2002防府読売マラソン観戦レポート

2002年12月14日。山口県にある、防府マラソンに参加すべく、その日朝7時の飛行機に乗る予定だった。  しかし、早朝4時30分頃、清水 明彦氏は臼井と連絡が取れなくて、非常に焦っていた。  約束では羽村市内にある奥多摩街道の間坂交差点で臼井が待っているはずであった。  しかし清水 明彦氏の運転するホンダ・シビックが間坂の交差点に到着したとき、そこには人影らしきものは、一切なかった。  どうしよう・・・・航空券のチケット・宿泊クーポン券・レンタカーの予約等々・・・・全ては臼井が持っている。  電話番号も知らない。 やばい・・・・

臼井が、清水 明彦氏に電話を入れたのは、約束の時間から3分経過した後だった。 もちろん臼井は、まだ家にいた。
臼井: 「清水さん? おはよう!」
清水: 「臼井さん? 今どこ?」
臼井: 「家」
清水: 「家? えーっ!」
臼井: 「どうしよう。」
清水: 「臼井さんの家、うろ覚えだけど、たぶん迎えに行けると思う。 これから行きましょうか?」
臼井: 「じゃあ、お願いします。」
清水さんは、なんとか臼井の家を覚えてくれていたようだ。 玄関を出たとき、庭には既にシビックが停車していた。  清水さんの顔は怒っていないが、なんとなく怖い。  でも、助手席に座っていた佐野さんは、本当におおらかな表情で、朝の挨拶をしてくれた。 「おはよー」
2002年防府読売マラソン。 はやくも波乱の幕開けとなった。

臼井は、約束の時間に約束の場所にいなかったという、景気の悪い企業でいうと、即解雇されかねない行為にでていながら、ちっとも反省の色が見えなかった。  しかし、そんな臼井の失礼な態度を忘れ去らせてしまう出来事が、次々と起こる。  全日空の羽田7時ちょうど発・山口宇部行きボーイング777による空の旅は快適そのもので、なんの問題もないどころか、非常に気分のよいものであった。  今回は、超格安チケットが手に入ったので、往復飛行機運賃+全日空ホテル1泊+3日間のレンタカー代で、なんと一人あたり26700円だ!   安すぎである。 こんなに安くて本当に全日空は大丈夫なのか! あまり安すぎると、いよいよデフレ・スパイラルに拍車がかかり、日本の経済、ますますおかしくなってしまうぞ! ・・・などといいながらも、しっかりチケットを買った臼井ではあるが。

それはさておき、我々が山口宇部空港に着いたときの出来事である。  荷物を受け取って、レンタカーの手続きが終わって、後からJAL便で遅れて到着する駒崎氏を待っていたときのことである。  かなりかわいめの女性が近づいてきて、何か親しげに色々と話しかけてきた。  さては何か怪しげな勧誘か? そう思ったのは臼井だけではなかった筈だ!  その女性、実は山口放送のラジオリポーター・中村 恵理さんであった。
中村: 「すみません、今回どのような目的でこちらへ来られたのですか?」
一切の前置きなしに、こんな質問されて、皆さん一瞬引きません?
臼井: 「・・・・はい、えっと・・・・」
・・・って具合にとまどっている臼井。 そこへ、なんの躊躇もなく、佐野さんが首を突っ込んで、
佐野: 「明日防府読売マラソンに参加するので、来ました。」
その瞬間、リポーター中村さんの表情が一変。
中村: 「防府読売マラソンですか? あの、山口放送の中村ともうします。 今、ラジオの生中継中で・・・・」
臼井: 「山口放送ですか? いつも防府マラソンの放送をしている。」
中村: 「そうです。 あの、いま生放送中なんですけど、これから出てもらえないでしょうか?」
全員: 「は!?」
中村: 「いろいろインタービューして、その後に視聴者に向けてクイズの出題をしてほしいのです。」
全員: 「・・・・(言っていることが理解できず)・・・・」
中村: 「ただし、クイズの内容はこちらで用意し、出題寸前に発表します。」
全員: 「・・・・(よくのみこめていない)・・・・」
中村: 「で、どなたか一人出演してほしいのですが。」
全員: 「・・・・ ???・・・・躊躇・・・」
臼井: 「じゃ、僕が・・・・」
中村: 「えっ、ありがとうございます。 じゃあ、20分後にまたここ(ロビー)にまた来てください。 よろしくお願いします。
・・・・・20分、この間に駒崎氏が到着・・・・・
中村: 「それでは間もなく生中継の時間ですので、クイズの内容を発表します。」
臼井: 「はい」
中村: 「クイズの内容は、ヘッドホンをしてもらい、聞こえた歌をハミングで歌ってもらい、視聴者の方々に正解の歌を当てて貰います。」
臼井: 「はい?」
中村: 「ちなみに前回の曲は、五月みどりさんの歌でした。」
臼井: 「・・・・(失敗したかも)・・・・・」
ここで、ヘッドホンをかまされ、生中継で、本局とのやりとりが始まる。 ラジオを聴きながらなので、結構おもしろい。
早速クイズの出題。 なんと流れてきたのはザードの「揺れる思い」。 思いっきり知っている曲だった。 しかしここで正確にハミングするとおもしろくないので、ちょっと音程をはずしたが、結局視聴者に正解にされてしまった。

