ここでは水位保持装置に欠かせないフィードバック制御の基礎的な理論を紹介します。
フィードバック制御とは?
図1のような電気炉はすべり変圧器のしゅう動子を変える事で電気炉内の熱を変える事が出来る。今、電気炉内の温
度を一定に保つためには温度の変化によって、しゅう動子を変えなければならない。そのためには人間が自分の目で 温度計を見て、温度計の変化によって人間の手でしゅう動子を動かさなければならない。こういった一連の動作をフィー ドバック制御という。 ![]()
次にこの制御を人間ではなく自動化させる一つの方法を示す。外から与えられた目標値とヒータで温まった炉内の温
度の測定値との差を刻々求めて、その求めた値を増幅し、その信号で電動機を動かし、それによってしゅう動子を変 化させるというものである。これを図2に示す。 ![]()
この動作のブロック図を次に示す。
![]()
フィードバック制御では閉回路を構成するので、閉回路自動制御と呼ばれることもある。これに対して、閉回路を構成し
ないものを開回路自動制御という。
フィードバック制御の原理
直流発電機の出力端子電圧を,原動機の速度の変化や負荷の変動などによって,出力電圧は一定には保たれな
い。そこでフィードバック制御を行い電圧を一定に保つ事が出来る。直流発電機の例をとってフィードバック制御の原理を簡 単な数式であらわしてみる。 ![]()
Drはこの系に与えられる目標値である。この値は一定値である。
Doは出力端子電圧で,制御量であ。増幅器に加わる電圧DeはDoとDrとの差である。すなわち,
![]()
また増幅器の出力電圧は
![]()
直流発電機では,原動機速度または負荷の変動などがない場合には,Doは界磁巻線に加わる電圧に比例する。す
なわち, ![]()
ここでGは比例定数である。これらの式から,Da,Deを消去してDoを求めると次のようになる。
![]()
上の式より,増幅器の増幅度と発電機の比例定数の積AGの値が1に比べてきわめて大きいとすれば,出力端子電圧
Dcは目標値Drにほぼ等しくなる事がわかる。この際,Drから,Doを差し引いたものはフィードバック制御の誤差であ り,この値は始めの式に示した増幅器の入力端子電圧Deであって,次のようになる。 ![]()
次に,原動機速度または負荷の変動がある場合について考える。今,発電機をフィードバック制御を行わないで運転し
ている時の原動機速度あるいは負荷の変動による出力端子電圧の変動をDdとすれば,フィードバックがある場合次の式 が成り立つ。 ![]()
したがって,上式と始めの二つの式よりDoは次のようになる。
![]()
すなわち,上式の第2項目は負荷の変動などによって出力端子電圧が受けている影響を示す値であって,フィードバック
制御を行なわない場合に比べて1/(1+AG)に低下していることがわかる。
|