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  1. 2015年11月例会


  2. 日 時:2016年1月22日(金)19:00~21:30

  3. 場 所:国分寺市本多公民館


  4. 1.ビデオ報告「ウガンダ・多様な野生動物に会いに!」その3……………… 堀

  5.  前回のキバレ森林公園から南下、赤道を越えて到着したウガンダ西部にあるクイーン・エリザベス国立公園の報告です。この公園は大阪府よりやや広く、広大なサバンナ地帯、南部の森林・渓谷地帯とともに、ルウェンゾリ山系を水源とする湿原地帯があり、多くの野生動物を観察することができます。このうち、サバンナ地帯でのサファリの様子を見ていただきました。

  6.  カバ、デファサ・ウォーターバック、ウガンダコーブ、モリイノシシ、イボイノシシ、ケープバッファロー、ライオン、アフリカゾウ、そしてマルミミゾウの可能性があるゾウなどの哺乳類、ヤシハゲワシ、アカノドシャコの鳥類などです。

  7.  ライオンに補食されたケープバッファローの骨、ウガンダコーブ観察では、ディスプレイ(求愛行動)やおなかの大きな雌も見られました。映写後質問が集中したのはマルミミゾウについてでした。

  8.  ジョージ湖畔の漁村で、通常はあり得ない光景を目にしました。村人たちがゾウにバナナを与えているのです。このゾウは幼い頃母親を亡くし、村人たちが育てているとのことでした。現地ガイドによれば「森に棲むゾウ」というので、(マルミミゾウかもしれない)と思いました。

  9. マルミミゾウはシンリンゾウともいいます(英語でもForest Elephant)。森に棲み、アフリカゾウより小型ということで亜種と考えられていましたが、最近ではDNAの分析により別種だとする説が有力となっています。

  10. 一般的にはマルミミゾウの耳は丸みを帯び、蹄の数も前あしが5本、後あしが4本(アフリカゾウは前あしが4本、後あしが3本)とされていますが、個体によって変異もあり、必ずしも分類の決め手にはなっていないようです。


  11. 2.実践報告「速さを速さのままで進める授業の展開」……… 阿久津

  12. 阿久津さんは「平均の速さをやらない。それでも無理はないし、やらない方がいい」「教科書では平均の速さから入り、その極限として瞬間の速さを取り上げている。やるとしたら、まず瞬間の速さをやり、その速さを平均して“一定の速さだったら”と考えて平均の速さに入る方が自然だろう」と、指摘します。

  13.  その上で、「運動と力」の3つの課題の授業報告がありました。

  14. 《学習課題17》新幹線と西武線急行列車、速さが大きいのはどちらか。

  15. 《学習課題18》摩擦がほとんどない斜面を滑り落ちる物体のv-tグラフは、どんな形になるか。

  16. 《学習課題19》摩擦がほとんどない斜面の下から、斜面に沿って上向きに物体を走らせる。物体のv-tグラフは、どんな形になるか。

  17.  “速さ”については課題17の1回だけで、あとは“速度ベクトル”(瞬間の速さ)を使って授業を進めています。ノートに書く時間を確保するため、一つの課題を2時間続きの授業で行っているそうです。

  18.  課題17は、条件を提示せずに出しています。生徒たちは経験や、最高速度をイメージしたりして意見を出します。そこで阿久津さん撮影の映像を見せます。まずは西武線急行列車があっという間に駅を通過する映像。続いて新幹線がゆっくりと東京駅に入線してくる映像。当然、「ずるい!」との声も上がります。

  19.  ここで、「物体は瞬間瞬間に速さがあり、速さはそのままの速さで決まった時間に進む距離で表す」と教え、km/時とm/秒の意味を確認します。確認として、走るWくんと自転車に乗ったIくんの映像を見て、ゴールしたときの速さ比べをしています。

  20.  町田さんから、「WくんとIくんの問題をやった方がいい理由は?」「どうやって速度を測ったのか」と質問がありました。阿久津さんによれば、「生徒たちは単位換算ができないことが気になったから」「自転車の方は、ゴールしたときに速度計(km/時)を読んでいてもらった。走者の方はビデオ画面に表示される1秒間に、コース横のマーカーいくつ分通過するか(m/秒)で測った」とのことでした。

  21.  また、町田さんからの「課題19の生徒の予想はどうだったのか」との質問には、「人数分布は記録していない。今後は記録していきたい」とのことでした。この実験の“瞬間の速さ”の測定はイージーセンスビジョン(ナリカ)で行うとのことですが、手で押し上げているときは、実際に結果としてほしいデータである、手を放した後と違うので、町田さんは「手から離れた後」と言ったらどうかと意見を述べました。