生中継中に、全員が防府読売マラソンに参加すると言うことで、番組的にも大いに盛り上がった。 一人一人、ナンバーカードを言うと、放送局の方で、「正解! 本当に参加される方ですね。」と反応してくれたので、視聴者が聞いてもやらせでないことがわかったと思う。
さて、中継が終わって、記念撮影。 旅の良い思い出になった。

山口宇部でレンタカーに乗り、一路防府市へ向かった。
レンタカーは、スバルインプレッサで、ナビゲーション付きだったが、指定されたコースが気にくわなかったので、適当に本能の向くまま走っていたら、とっても大きな橋に差し掛かった。 この橋、周防大橋といい、橋の頂上からの眺めは最高。 まるで、パールハーバーを横切るかのごとく、壮大な気分でドライブする事が出来ました。
防府駅前にある会場に着き、早速開会式に参加した。
開会式自体は、例年通りに行われるものと変わりなく、特に感動がなかったが、今回特別に応援でフルマラソン日本記録保持者の高岡さんが来てくれたのが非常に感動的であった。
我々の仲間、武田さんが、ちゃっかりサインをもらっていた。 それにしても、高岡さんは凄く背がたかい!

さて、今回の臼井は、3週間前に起こした右足ふくらはぎの肉離れのために、レースをあきらめざるをえませんでした。
ということで、今回は応援にまわることにしました。
前回・前々回と違って、今年は気温が高め。 給水をしっかりとらないと、後半に痛い目に遭いそうな、そんなレース展開が容易に予想されました。
ここで、改めて我々のメンバーを紹介したい。
まずは、ナンバーカード139・ご存じ佐野選手。次にナンバーカード210・石丸選手。 ナンバーカード240・臼井選手はDNSです。
そして、武田選手・清水選手・駒崎選手と続く。
後は応援団の石丸 ふみえさんと金近君。

スタート号砲のあと、競技場を出ていくランナーの群を見送った後、応援団は8k地点へ移動。
8k地点は、競技場のすぐそばにあるので、簡単に観戦出来る上、そこまでのタイムを計ることが出来ます。
まず、最初に8キロ地点に来たのは、予想通り石丸選手。 結構早いペースだ。
次に来るのは佐野さんの筈だが、まだここいらでは集団が大きいので、佐野さんだと埋もれてしまいそう。
案の定、そろそろ佐野さんが来そうな時に、おおきな集団が来たので、適当に写真を撮っておいたら、あとで佐野さんが写っていたことがわかった。

 石丸さん、佐野さんまでは、一応予想通りであった。 しかし、次に来たのは、なんと予想を覆して武田さんだった。
武田さん曰く、今回は非常に練習不足なはずなのに、結構早い入りだ。
ちょっとペースが速いのでは? しかし、もともとスピードランナー。 こういった入り方は、ある意味宿命なのかもしれない。
武田さんから遅れること数十秒、今度は駒崎選手がやってきた。 この人、中学生の時、埼玉県で3000メートルを3番時計で走った実績がある人です。 しかも高校は、名門埼玉栄。
最後に8キロ地点にやってきたのは、清水さん。 う〜ん。 8キロ地点にしては、ちょっと表情が厳しいかも。 そう思いながらも、これから展開されるレースを、頭の中で思い描きながら、ハーフ関門へと移動し始めた。
ハーフ関門までは、一応臼井もランナーなので、ジョギングで移動です。
え? 肉離れですか? 一応3週間完全休養したので、痛みとかはなかったですが、久しぶりに走ったので、良い運動でした。

