突発性難聴とは、文字通り急に発症する感音難聴(聞こえの神経障害からくるもの)で、かつ原因の不明なものです。内耳への血流障害、ウイルス感染、ストレスなどが関係しているとされています。
聴力のパターンとしては低音域から高音域全体にわたって落ちているものが典型的ですが、症例によっては中音域のみが低下しているもの、高音域のみが低下しているものなどがあります。低音域のみが低下している場合には、急性低音障害型感音難聴の可能性があり、突発性難聴とは異なる病態を示しますので注意が必要です。
治療としては、なるべく早めにステロイドなどの投薬を開始して、安静を保つ必要があります。といっても、発症してすぐに治療を開始しなければならないほどの緊急性はありません。発症してから1週間以上経過した場合は治療成績が悪くなるという報告があります。逆にいえば、1週間以内であれば間に合うということになります。
治療方法としては、ステロイド剤、ビタミンB12製剤、循環改善剤などの投与を行いますが、これを入院して点滴で行う方法、外来通院で点滴を行う方法、外来通院で内服治療をする方法などがあります。安静を保つ意味と、薬剤の高い血中濃度を得るという意味では入院加療が理想的ですが、聴力低下が比較的軽度であれば外来通院でも改善させられることが期待できます。
このほかに、高圧酸素療法(施設が限られます)、星状神経節ブロック、鼓室内ステロイド注入などの方法があげられますが、これをやれば明らかによくなるというものではありません。 聴力の予後としては症例によって異なり、ちょっと乱暴ですが大まかにいえば1/3は治癒、1/3は治癒しないが改善、1/3は改善しないといった感じです。なお聴力の予後が不良なケースとしては、1)聴力障害の程度が強いもの(ほとんど聞こえないほど悪いような場合)、2)めまいを伴う場合、3)発症から2週間以上経過していて、難聴の残っている場合、があげられます。また高音域(4000HZ-8000Hz)のみが低下しているようなパターンも治りの悪い印象があります。
やはり、早めに的確に診断して治療を開始することが重要です。
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