  22.  阿久津さんは単位の換算ができないことが気になるようで、「授業の展開とは関係ないが、やはり扱うべきか」と問題を投げかけました。機械科の生徒は簡単にやるそうですが、「m/秒×3.6=km/時」と機械的に暗記することを強要されているだけとのことです。

  23.  町田さんは、「授業の流れの中では必要ないが、やがて車に乗ることを考えると、単位の換算はどこかでやる必要がある」「たとえば、“100 km/時で3秒”がわからない。その車内でCDを代えるとする。入っていたCDを取り出し、新しいCDを差し込むまでに3秒かかったとする。そのとき、“およそ1tの鉄の塊がおよそ90m進む”ということが理解できないといけない」との意見でした。

  24.  阿久津さんは、「この問題は速さだけでなく、ほかの内包量についても言えそうだ。その背景には、分離量学習段階でのかけ算・割り算の意味づけができていないことがあるのではないか」と小学校段階での学習の重要性を指摘しました。科教協東京支部冬の研究集会(2016年2月14日)でも、議論になるかもしれません。


  25. 3.実践報告「天文の学習の前に行う“方位”の学習」……… 五十嵐

  26.  以前のサークル例会で、「天文学習では方位がわからないと、どうにもならない」と聞いたものの、(方位くらいはわかっているだろう)と思っていたそうです。いざ生徒に確かめてみると、実にあやふやだったそうです。

  27.  そこで、天文の学習の最初に方位学習を入れてみた実践報告でした。いきなり“東西南北”では興味を持たないだろうと考え、最初はNHKの「宇宙の旅」を見せたそうです。その後は、用意したプリントに沿っての授業です。

  28.  地球を外から見たときの方位は難しく、地球儀を用意して行ったそうです。これについて石川さんからは、「地球儀での説明は、生徒にもわかりやすい。(方位の十字線の)紙を地球儀に貼るともっとわかりやすいのではないか」「プリントの<北・東・南・西を正面にしたときの方位を記入しよう>の、“正面にしたとき”という表現がわかりにくい」と意見が出されました。

  29.  これについて町田さんからは、「<北・東・南・西を向いたときの右手側の方位は?>などと、もう少し具体的なイメージを持たせるといいのではないか」、阿久津さんからは、「イメージづくりという点からいえば、方位の十字線の中心に、小さな人形を置いて、その顔の向きから考えさせるといいのではないか」と、意見がありました。


  30.  地球儀について五十嵐さんから「一つの学校では大きな地球儀しかなく、前の方の生徒にはわかるが、後ろの席の生徒にはわかりづらい」と話があり、石川さんは「小さな発泡スチロール球でできる」、町田さんは「以前勤めていた学校には、小さなビーチボールのような地球儀があって、地理の先生が10個くらい用意してやっている」と出され、阿久津さんも「最低10個は必要」と話が出ました。いずれにしても、講師で2校持たれているので、教具の準備は大変そうでした。

  31.  町田さんから、「“北を向いて”ということで実践されているが、“南を向いて”の方がいいのではないか。南中を見るのには太陽の方を見るのだから」と意見が出されました。これについては、鈴木さんから「太陽をずっと見ているわけにもいかないので、棒を立てたりしてその影を観察することになる。すると、北を見ることになる」と意見がありました。日本(北半球)の場合地図も北が上になっていて、北を向く方が自然だということもあるようです。


  32. 4.『理科教室』を読んで「『理科教室』2016年1月号」…… 町田

  33.  口絵写真を見たとき、こんなふうに(ハワイで火山を観察できる研修旅行なんてうらやましいな)と思っていました。町田さんによれば、「自分が高校生なら行ってみたいが、教員なら引率が大変」ということで、(確かに!)と思いました。

  34.  巻頭エッセイに関して、町田さんの「“再生可能エネルギー”という言葉はずっと気になっていた」というのは、私も同じでしたから、エッセイでの吉木健さんの指摘は大事だと思いました。ただ、「renewable energyを“再生可能エネルギー”ではなく、“更新可能エネルギー”とすべき」ということには、町田さん同様違和感があり、英語の直訳ではあっても吉木さんご自身意味づけされた「事実上消費しても減少せずに無尽蔵にあって常に補充されるので常に新しい」には対応しないように思いました。

  35.  話題になったのは、高橋洋さんの「小学校化学教育としての“酸のはたらき”」のときです。町田さんの娘さんがちょうどこの部分を学習していて、そのノートを見ると教科書通りで、きれいに表にまとめられていますが、表づくりのための授業のようです。町田さんが娘さんに聞いたところ、塩酸は何が水に溶けたものかは教えられない中で、蒸発させると何が残るのかを予想させる授業だったとのことです。

  36.  阿久津さんと鈴木さんは『理科教室』が4月号から本の泉社になることにあわせ、原稿のチェックをする仕事を引き受けたそうです。しかし、「どこまで指摘すればいいのか」と戸惑いを話されました。