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日 時:10月28日(金)19:30~21:00
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場 所:国分寺市本多公民館
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今回はみなさんさまざまな用事と重なり、参加者3人と寂しいものになりました。それでも、3人集まれば立派な“集団”。サークルが成立します。予定通り、しっかりと行いました。
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来月は中央沿線理科サークル発足以来200回目の例会です。終了後は忘年会です。多くの方の参加をお待ちしております。
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1.実践報告&実験「最大摩擦力の測定に握力計を利用する」……………… 町田
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大きな実験器具を持ち込んでの報告でした。
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静止摩擦係数を算出するために静止摩擦力を測る方法について、これまで物理教師の間でいろいろと試行錯誤がなされてきたようです。一般的な方法は、机の上の重りを、バネばかりで少しずつ引っ張り、重りが動き始めたときのメモリを読み取るというものだそうです。しかし、このときの目盛りを読み取るのが非常に大変で誤差も大きくなりがちだといいます。また、摩擦角を利用する方法もあるそうですが、計算で三角関数が必要となるため苦労するようです。
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そこで、バネばかりの代わりに容器を取り付けたひもを定滑車にかけ、容器に水を徐々に入れていく方法も考案されているそうですが、町田さんは握力計を使っているといいます。握力計では加わった力の最大値が保持されるため、簡単に最大摩擦力がわかるのだそうです。
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<8kgの台といすに57kgのAくんを乗せて水平に引いた場合、何kg力以上の力で動くか>という課題で、実際に握力計で測定したところ、結果は20kg力と全員で確認できたそうです。
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そして摩擦係数を計算、静止摩擦力、最大摩擦力、動摩擦力という言葉とその意味を、グラフを使って確認しています。
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この後の流れについて以前は、「摩擦力が見かけの面積とは無関係であること」「摩擦力は物体の質量に比例すること」「物体の質量が変化しても摩擦角は変化しないこと」などを学ぶようにしていたそうです。最近はこのあたりを割愛し、摩擦熱や摩擦音などを丁寧に扱った方がいいのではないかと、検討しているそうです。
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最後に、摩擦を取り上げた科学番組「紺野美沙子の科学館(テレビ朝日/1998年4月18日)」のビデオを見せて、まとめたそうです。例会でも早送りで見せてもらいました。「腕力で劣る紺野美沙子が男性に綱引きで勝ったのは、滑りにくいスリッパを履いていたから」「丸太にロープを軽く4回ほど巻き付けただけで人がぶら下がれるのは、摩擦がロープに働いているから」「摩擦の原因は分子間力である」等など、“摩擦”が視覚的によくわかる番組だと思いました。
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2.『理科教室』を読んで『理科教室』2016年10月号 …… 堀
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気象に関する特集では、気象現象を理解するのに“雲と風”が柱になるということ、気象に限りませんが子どもの認識の順次性に即した体系的な学習の重要性を、改めて認識できました。
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ただ、特集名の“天気”という言葉は中学校までの学習を考えると、範囲が狭いのではないか、坪田さんの空気の重さを量る実験はスプレー缶の方がいいのではないか、佐藤さんのプランで、偏西風を扱うのであれば“天気は西から東に変化する”をつけ足してもいいのではないか、小幡さんの実践では、ご自身も“今後の課題”とされていますが、気圧をどのように理解させるかが難しいところ、等などの意見を述べさせていただきました。
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鈴木さんからは、実践記録「アサガオの学習をたねさがしへつなげる」(鈴木 康晴さん)について、なぜこの学習をやるのか、どういう学習価値があるのかが書かれておらず、どのような科学的事実を共有させたいのかわからない、との感想が出されました。鈴木さんはこれまでの科教協の実践をひもときながら、子どもたち自身に観察の目的意識を持たせることの大切さに改めて気をつかされたとのことです。
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鈴木さんはまた、「カバーガラスを1枚ずつ確実に取り出す器具の作り方」(西川 洋史さん)を読んで実際にストローと粘着マットを作ったということで、持参して実演してくれました。使わないときの収容の仕方に一工夫が必要ですが、気持ちよく1枚ずつしっかり取り出せていました。