次の観戦ポイントは、ハーフの関門でした。
8キロ地点からハーフ関門までは、そんなに遠くない。 ここ防府マラソンのコースは、それだけ複雑に入り組んでいて、応援者にとっては、移動が比較的らくで、観戦しやすいコースなのです。
ハーフの関門についてから、トップ集団がくるまでに、数分とかからなかった。 やはり男子マラソンはスピードがある。 あっというまに、目の前を通過していった。
しばらく何人か通過していった後、来ました来ました、防府名物「いとけん」こと伊藤 健太郎。
遠くからも、それとわかる独特なランニングスタイル。 スタート直後は、ああいう腕振りではないのですが、苦しくなればなるほど、ああいった腕振りになるようです。
さて、このポイントに最初にやってくる予定の人は・・・・もちろん石丸選手です。
もし、彼が昨年と同じタイム(1時間14分そこそこ)だったら、今年も途中棄権かもしれません。 しかし1時間15分以上たって、ここに来たら、それなりのタイムで完走できそう。 臼井はそう思いながら、石丸選手が来るのを待ちました。
そう思っていたら、1時間14分47秒〜48秒くらいで、彼はやってきた。 これは、微妙なタイミング! きっと彼のことだから、最初かなり飛ばしているはず。
ひょっとしたらゴールできないかもしれないなと、一生懸命応援しなければいけない立場なのにも関わらず、ネガティブな気持ちになってしまった。

石丸さんが通過してから、次にやってくるはずなのは佐野さんでした。
しかし、待てど暮らせど佐野さんはやってこない。
そのうち1時間20分が経過。 おかしい。 いくら佐野さんが調子悪くても、こんなに遅い筈はない。 ひょっとしたらリタイア? そんな最悪の予想をちょっぴりしながら待ち続けた。
すると1時間24分を境に、武田さんと清水さんがやってきた。 あれ? 駒崎さんは? ハーフの関門までは元気な選手が多く、大集団が多い。 どうやら、佐野さんと駒崎さんは見逃したようだ。
ハーフの関門は、1時間25分。 その瞬間、係員が「はい、関門!」と大きな声をはりあげた。 しかし、あとからあとからランナーが走ってくる。 どうするのだろうと見ていたら、かまわず通過させているではないか!?
いつまで通すのかなと思って見ていたが、1時間26分になっても、まだまだランナーを通過させていた。
さて、ハーフの関門から24キロ地点は、そんなに遠くない。 ジョギングで移動だ! 到着直後、あるランナーに声をかけられる。 まったく気がつかなかったが、駒崎さんだった。 会えてほっと一安心。
25キロの関門は1時間45分。 ということは少なくとも1時間41分に、24キロ地点を通過しないと、関門に引っかかる。
しかし、我らが仲間の清水さんがやってきたのは、1時間41分ギリギリ。 大丈夫か?
24キロ地点では、武田さんを見逃してしまいました。 清水さんの話によると、武田さんと清水さんの間隔は、たったの数メートルだったということなのですが。

