デ ジ カ メ

08’5’14
 今年は、ゴールデンウイーク後、さわやかな日が少なく、おまけに肌寒さまで加わって、うっとうしい日々が続いている。 初夏の陽気とか、夏日とか、動けば汗ばむ日々の後に来たこの陽気はどう考えてもおかしい。
 カメラを持って出かける気も起きず、さりとて庭の手入れもできず、本を読んだり、雨のやみ間に庭の花をカメラに収めたりしていた。 花ばかりでなく、すっきりした風景を写したいものだと思いながらである。

 購入以来そろそろ4年になる愛用のデジカメ一眼レフは、手を伸ばせば届く場所にいつも置いてある。 「夕焼けがきれいだよ」「変わった鳥が来ているよ」の声にいつでも飛び出せる体制は整っている。  
 この愛用のデジカメが、突然おかしくなった。 カメラ背面のモニターに、撮った画像と、ヒストグラムが表示できるように設定してあるのだが、画像が上部四分の一程度しか写らず、あとは黒くなっている。 ヒストグラムは下のほうにほんの少しの山形が出るだけの状態だ。 それまで普通に撮れていたのに突然だったので、ストラップがレンズの前にかかっていたかとのぞいたが、それはないし、見たところは何の変わりもない。
 前に一度故障したことのあるマクロレンズを使っていたので、「もしや」と思い、ズームレンズに付け替えてみたが、やはり状況は変わらない。 これはやはりカメラの異常だろう。 天気は悪いし、踏んだりけったりの気分になる。
都庁

 来月初めには旅行の計画もあり、今月はバラ園に行こうと考えていた矢先だったので、ちょっとがっかりしたが、修理に出すしかないとあきらめた。 すぐに出せば旅行には間に合いそうだ。
 一番早い修理は、メーカーのQRセンターに直接持ち込む方法である。 その日は午後に予定があったので、ネットで修理の申し込みだけをしておいた。 あらかじめ、具体的に不具合の様子を知らせておけるし、折り返し返信してくる「受付番号」をメモしていくので、カメラを持ち込んだときに話が早い。
動く歩道

 翌日は何をさておき、新宿のキヤノンのQRセンターに出かけることにした。 朝からあいにくの雨。 新宿までのとんぼ返りも芸がないとは思うけれども、肝心のカメラがないのだから、仕方が無い。 それでも、久しぶりにコンパクトデジカメを持って出ることにして、バッテリーの充電をしたり、忘れかけている使い方を一通り確かめたりしておいた。
 このカメラも良く使っていたのだが、機嫌の悪いときには写らないと言う不具合があるので、出番をミニデジに譲ってしまっていた。 修理しようかどうしようかと迷うのは、画素数の少なさゆえなのだが、私には使いやすいカメラである。 

 雨は出かけるには不都合だが、かさが必要なのは家から駅までのことで、後はすべて屋根のあるところを通ることになるから、バッグにしまえるようにと、折りたたみ傘を差して出かけた。
 雨のせいか、番号札を取って待つことの多いQRセンターに客はいなかった。
 カメラに付属しているものは、レンズキャップ以外すべて取り外して持っていった。 係りの人はポケットから、バッテリーとコンパクトフラッシュを出して私のカメラに入れ、後ろの棚にあるレンズをつけて室内を撮影した。 画像を再生して、「こんな具合なんですね」と私の書いて出しておいた不具合を確認していた。

 カメラは、シャッターを押すことでミラーとハーフミラーとが上がるしくみなのだが、そのハーフミラーが上がらなくなっているのだそうだ。
 修理といっても、今は部品を交換する形らしいけれど、厚い金額帳?を繰りながら、修理代は1万円まではかからないと言う。 修理を申し込む時点で、「○○円までなら見積もり不要」との欄があり、私は「15000」と記入しておいた。 それは私のカメラと同じ機種の修理代の平均が、14000円を少し上回っていたからだった。  今回は事のついでに持ち込んだわけではないので、交通費も修理代に上乗せすることになり、予算内でよかったと言えようか。 ちなみに交通費は片道620円。 受け取りに行くときは「ついで」に行くとしよう。 
オブジェ?

 キヤノンのQRセンターは三井ビル内にある。 表に出ると、目の前に都庁がそびえている。 都庁はのっぽビルなので、てっぺんのほうは雨の中にかすんでいる。 せっかくコンデジを持ってきたのだから、雨にかすむ都庁でも撮ることにしようとカメラを向ける。
 新宿駅まで、帰りは「動く歩道」に乗る。 それも撮る。 通路脇にはオブジェっぽいものが並んでいる。 これは多分ホームレスさんが寝泊りできないように置かれたものだろう。 以前はダンボールハウスが並んでいたのだから。

 駅構内に入って、以前からちょっと面白いと思っていた広告も撮ってきた。 撮りながら思ったことは、一眼レフをこの人ごみの中で構えるのは、私には非常に抵抗があってできないことだったが、コンデジでは、あまり人目を気にせずに撮れる、と言うことだった。 今日はカメラの調子が良く、普通に撮れたが、やはり、このカメラも修理に出そうと思ったことである。 とりあえず、一眼レフが戻ってくるまでの一週間は、コンデジ、ミニデジで間に合わせなくてはならないが、時と場合によっては「小さいほうがいいこともある」と実感した。

 一週間後、天気に恵まれれば、直ったカメラを受け取ったその足で、「撮影行」としゃれたいところである。 どこへ行くかはこれから検討することになるのだが。 雨ならば、一日遅れで、新宿を通るついでに受け取ろうと考えている。
 それにしても、そろそろスカッとした五月晴れのもとで、シャッターを押したいものである。

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