エッセイ / 6月のセレナーデ(コント風味)

エッセイという定義を揺るがす問題作。カメルーンランチの時代ですよ。

「いやあ、今日も暑かったね」
「暑かったよねー」
「いわゆる異常気象ってやつですかねー」
「そうかもね」
「こう暑いんだからたまには、と思って、今日は久々に行ってきましたよ」
「お。プールとか?」
「大学」
「久々かよ!」
「校舎に入ったとたん襲い掛かる、ひやっとした空気!」
「あぁ、冷房」
「すげえ!もう冷房が!と感動したね!」
「おまえほんといつから行ってないんだよ!」
「いやいや、五月病が長引いててさあ」
「長すぎだよ!」
「で、今日行ってみたら、一、二限が休講でやんの」
「へえ。ラッキーじゃん」
「ラッキーじゃねえよ!午後までどうやって時間つぶすんだよ!」
「学食でも行けよ」
「あんな安いだけが取り得のところになんて行けるか!」
「学食ってそういうもんだろ!」
「行くならモスかデニーズだな」
「贅沢な学生だな!友達とワールドカップの話でもしてろよ!」
「ワールドカップ?ゴルフのトーナメントかなんか?」
「マジボケか!」
「中津江村じゃあカメルーンランチが600円!この量ならまぁ安いよな」
「そんなマイナー情報まで知ってて根本がわかってないのかよ!」
「それに自慢じゃないが、大学に友達なんてロクにいないぜ!」
「ほんとに自慢じゃないよ!」
「五月全休だからな!」
「偉そうに言うな!」
「…あ、でも今日はふつうに会話したなあ」
「あ、そうなんだ」
「『すいません、この席いいですか?』『あ、どうぞ』」
「なんだか泣けてきたよ!」
「声かけられたんだぜ!」
「黙ってろ!ほんとなんでそんなに学校行ってないんだよ!」
「いやー、なんかどれだけ寝ても朝起きれなくてねー」
「なんだよそりゃ」
「これがほんとの異常起床ってやつだね」
「いーかげんにしろ」


※カメルーンランチは現在900円、土日限定で提供だそうですよ。平日でも予約すれば食べられるとか。詳細情報。

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