時性についての重要性は再確認されました。
一方で、「力の原理」は「原理」として扱って良いのか、「作用反作用の法則」は「法則」なのか、棒の一方を押したときにもう一方が動き始めるまでには、厳密には少し時間がかかっているはず、という意見がありました。
吉村さんからはおもりを糸やエナメル線で吊しておいて、途中を切ると上部が上に跳ね上がるので力がはたらいていることがわかるので、張力についてはその実験を追加してはどうか、という提案がありました。
小川さんからは「力は物と物との間で現れる」と教えるなら「力はワンセット(二つ一組、一対)で現れる」を追加しても良いのではないか、と提案がありましたが、力の導入時には一つの物体に着目させたいので、一辺に二つの物体が出てくると混乱するのではないか、という反対意見が出されました。
その他、力と圧力についての認識の順序性などについての話しになりましたが時間になってしまいました。