2019年6月例会報告     過去の例会へ ホームへ../zhong_yang_yan_xian_li_kesakuruHP/guo_quno_li_hui.html../zhong_yang_yan_xian_li_kesakuruHP/homu.htmlshapeimage_1_link_0shapeimage_1_link_1
 
  1. 日 時:2019年6月28日(金)18:50~21:45

  2. 場 所:国分寺市本多公民館


1.ビデオ報告「高尾山の植物山麓北部、小仏川流域の観察から

  1.   ことし4月2日に行われた生物サークルと合同の高尾山フィールドワークの、ビデオ報告です。小仏川沿いの植物の映像を中心にまとめたものです。駒木野公園から蛇滝口近くまで続く遊歩道は私有地ながら、「地主の好意で公開されている」と表示されていましたが、四季折々の植物が花を咲かせ、多くのハイカーが訪れています。

  2.  まずは鷹取さんから資料を読む形で問題意識が話され、ビデオを見ました。終了後まずあった質問が、鈴木さんからの「タカオスミレは地上茎があるのかないのか。地上茎の図がその場面にあったが、タカオスミレにあるのかないのかの説明がなかった」というものでした。小川さんから、「タチツボスミレのようなものは地上茎があるが、タカオスミレにはないのでは?」との返答がありました。『スミレハンドブック』(山田 隆彦:著/文一総合出版)は地上茎のあるものとないものとを前後半に分けて掲載していますが、それを見ると小川さんの言う通りでした。

  3.  昨年の4月2日に行われた、ほぼ同じコースを歩いた自然科学教育研究所の自然観察会には参加したものの、今回は参加できなかった掃部さんからは、「昨年とことしの植物の違いは何かあったか」との質問がありました。ほぼ同じような植物が観察できたと思ったので、「特に違いはなかったように思う。」と答えました。鷹取さんから、「ああいう渓流沿いでは岸が崩れて植生が変わることがある」との話があり、思い出して「昨年は日影の木道先で大きなハナネコノメの群落を見たが、台風で流されてことしは見ることができなかった」と伝えました。

  4.  そもそもこのフィールドワークは、小川さんが「カテンソウの雄しべが展開するところを見てみたい」ということで、鈴木綾子さんとともに「じゃあ、春に歩いてみようか」という話から始まりました。ところがビデオにはカテンソウの雄しべは映っていたものの、雄しべが展開したものはありませんでした。記憶違いかと思いながら「あのときはまだ、雄しべは展開していなかった?」と聞いてしまいましたが、鷹取さん撮影の映像の中にはなかっただけだとのことで、小川さん撮影の映像を鷹取さんに送ることになりました。


2.授業プラン「加速度」

  1. 以前のサークルでの検討などを踏まえてのプランの提案でした。このプランが実現できたのは、これまで困難だった「進行方向と逆向きに力が加わり続ける運動」の授業が、ICT機器の進歩によって実現可能となったことがあるそうです。

  2.  4時間目の実験で「スマートカートがいいのか?」という質問が出されましたが、「パッとグラフが出る。その前の時間にも使っているので、生徒も分かっている」とのことでした。

  3.  実際にスマートカートの実験も行いましたが、進行方向と逆向きの力が働いているのに速度0の横線より上にグラフが描かれた場面がありました。「0点を合わせていなかった」とのことで、台ばかりや上皿天秤同様、最初の設定が大事なのだなと思いました。

  4.  「生徒には難しいのでは?」との質問がありました。「難しかったかもしれない。ただ『負の速度があるのか』という疑問には、『あるんじゃない』と言える子はいるはず。グラフについても、進行方向の力がかかっているときには速度0より上、逆向きの力がかかっているときには速度0より下、というのは、問題なく出てくるはず」だと町田さん。これについて、「予想では合っていても、結果でうまく納得してくれるかどうか」との疑問が出されました。

  5.  掃部さんからは、「速度や加速度の定義は教えているのか」「速度の概念を獲得しないと、加速度にはいけない」、小川さんからは、「概念を獲得するには、いろいろやらないとダメ」などの意見が出されました。

  6.  最後に阿久津さんから、「“手から受ける力が残っているか”というのはおもしろいが、それだけで一つの課題になってしまうので、やらないようにしている。やるなら1時間取る必要がある」と意見が出されました。掃部さんは「力の認識を獲得していれば、力が残っているかどうかは解決できる」と述べ、これに町田さんは「頭では分かっていても、ストンと落ちていない」と答えました。掃部さんは「それをディスカッションするようにしたい。“力って何?”ということを、自分の言葉で言えるように」との意見でした。


3.書評「『理科教室』2019年6月号を読んで」

  1.  特集「子どもが喜ぶ地質分野の授業」が中心ですが、その前後の記事も含めた感想の報告でした。

  2.  鷹取さんからは、「(宮下さんの記事で)垂直を鉛直と表記すべきというのは、その通りだと思った。であれば、(板山さんの記事に関する感想で)航空写真としているが、今この言葉は使わない。空中写真とすべき」との指摘がありました。これについて鈴木さんは、「だとすると、p.33の写真キャプション中の“航空写真”というのは、まずいかな」とのコメント。

  3.  鷹取さんからはさらに、「(口絵に関して)1940年代に『ある日の干潟』という映像作品があった。ドキュメンタリーの中で、貴重な位置を占めていた」との指摘、「(小幡さんの記事に関して)相模原台地がどんなふうになっているのか、地形図が出てこない。ほかの地域の人には分かりにくいのではないか」との感想がありました。後者に関連して阿久津さんから、「最後に<誌面の都合上、以下省略>とあるが、参考資料の後も、前のページの下にも空白があるが…?」と疑問が出されました。

  4.  鷹取さんからはまた、「世界的に災害は筒でも起きている状況。授業で自然災害を扱い、災害現象から地学の法則性を学ばせたい。広島の土砂災害も教材になるが、地学特集の編集にない」との意見がありました。阿久津さんからは、「やりづらいから、避けられるのでは?だまされて土地を購入した人もいるし」との意見が出され、鈴木さんからも「“私たちの住んでいる土地を知る”ということもあるが、実際にはなかなか難しい」と自らの実践経験を踏まえた意見がありました。