09’4’29
先日、地下鉄の駅で電車を待っているときのことだ。 横にいた若い男性の顔を見て、「おや、ダルビッシュ」と、一瞬思った。
ダルビッシュ投手は背も高いらしいし、この時期にそこらをうろうろしているとも思えないから、違うことはすぐに分かったが、似たような美男子はいるものである。 ちらちら観察したところでは、グレイのパーカーに黒いひざ下までのパンツ、昔風に言うならば、バスケットシューズをはいた学生風の人で、横顔が本当に良く似ていた。
やがて、来た電車に乗り込んで間もなく、いつもはそんなこともないのになぜか電車が大きく揺れて、つり革につかまって立っていた私は、後ろから右足首を蹴飛ばされた。 続いて、「すいません。 大丈夫ですか。」と声がした。 振り返ると、声の主は先ほどの「えせダルビッシュ」だった。 「大丈夫ですよ」と言うと、にっこり笑った顔が爽やかだった。
私も新宿で降り、乗り換えて帰宅したが、なんとなく「得した気分」だった。
男は “いくつになっても” 若い女が好きらしいが、女も “いくつになっても” 老人よりは若い男の方が良いのは言うまでもないことである。 電車が揺れてよろけたおじいさんに足を踏まれるよりはましというものだ。 「えせダルビッシュ」も、同じ謝るなら若いきれいな娘の方が良かったに違いないが・・・。
出合ったのが、本物ならばともかく、「ダルビッシュの投げる試合は全部見たい」と言うほどの熱意にならないのが「年相応」と言うところか。 何はともあれ、これもご縁。 ダルビッシュ投手の活躍に期待するとしよう。
あの「えせダルビッシュ」は、今頃どこかでくしゃみをしていることだろう。