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日 時:2016年3月4日(金)19:00~21:30

場 所:国分寺市本多公民館


 鈴木さん、阿久津さんと、提案予定者がやむを得ない事情で不参加となってちょっと心配でしたが、若い方が複数参加されたので、新鮮な感じで会が行われました。


1.『理科教室』を読んで「『理科教室』2015年2月号」…… 津田

 幅広い範囲の記事についての考察でした。

 まずは、巻頭エッセイを書かれた鷹取さんから「忘れない3・11展」について話がありました。小平市内のさまざまな団体が参加、公民館で開かれる催しで、鷹取さんは実行委員会委員長をされているそうです。震災5年ともなるとなかなか市の協力を得るのが難しいそうですが、“忘れない”ことがつぎの災害への備えにつながるのではないかと思いました。

 鷹取さんからはまた、「“今月の授業”は4ページしかなく、筆者の主張を読みとりにくい面がある」「(“実践記録・物のあたたまり方”の考察で津田さんが述べた)“熱平衡”は数十年前に“温度平衡”ということでやっていこう、と議論があった」と話されました。

 津田さんは“実践記録・化学変化~二酸化炭素の還元~”の、火をつけたマグネシウムリボンで二酸化炭素を還元させる実験について、同僚の化学の教師に「丸底フラスコの中でやるのは危険」と指摘されたことを紹介しました。これについて町田さんからは、「自分もこの方法でやっている。この実験は単独のものではなく、酸素中で炭素を熱して参加させる実験からの一連のものなので、丸底フラスコを使う。炭素はデッサン用の木炭がいい。風船は安全のためにつける」との話がありました。

 この課題に入る前のところで“銅と硫黄を指でこすり合わせると硫化銅ができる実験”をやったことが記されていました。これについて町田さんから、「自分も同じことをやったことがある。そのときある生徒に『それは摩擦熱があるからじゃない?加熱しているじゃん』と言われたことがある。そこで銅板の上に硫黄を置き、テープを貼っておいた。2~3日後には黒くなって変化していることを確認できた」と経験談がありました。

 この実験で銅板が黒く変化したことから金属でなくなったことは確認できますが、電気は通すようです。Wikipediaにも、「硫化銅とは銅と硫黄とから成る無機化合物で、組成および銅や硫黄の酸化数の違いにより、硫化銅(I) (Cu2S) と硫化銅(II) (CuS)、ほかさまざまな組成比の化合物が知られる」とあり、硫化銅(I)も硫化銅(II)も“電気の良導体”であると記載されています。


2.教育問題「都立高校入試問題」……………………………… 町田

 都立入試で採点ミスが続発したニュースは記憶に新しいところです。昔は「採点の際は生徒と接触してはいけない」とされ、採点日は2日間くらいあったそうです。ところがいつのまにか採点日はなくなり、空き時間に採点せざるを得ないような状況に…。校長に、「いつか間違いが起きますよ」と言っていたのに改善されず、ニュースのような事態になったそうです。この事態を受けて、やっと昨年から採点日が設けられたそうです。都教委には“想像力”というものがないのでしょうか。

 (1)斜面を滑り落ちる物体にはたらく力の矢印に関する問題、(2)二十四節季の問題、(3)月と金星の問題、(4)ドライヤーの問題の4点について、問題が指摘されました。

 (1)について町田さんは「正解がない」と考えました。またほかの方からの指摘により、「正確に解くためには、高校3年の“モーメント”を学ぶ必要がある」と理解したそうです。ただ、「中学校でどのように指導しているかによっては模範解答も、科学的事実とは違っても妥当なのかもしれない」と思い、今後「中学校の教科書を見て検討してみたい」とのことでした。

 (2)については、これまでもたびたび指摘されていたところですが、回答するのに関係のない、長々とした前置きの文章が問題とされました。二十四節季の説明は、その後の4つの問題を解く上でまったく関係がないのです。塾では、「前の文なんか読まなくてもいいよ」と指導しているようです。

 (3)では、〔問3〕の冒頭に「<結果1>と<結果2>から」と書かれているのに、その観察結果からは判断できないもので、「全員正解とすべき」とのことでした。選択肢4つのうち2つは科学的事実に合致し、2つは間違いです。しかし、2つの観測結果からは判断できません。町田さんは好調に説明をして都教委に問い合わせをしてもらったそうです。結果は「問題点は認識しているが、正答は変えない」というものだったそうです。

(4)では、ドライヤー内の電熱線とモーターのつなぎ方を問うていますが、わざわざ「“風の温度”と“風の強さ”の語句を用いること」との制約を加えて問題を複雑化していました。町田さんの指摘のように、「直列につないであると、Cool(電熱線をOff)にするとモーターが止まってしまうから」と考えた方が自然です。

 そして、この問題の冒頭に「<結果2>から」とありますが、その<結果2>を見ると室温が21.6℃だったものがドライヤーのCoolで送風してから数秒後に21.3℃とわずかに下がっています。体感温度ではなく、デジタル温度計での測定結果です。(通常の状態よりも気体分子の持つ運動エネルギーが大きくなっているので、温度は多少上がっているはず)と、町田さん持参のドライヤーと温度計で計測すると、温度は上昇しました。問題作成者は、この実験をやっていない可能性がありそうです。


3.フィールドワークに向けて「富士山」……………………… 鷹取

 5月末に予定している、生物サークルと合同の富士山フィールドワーク(1泊2日)について、1日目に小田原から酒匂川を遡り、岩屑なだれ跡や宝永噴火後の復旧・復興作業の確認など、2日目に宝永火口や植生の観察などのコース案と、資料の説明だけされました。

生物サークルで詰めた後、4月の例会で詳しい検討をすることとしました。


4.ビデオ報告「ウガンダ・多様な野生動物に会いに!」その4 ……………… 堀

 クイーン・エリザベス国立公園の湿原地帯の観察報告でした。

 ボートに乗っての観察で、カバやナイルオオトカゲ、ナイルワニ、アフリカゾウ、ケープバッファロー、キバシウシツツキ、ハダダトキ、シュモクドリ、サンショクウミワシ、カワウ、アフリカトキコウ、ツメバゲリなどの映像を紹介しました。