2015年10月例会報告     過去の例会へ ホームへ../zhong_yang_yan_xian_li_kesakuruHP/guo_quno_li_hui.html../zhong_yang_yan_xian_li_kesakuruHP/homu.htmlshapeimage_1_link_0shapeimage_1_link_1
 

日 時:2015年10月23日(金)19:00~21:45

場 所:国分寺市本多公民館

参加者:阿久津・杉本・鷹取・手塚・町田・堀(記録)


今回、東京農工大の学生さんで、来年度から中学校に勤務予定という杉本さんが初参加でした。今後ともよろしくお願いします。


1.ビデオ報告「ウガンダ・多様な野生動物に会いに!」その1

                      ……………… 堀   雅敏

  1.  2010年8月に行ったウガンダ&ルワンダの旅。ルワンダについては、すでに報告を終えています。今回はウガンダの、冒頭部分を見ていただきました。

  2. 飛行機で到着したエンテベから首都カンパラへの道程、カンパラ博物館、ジンジャのブジャガリの滝、ビクトリア湖北部の“ソース・オブ・ナイル(白ナイル川の源流)”とされた場所、そこに棲息するさまざまな鳥、ホテルで見たアフリカマイマイ、クロスキハシコウ、ジンジャからビゴディ湿地保護区に向かうまでの道程、そこで見たアフリカハゲコウ、アンコレカウ、アビシニアコロブス、アヌビスヒヒ(バブーン)の様子などです。

  3.  鷹取さんからは、「地図に、大まかでもいいからスケールがほしい」「ホテルの名前や、“道の両側にサトウキビ畑がある”といったテロップは読んでいるうちに映像が切り替わるので工夫が必要」といった技術的な面での指摘がありました。

  4.  町田さんからは、「地図はどうやって作っているのか」という質問がありました。私の場合はつぎのようにしています。

  5. (1) 元になる地図をライトボックスの上に置き、その上に白紙を置いて、ペンでなぞる。

  6. (2) (1)で作成した図をスキャナーで読みとり、JPEG画像としてPCに取り込む。

  7. (3) (2)のJPEG画像を写真編集ソフト・Photoshop Elementsで開き、修正をしたり、色をつけたり、説明用の語句を加えたりする。

  8. (4) こうしてできあがったJPEG画像を、ビデオ編集ソフトで利用する。

  9.  町田さんからはまた、「アフリカマイマイには危険な寄生虫(広東住血線虫=かんとんじゅうけつせんちゅう)がいるのに、クロスキハシコウはなぜ食べても平気なのか」という質問がありました。これについては、わかりません。

  10.  阿久津さんからは、元・沖縄県知事の大田昌秀さんの本に出てくる子どもが後年、「アフリカマイマイは、戦時中に食べた中で一番おいしかった」と著書に記していたというエピソードの紹介がありました。

  11.  アフリカマイマイはモーリシャスやスリランカ、そして沖縄や小笠原でも見ました。繁殖力が強く、かなり広がっているようです。

  12. 沖縄の方のウェブサイト“DEE okinawa”の特集記事「アフリカマイマイは美味しく食べられるのか」によれば、<「移入後の10年頃(1944)までは飼育下にあって山野に逃逸し帰化している状況はみられなかった。沖縄戦を境に逃げ出したアフリカマイマイはわずか5~6年の間に爆発的増殖をなした。特に沖縄中南部では敗戦後の食糧難時代と重なりタンパク質源として大量に食用にした。」(『沖縄の帰化動物 海をこえてきた生きものたち』(嵩原 建二、沖縄出版、1997年))とあり、「缶詰や乾燥粉末(ふりかけ)にして食材にする試みもあったが、安定した原料の供給が難しく企業化には至らなかった経緯がある」(同前)ということも書かれています>とのことでした。

  13. 1930年代初頭には沖縄に移入されたようです。加熱すれば食べられるようですが、“ぬめり”を取るのが大変のようです。

  14. また、やはり沖縄の方の“ひーじゃー通信”の記事「沖縄の危険生物!アフリカマイマイ触るな!うまい!?」には危険性と数多くの卵を産んだアフリカマイマイの写真などが載っています。



2.教材紹介「豆電球の分解」…………………………………… 阿久津 嘉孝


  1.  今の電気製品は充電池で動いており、子どもたちは乾電池を知らないようです。 そこで、「豆電球、乾電池、導線(自分で何本かは選ぶ)を使って灯りをつけなさい」と課題を出したのだそうです。

