2019年11月例会報告
 
  1. 日 時:2019年11月22日(金)19:00~21:45

  2. 場 所:国分寺市本多公民館


1.報告「台風19号で被災」

  1.  掃部さんのご自宅は、荒川の支流である新河岸(しんがし)川のさらに支流の柳瀬(やなせ)川に近いところにあるそうです。ことし10月の台風19号上陸の際には家の近くにある水位計のライブ映像をPCで確認できるということで、ずっと注視していたそうです。その結果「これは危ないぞ」と、奥さんと一緒に避難したそうです。

  2.  天候が落ち着いたところで戻ってみると、泥水による床下浸水の状態だったそうで、泥が乾かないうちに洗い流すなど後始末に追われたそうです。20年前にも浸水があったそうですが、当時は下水道がなく、トイレから汚物があふれて大変だったということです。現在は下水道も完備されているため、「まだよかった」とのことでした。

  3.  そんなことを「荒川流域の高低差まるわかりMAP」(埼玉県立川の博物館)を見て確認しながら報告されました。ほかの人も、このマップで自分の家の位置などを確認して、当日のようすなども話し合いました。


2.授業プラン「秩父長瀞修学旅行を見据えた授業プラン」

  1.  2年生の5月に実施される秩父長瀞の修学旅行を前に行う授業の、『学び合い高め合う中学理科の授業』(大月書店)をベースにした大まかな流れを提案されました。

  2. 阿久津:授業内容は①から⑪まで(宮口さんの資料参照)記されているが、全体で11時間を想定しているのか。

  3. 宮 口:実際は、14時間くらい。

  4. 阿久津:到達目標に「(関東地域は)東側が隆起し西側が沈降した」とあるが、これでいいのか。

  5. 宮 口:反対だ。打ち間違えた。「東側が沈降し西側が隆起した」が正しい。

  6. 阿久津:学習の一番最後を山地にした理由は?

  7. 宮 口:いまはこの流れにしている。悩んでいるところではある。

  8. 阿久津:「削れているけれど、なぜ山があるのか」という流れかな?

  9. 宮 口:そんな感じ。

  10. 掃 部:①から⑪は、大月の本の通り?

  11. 宮 口:②③④⑤⑨⑩は、本に近い。

  12. 掃 部:地学の場合、教える順番はいろいろある。教員のポリシー次第。関東平野は第4紀だが、秩父は中生代。中2では(関東山地の生い立ちを探る)⑨⑩⑪は難しそう。

  13. 宮 口:修学旅行では、それまでに学んだことを生かして、初めて秩父にあるものを見ることとなる。

  14. 掃 部:秩父のどこを見るのかは決まっているのか。以前は、全部見ていたように思う。

  15. 宮 口:以前と変わらない。①(日本とその周辺の地形)は、秩父で見るポイントと結びつけた学習になっている。

  16. 鷹 取:教材について、もっと具体的なイメージがほしい。

  17. 阿久津:⑨では「山地に海底でできた堆積岩からなる地層があるか」となっているが、つぎのような問いかけはできるか。「なぜ山が高いか」がその前にあればいいように思うが。

  18. 宮 口:なるほど。秩父の生い立ちには、かなり高校の内容がある。

  19. 町 田:同じく⑨が気になっている。この前に、「削られているのに、なぜまだ高いの?」という問いかけがなければ、難しい。武甲山、あれはもともとなんだったのか、という話になる。元は海の中にあった。そうすれば真っ白の岩の意味も生徒に入りやすい。秩父鉄道がセメントの搬出につくられたという話にもつながる。

  20. 宮 口:そうですね。

  21. 小 川:秩父の不整合は入る?

  22. 宮 口:ここには欠けている(出てこない)。

  23. 小 川:教科書には“ようばけ”も出てくる。

  24. 掃 部:秩父は地学のいろんな現象が見られる。フォッサマグナもあるし。

  25. 鷹 取:個人の事前学習があるが、独学でどこまで分かるのか。授業の中で、いくつか扱った方がいいと思う。

  26. 宮 口:ここ最近は、自分でもそう思っている。

  27. 阿久津:修学旅行の意味は、地質的なものを学ぶためのものということか?

