作ってしまおう「水槽用配電盤」
「配電盤」なんて書くと堅くなってしまうけれど、要するに水槽廻りの電気配線を1つに纏めて集中管理する箱を作ってしまおうという
コーナーです。
このページを見てくれる人の中で水槽の後ろは電気配線でごちゃごちゃ、テーブルタップで蛸足配線なんてことはないと思いますが 水(特に海水)を使う以上電気(漏電)には十二分に注意してください。
感電や火災が起きてからでは遅いですよ。
作るに当たって特別な技術は必要ありません。
基本的に電気の基礎(+と−をつないだらショートする、生きている(100Vが印加され ている)配線にはさわらない等)を知っていれば後は必要大工感覚で作ることができます。
ただし、1つ注意事項として作成した配電盤をコンセントに接続せず直接屋内配線に接続することは電気工事士の資格が必要となります。
「小さな海」では最後の設置と屋内電気結線のみ電気屋さんにお願いしました。
それでは「小さな海」の配電盤を例として配電盤を作ってみましょう。
1.基本構想 ここでは水槽機器の何をどのように制御したいかを決めておきます。
これは以降の部品調達に影響してきます。
1.1 制御したい装置及びタイムスライス
制御したい機器別に何時から何時までどのように動作させたいかを決定します。
@ タイマー1:メタルハライドランプ(HID)(150W2台)
HIDは起動時に約500Wの電力を必要とします。(150WのHIDの場合)
点灯時間はAM10:00〜PM18:00までの6時間(1回/日動作)
A タイマー2:蛍光灯(18W4燈)
点灯時間はAM07:00〜AM11:00 PM14:00〜PM20:00までの9時間(2回/日動作)
B タイマー3:カルシウムリアクタ
動作時間はAM09:00〜PM19:00までの10時間(1回/日動作)
C タイマー4:水流用パワーヘッド(3台)
動作間隔は4時間動作2時間休止を1パターンとし(4回/日動作)
且つ、3台のパワーヘッドが同時に動作しないように間欠コントローラでランダム運転
1.2 各機器共通で考えておきたいこと
・各タイムスイッチがOff時に別途設置スイッチ(SW)により強制運転が可能なようにすること。
・危険防止の観点からHot側(屋内配線側)に漏電遮断器を設置する。
・極力半田付けは避け、ねじ止めとする。
2.部品の調達準備です。
1.の基本構想で洗い出した要件を元に必要な部品の一覧を作成します。
「小さな海」の例
タイマー制御4回路、強制On5回路、間欠コントロール2回路4接点
・24時間プログラムタイマー 松下電工 TB−171 同期型モータ 停電保証なし × 4 (TB171イメージ)
・漏電遮断機 旭東電気 KD−LB 211S × 1 (KD−LBイメージ)
・配電盤 メーカー忘れ 300w×400h×200d × 1 (配電盤イメージ)
・配線端子(ねじ止め型) 入力用 6P × 1、出力用 16P × 1
・強制On用スイッチ(250V10A) × 5
・間欠タイマーユニット イーケイジャパン ELEKIT PS−3041 × 2
・同上用電源ユニット 6V1A ・配線用銅線(1.6Φ単芯) × 3m (赤、白2色あればなお可)
・AC用平行2芯ケーブル × 20m ・ACコンセント 1P × 6、2P × 2 ・配線止め 少々 ・木ねじ 少々
3.工作に必要な工具類 「小さな海」では以下の工具を使いました。
・ドライバー ・ニッパ ・ペンチ ・ラジオペンチ ・半田ゴテ&半田 ・電気ドリル ・リーマー ・スケール ・テスター ・サインペン
4.部品の買い出しです。
晴れた日を利用して東京地区なら秋葉原、大阪地区では日本橋あたりですべのものが揃います。
大きな手提げ袋を持って買い出しに出かけましょう。
「小さな海」では総予算25,000円で全部揃いました。
5.配線図・部品配置図を書きましょう。
電気を扱うため配線図・部品配置図はしっかり書いておきましょう。
最後のチェックで重宝します。 (配線図・部品配置図イメージ)
6.さあ、組立です 本来ならここで組み立て途中の写真を入れるべきでしょうが管理人のズボらさから写真を全然写していませんでした。
完成写真と文章でご勘弁を。
配電盤外観 同カバーを開けたところ 配電盤設置位置
6.1 部品の仮配置
配電盤を開けると中に機器を配置する板(合板)がねじ止めされているので、その板の上に購入してきた大物部品
(タイマー・漏電遮断機・配線端子)等を乗せ仮に配置する。
このとき各機器の間はスペース(最低で1cm)を空けておかないと後で配線ができなくなりますので要注意。
6.2 各機器の固定
仮配置が決定したら各機器を木ねじで板に固定する。(使用する木ねじは直径が4Φで長さは各機器の使用説明書
に記載されている長さのものを使用する。(5mmほど長くても影響はないでしょう)
6.3 各機器間の配線を行う
配線図を参考にしながら必要な長さに切断した銅線で各機器間を配線する。
銅線は太い単線のため曲げるときはペンチが必要となります。
6.4 配線のチェック
図面と見比べながら配線の間違いを十分にチェックする。
このとき絶対にAC100Vには繋がないように 。
6.5 チェックリストによる電圧印加テスト
漏電遮断機を切断した状態でAC100Vを印加し、チェックリストに従って各機器の動作をチェックする。(テスターが必要です)
6.6 配電盤の完成
すべてのチェックが無事終了したら、配電盤の完成です。
7.配電盤の設置
7.1 完成した配電盤の設置
水のかからないところに完成した配電盤をねじ止めしてください。
7.2 出力(コントロール側)の配線を行う
出力側端子より水槽の各機器の近くまでACコードを配線しコンセントを取り付ける。
7.3 入力(屋内配線側)の結線を行う。
家屋のブレーカーを遮断後、配電盤の入力と屋内配線を接続する。
再度注意事項として完成した配電盤をコンセントに接続せず直接屋内配線に接続することは電気工事士の資格が必要となります。
電気工事士の資格を所持していない方は入力側にACプラグを付けて壁のコンセントより電源を取ってください。
7.4 出力コンセントに水槽機器を接続する。
7.5 配電盤内の漏電遮断機のスイッチを投入し、水槽機器に給電する。
これで設置工事はおしまいです。
管理人が1人で設計から設置まですべて行って約3日で完成しました。
これができたため、管理人は魚への餌やりと、スキマー、サンプの水量チェックのみが日課となりました。(大幅な省力化です)