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海の近くの水溜まり



ひとりで海の近くの道を歩いていると、汚い水溜まりがある。
去年の12月、さかんに海の近くを歩いていた。
誰もいない路地。
突然、お茶屋さんがあったりした。
こういう水溜まりを求めていたんだと思う。

そう思わないか? ひとりで、草も枯れつつある季節に、潮風に吹かれて、たまには 連れもいない歩行とともに、きみの影が流れる場所があるんじゃないのかな。
うらぶれたコートを着て、荒涼とした海や雲やら乾いた杭やらの背景に染み付くよう にしてきみがいる。

そうやって、汚い水溜まりのある路地から、遠くの街にぼくは消えていく。 背中を見せてね。




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