  28. 宮 口:その通り。

  29. 鈴 木:個人の事前学習などでは、調べるポイントを指示するのか。

  30. 宮 口:河岸段丘の形成とか、岩石とか10項目くらい提示する。

  31. 鈴 木:地域の文化などは?

  32. 宮 口:班ごとの学習で。他教科の内容に関わる部分については、教師によっては授業で扱ってくれることもある。

  33. 阿久津:総合的な学習の時間は、時間割の中にあるのか。

  34. 宮 口:ある。

  35. 小 川:これまでの実践の冊子はあるのか。

  36. 宮 口:しおりは、ある。

  37. 小 川:しおりを使うことは考えていない?前のしおりを使うなどすることを入れていった方が、期待感を持たせられる。

  38. 鈴 木:2泊3日の修学旅行中は地学だけ?地域の生活や文化などはできない?絹織物や秩父事件などもあるが…。

  39. 宮 口:事前学習では勉強するが…。

  40.  堀 :小学校なら担任だからできるが(中学校では専科なので厳しそう)。


  41. 参 考 ⇨ ジオパーク秩父 https://www.chichibu-geo.com/story/birthplace/


3.教材紹介「火山の教材有珠山を例に   

  1.  今年の5月例会での、手塚さん提案の実践報告「地震と火山(中1)」についての火山領域に関する詳しい検討と、それを元にした提案がまずありました(資料参照)。

  2.  手塚さんの報告では詳しい教材が分からないが、本当に生徒たちが火山について理解できた授業だっただろうかという指摘、その上で有珠山を例にした火山についての基本的な内容と教材の提案がありました。手塚さんが使ったミマツ・ダイヤグラムについても、「それだけでなく、三松正夫の定点スケッチも合わせて使うべき」とのことでした。

  3.  その後これらの資料と、2004年の科教協札幌大会に合わせて行われたサークルのフィールドワークで訪れた有珠山の映像を7分にまとめた自作ビデオの紹介がありました。

  4.  つけ足しとして、「当時の高校教師が噴火による避難を記録した体験記を、生徒に読ませてもいいのではないか」との話がありました。


  5. 参 考 ⇨ 洞爺湖有珠山ジオパーク http://www.toya-usu-geopark.org/


4.『理科教室』2019年11月号を読んで

  1.  特集「地震の授業をどうつくるか」中心の感想でしたが、話し合いに多くの時間を割いたのが、“教科書を超えるプラスワンの授業”の「流れる水のはたらき(小5)」でした。

  2.  参考資料として、京都学園大学の「日本列島の流域区分と中央分水嶺の抽出中央分水嶺ロングトレイル構想に向けて」を用意して、つぎのように指摘しました。

  3. 「川の水がどちらからどちらに流れているか」を考えさせるのに「白地図を使って理解できるだろうか。日本列島の立体地図を使って分水嶺を学習、さらに砂場で山脈をつくってじょうろで水をまいて観察させるなどしてほしい」との意見でした。

  4.  鷹取さんも「分水嶺を考えるのに<川の始まりはどこか、探してみよう>という課題を考えたことがあった」とのことで、「小学校サークルで“白地図はダメ”と指摘したことがあった」ということです。


5.教具紹介「ワイヤレスセンサ(島津理化)」

  1.  島津理化の及川 俊尚さんを学校に向かえ、ワイヤレスセンサを紹介してもらったそうです。温度や圧力、電流、電圧など、様々な測定とグラフ化をワイヤレスで実現するそうです。

  2.  圧力センサを風船の中に押し込み、風船をふくらますと、風船内の圧力が空気を入れ始めてから一度大きく減少することがグラフ化されたそうです。風船を口から息を吹き込むとき、最初は抵抗が大きいものの、ある時点でスッとたやすくふくらむ瞬間がありますが、それがグラフ化されたようです。「弾性限界に達したということじゃないか」などの声がありました。

  3.  町田さんは非常に興味を持ち、「ぜひ来年度の備品として購入したい」と話していました。

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