  2.  やはり生徒はなかなかうまくできなかったということで、豆電球を分解してみることにしたのだそうです。

  3.  かなり以前は、口金部分をバーナーで熱すると接着剤が溶け出し、分解した導線つきのガラス球をアルコールに漬けておくと、きれいに接着剤が取れました(一部、できない豆電球があった)。いまの豆電球では、ペンチなどで口金を挟み、バリバリと接着剤を細かく砕いて取り出す必要があるということです。口金を取り外して現れた導線に乾電池をつなぐと灯りがともり、電気の流れがイメージできました。

  4.  阿久津さんからは最近の豆電球の記号について、「以前は回路がわかるような記号だったが、いまはわかりにくい記号になっている」(右上の図)との問題点の指摘もありました。



3.実践報告「ICT機器を使った“作用反作用”」………………町田 智朗


  1.  「イージーセンスビジョンと力センサー(ナリカ)で作用反作用の同時性を示せたのではないか」「今までと比べて、少しは生徒の意見を取り上げられるようになったのではないか」と、実際に実験しながらの実践報告でした。

  2.  センサーを取りつけた2台の力学台車を糸でつなぎ、反対向きに動かす(2台が引っ張り合う)実験について鷹取さんから、「糸ではなく、針金を使っては駄目なのか」との質問がありました。糸が振動し、センサーの波形にノイズが出ていたからです。阿久津さんは、「直接つなげれば、それが一番いい」とのことでした。フックを少し開くとつなげられそうだからです。

  3.  町田さんは今まで例えば、「磁石が鉄に引かれる力」という言い方で授業を進めていたそうですが、今回から「磁石が鉄から左(右)向きに受ける力」という言い方に変えたそうです。これについて阿久津さんは、「なぜ変えたのか?以前の表現であれば、その物体が押されているのか引かれているのかを考えられる」との意見がありました。

  4.  町田さんは大きな箱と人、その接点に右向きの矢印をつけ加えた図を2つ描きました。そして、「同じ右向きでも、こちらは物が引かれている。こちらは、人が押されている」と説明しました。阿久津さんは、「図があればわかるが、文だけだとわからない」との意見でした。

  5.  町田さん:まず“AがBから受ける力”と捉える。この“~から”という言葉が重要ではないか。そして“◯◯向きの”、“◯◯Nの大きさの”とつけ加えて理解できる。

  6.  阿久津さん:“押す”“引く”がないと、向きがわからない。

  7.  町田さん:“右向きに”と言えば、“右向き”ということ。

  8. と、続きました。

  9.  町田さんのこの新しい表現は、小野洋さん(埼玉)が提唱したものらしいですが、手塚さんも、「小野洋さんの表現は、文章が長くて使いづらい。“押す”“引かれる”の方がシンプルな表現に思う」とのことでした。

  10.  町田さんによれば、「“茶碗が地球に引かれる力”というのはわかるが、“押す”“引かれる”では、迷う子がいる」とのことでした。

  11.  この問題、まだまだ実践的な検討が必要なようです。

  12.  鷹取さんが、「質問13でいきなり5N計と10N計が出てくるが、単位あたりのバネの伸び方は理解しているのか」と質問。町田さんは、「この質問をする前に、500gのおもりをそれぞれに下げて、同じ“500g”のメモリを指すことは確認している」と説明。阿久津さんは、「うちは工業高校だからかもしれないが、生徒は“そんなの同じに決まってんじゃん”と言う」とのことでした。町田さんは、「うちは、勘違いする子もいる」ということです。

  13.  “同時性”について町田さんは、「生徒は“ぶつけられたから反発して…”つまり、同時でないと思っているようだ。今まではなかなか授業で示せなかったが、今回はセンサーを使ってみたのだが、どうだろう」と問われました。阿久津さんは、「もしハイスピードカメラでうまく撮影できたら、そちらの方がいいが…」とのことでした。


4.『理科教室』を読んで「『理科教室』2015年10月号」……手塚   博紀


  1.  特集「小学校からの“力”の授業づくり」についての感想でした。

  2.  塚本松実さん(広島)の中学校での実践について手塚さんは、「課題5の実験は、同じ長さ2本にした方がより本質的で、落下運動につながりやすいのではないか?」とのことでした。

  3.  阿久津さんの論文に関しては、「慣性と作用反作用に関して、“原理”と書かれているが、“法則”では駄目なのか」との質問があり、阿久津さんは、「“法則”というのは広いとらえ方であり、慣性も作用反作用も証明不可能な基本的なものという意味で、“原理”としている」とのことでした。町田さんは、「阿久津さんの論文には多くの参考文献がきちんと書かれていて、きちんと読んでいる」と、感心していました。

  4.  鷹取さんは『理科教室』の編集に関して、「特集ではいろんな執筆者が書いているがバラバラで、前の論文とのつながりがない。系統的な学習として、小・中・高それぞれの段階ではここまで、という視点での統一性がない」と注文を述べました。