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3.写真報告「台風10号被災地・久慈市&岩泉町ボランティア活動」……………… 堀
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まずは、台風10号の経路図(気象庁)と天気図(日本気象協会)を示して、台風10号の動きを見てみました。ウェザーニューズ社の考察を中心に、各局の気象情報を元に台風10号の動きをまとめてみると、以下のようになるでしょうか。
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(1) 小笠原・南鳥島はるか沖で熱帯低気圧が発生。
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(2) 熱帯低気圧の北側にある高気圧から吹き出した東風に乗り、西に進む。
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(3) (2)の高気圧と、大陸側にある高気圧に挟まれて北上できず、大陸側の高気圧から吹き出す北からの風で南西方向に移動。
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(4) 21日午後9時に四国南方沖(当初は“19日八丈島沖”と発表)で、最大風速が17.2m/s以上に達して台風10号となる。
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(5) 海水温の高い沖縄東沖で発達、台風の目も現れる。
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(6) 例年より日本近海に位置し、台風10号より北側にあったモンスーン渦(モンスーントラフ)と呼ばれる大きな低気圧性循環(反時計回りの風の流れ)の南西風と、モンスーン渦の南まで張り出してきた高気圧から吹き出した南西風に乗って北東方向にUターン。
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(7) 北上した台風は、通常なら太平洋高気圧の縁を回るように北上して偏西風に乗って日本列島から離れていくが、今回太平洋高気圧は東に偏っており、偏西風も北に位置していたために北東に進めなかった。
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(8) さらに、西日本上空に居座った寒冷渦(寒冷低気圧:蛇行した偏西風が切り離されてできた寒気を伴う低気圧)の反時計回りの風に乗って、東北地方太平洋岸に上陸(観測史上初)。
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気象庁HP 台風経路図 平成28年(2016年)は下をクリックしてください。
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http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/route_map/bstv2016.html
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このページの左上にある小さな長方形についている下向きの矢印をクリックし、「【8】第10号(上陸)」を指定すると経路図が出てきます。
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まだモンスーン渦や台風発達のメカニズムなど、不明な点もある(山田広幸・琉球大理学部准教授:「毎日新聞」2016年8月26日)そうですが、『理科教室』10月号特集の通り、風がキーになることは間違いないところです。
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この台風10号は、北海道や東北に甚大な被害をもたらしました。その中の、岩手県久慈市と岩泉町に9月末にボランティアとして出かけ、泥かきをしてきました。何枚か写真を撮ったので、それを元に報告をしました。
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バスで移動したのですが、太平洋に注ぎ込む川ではあちこちで流木が引っかかっていたり、崩れた路肩を復旧する工事が行われていたりしました。
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久慈川の氾濫で久慈駅前は2m半も浸水したそうで、ホテルはボイラーをやられて休業。8月に新規オープンしたばかりの“あまちゃんハウス”も休業して、後片付けに忙しそうでした。依頼のあったお宅は久慈川のすぐ近くで、数10cmほど浸水したようで、かき出した泥で400枚あった土嚢袋は使い切ってしまいました。
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岩泉町は、復旧にもまだまだほど遠い感じでした。流木はもちろん、壊れたり、ひっくり返ったりした車などがそのままになっているところを多く目にしました。依頼のあったお宅は、1階の天井近くまで浸水したということでした。泥は粘土のようになっていて、シャベルですくって放り投げようとしてもくっついたまま。長靴は、もぐり込んでいくような状態でした。
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岩泉町では小本川の氾濫でグループホームが浸水、お年寄り9人が犠牲になるという事態も発生しました。その前も通りましたが、全国どこにでもある谷間の集落です。小本川の氾濫原に家々があります。災害があるたびに思うことですが、自分たちの住んでいる場所がどういう地域なのか理解できる教育の重要性を感じました。