エッセイ / クリスマス・イルミネーション

年末バイトラッシュの中で書かれた、ハートフルエッセイ…!?

まさに光の道だ。

毎年この時期、都内で行なわれるイルミネーション。そういうものに正直あまり興味はない。電気代の無駄、人ごみの中にわざわざ、理由はあれこれ思いつくけれど、見たいと言い張る彼女と三日三晩戦って僕が折れた。他に行くところが思いつかなかったというのもある。

駅の改札を抜ける前からものすごい人の数で、こりゃはぐれたら大変だろうなと、僕は彼女の手をしっかり握った。手袋をしてない方の手だ。はぐれるなよ、と口に出して言ってみたけど、彼女はどうにもうわの空だ。あと、もしかしたら「はぐれた自分を探す」というシチュエーションにときめいてるのかもしれない。基本的に彼女は変な子だ。

若干投げやりな気持ちで駅を出たのだが、そこに広がる光景に僕ははっとした。真っ暗な街に燦然と輝く光。イルミネーションと呼ぶのがためらわれるような、そう、光の道がそこにはあった。呆然と見ている僕をせかすように彼女は僕の手を引く。やけにはしゃいでいるので聞くと、あのイルミネーションの真下から見上げたらどんなふうに見えるのかずっと疑問だったという。基本的に彼女は変な子だ。

それでも、冷え込んだ丸の内の街頭で、顔を真っ赤にしながら喜ぶ彼女を見ていると、まあこれでもよかったのかなとか思う。考えてみれば別に入場料なんかもかからないんだし、貧乏な僕らにはちょうどいいのかもしれない。コートの右ポケットに忍ばせたプレゼントは、まあ、もう少し後で渡すことにしよう。僕は今にも一人で走り出しそうな彼女の左手をぎゅっと握って、イルミネーションを真下から見上げた。こりゃひょっとして遠くから見てたほうが綺麗なんじゃないかとか思ったけど、彼女は横でよっしゃと呟いてた。

このあと地元に帰って飯でも食おう。金がないからほんとにたいしたところには行けないけれど、お互い衣食住のうち食にこだわるタイプじゃなくてよかったと、こういうときいつも感じてしまう。さ、そろそろ行くぞ。

「ねえねえ、もう一周してみない?」

どうにも、彼女は変な子である。




みたいなカップルがそれはもううんざりするほど店に来たわけですよ!年間でいちばん二人連れの客が多かった。次から次へと押し寄せ、そしてデザートにケーキとか頼みなさるわけで、そこまでは別に構いませんし精神的にもどうってことないんですけども、四人席の片側に二人で座る(通称カップル座り)のだけは勘弁していただきたい。なんかもういろいろ投げ出したくなった。へこたれた。サンタさんボクに連休とかくれないかなあ。(ワインかっくらいながら)

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