24キロ地点で、全員(?)を見送ると、そこから35キロ地点まで再びジョギングで移動しました。
24キロ地点から田島交差点まで戻ると、39キロ地点手前にぶつかるので、そこから35キロ地点までコースをさかのぼりました。
しばらくすると、トップを走る外国人選手がやってきました。 そしてそんなに間隔をおかずに一人の日本人選手がやってきました。
さらに、コースをさかのぼると、3番目に見たことのある選手が。 櫛部選手です。 11月の大田原で、臼井がトラック一周にわたってブロックし続けた、あの櫛部選手です!
さて、35キロ地点に到達して、最初にやってきた我が仲間は? 佐野さんでした。 良かった。 リタイアしていなくて。 しかも足取りは軽そう。 2時間7分くらい?
そして、やってきました、石丸さん。 2時間14分で関門通過です。 あれ、ハーフからここまで1時間かかったの? うーん。 確かに足取りは重そうで、ほとんどジョギング状態。
非常に残念なことに、今回35キロ関門を通過できたのは、この二人だけでした。 ここで、清水さんに会いましたが、コースを逆走してきたので、途中で関門にひっかかったのだなと、すぐわかりました。
さらに、武田さんは、35キロの関門時間をギリギリで通過できず、バスに乗り込んでいる姿がわかりました。
余談ですが、武田さん、毎年防府に来ているのですが、マラソンの後に何軒も飲み歩くので、防府市内に武田さんの応援団が出来てしまいました。
これ、本当の話で、30キロ地点付近に「がんばれ武田 悦男」の横断幕を持った人が何人か立っていて、武田さんが通過したときに大声で応援してくれたそうです。


35k地点からゴール地点まで、コースをたどると7.195キロという事になりますが、防府マラソンコースの複雑なコースの関係で、直接的に行くとたったの2キロしかありません。
従って、またジョギングで移動しました。 移動している途中でリタイアした清水さんに会いました。
話を聞くと、清水さんは25キロ地点でバスに乗せられたものの、エネルギーが余っていたので、30キロ地点で何人かのランナーと一緒に下車。 そこからジョギングで戻ってきたとのことでした。
臼井がゴール地点のある、防府市陸上競技場に戻ってきたのは、スタートしてから2時間37分くらい。
佐野さんの35キロの様子からいって、佐野さんのゴールを見るのは不可能。 そう思っていたら、予想に反して佐野さんが競技場に戻ってくる姿に遭遇。
見るといかにも苦しそう。 何かトラブルがあったのか? 結局、佐野さんは2時間40分を越えてのゴールとなりました。
石丸さんはというと、2時間53分台でゴール。 彼にとって、9年ぶりの防府読売マラソン完走となり、まずは良かったのではないでしょうか?


レースが終了した後、毎年行っているお好み焼きのお店へ直行。
お好み焼きのおばちゃんは、相変わらず元気で、我々も毎年防府マラソンの後に来ているので、少しずつ顔を思えてもらえているようでした。
本来なら、ここでビールを一杯! といきたかったですが、残念ながら運転手だったので、飲めませんでした。 うーん、残念。


お好み焼き屋を後にして、一同は防府天満宮へ。 武田さんが、子供の受験の必勝祈願をしたいということで、全員で行くことにしました。
それにしても、防府天満宮の階段の長いこと! 特に佐野さんはヒーヒー言いながら上り下りしていました。
その後、一路徳山市へ。 その日の宿泊は、駅前にあるホテルアルフレックス。 一泊朝食付きで、シングル4200円。
ベッドはセミダブル。 他にも3900円の部屋もありましたが、敢えて高い方を選びました。 でも安すぎ。 本当に大丈夫なのか、日本の経済?
しかも、インターネット申し込み割引5%で、消費税分さらに安くなりました。 い〜のかな〜。 もちろん安いというのは大歓迎なのだけど。

ホテルに到着して、一行は徳山駅前に繰り出しました。
しかし、徳山という街は健全そのもの。 危険なにおいがしない。
いろんな店があって、さんざん歩き回って、結局寿司屋へ。
最初は、ケチケチですまそうと考えていたものの、せっかく徳山に来たのだからと、ふぐ刺しをどーんと注文してしまいました。
そうだよね、そうそう来ることもないし。
そのあと、綺麗なお姉さんがいっぱいいるところ! とも思いましたが、各人マラソンの疲れもあり、みんなおとなしくホテルに戻りました(武田さん以外は)。

ということで、今年は防府読売マラソンに参加することが出来ませんでした。
ランナーにとって、観戦ほどおもしろくないものはない様に思われることがありますが、今回の防府マラソンに関しては、全くそういうことはありませんでした。
むしろ、マラソンをいろんな観点から眺めることができ、さらに格安チケット情報の入手、普段しない観光などなど、いろんな体験が出来たのは良かったことです。
でも、やっぱり走りたかった・・・

<<終わり>>