生 き 物 二 題 (コハクチョウ ・ タヌキ) 

06’12’27
   (一) コハクチョウ 

 先週、コハクチョウの飛来地に出かけた。  深谷市川本町の荒川である。  圏央道、関越道と高速道路を乗り継げば一時間で行ける。 
 初めて行ったのは今年の正月だった。  200羽ぐらいいた。  鴨たちとともに、すさまじい生存競争を目の当たりにできる餌付けの様子を見たりしたが、とにかく寒かった記憶がある。  写真もたくさん撮ってきた。 
2006年1月

 二月、今度は飛んでいるところを写したいと思い、九時過ぎには着くように出かけた。  満腹になると「お休みタイム」になるので、餌付け前に行かなくては飛んでいるところは写せないとの情報を得ていた。 
 連れ立って飛んできたり、飛び立ったり、大きな鳥だけに羽ばたくのも、着水するのも壮観だった。 
 このときは「テブレ補正機能」のあるレンズがよかろうと選んでいったレンズが135ミリの「短い」物だったので、写りは小さかったが、結構気に入る写真が撮れた。 
 そして一年。  少し長いレンズも入手し、今年は飛んでいる白鳥を少しは大きく写せそうだと思っていた。 
2006年2月

深谷市観光協会のホームページには、毎日のコハクチョウ飛来数が載る。  今年はあまり多くないが、暖かいからかなと思っていた。  あまり寒くならないうちに出かけようと考えていた。 

 駐車場について見ると、過去二回にはいなかった「警備員」が車の出入りを整理するように立っていた。  そんなに車もいないのにと思った。 
 少し下っていくとなにやら大工事が始まっている。  あの警備員は、工事用の車の出入りを整理するためにいたのだ。  白鳥の鳴き声もしないし、飛んでもいなかったので、遅過ぎたかと思いながら河原に着いた。  白鳥の数は極端に少なかった。 
 飛ぶところを狙いたかったのだが、予定を変更して、家族単位で行動するという白鳥の家族を追うことにした。  何しろ数が少ないのでがっかりして、早々に切り上げた。 

 帰りながら作業現場入り口の看板を見ると、「飛来する白鳥には十分配慮している」旨の表示があった。  配慮というならば、これだけ極端に数を減らしているのだから、即刻工事を中止すべきだろうと思った。  工事はまだ続くらしい。  果たして来年の冬、白鳥たちは戻ってくるだろうか。  戻ってきたときに、まだ工事が続いていればもう二度と来ることはないのではないかと心配している。
2006年12月
 

 お役所の「配慮」とは一体なんなのだろう。


(二)  タヌキ
 

 以前書いた、我が家の庭隅をトイレにしていたタヌキの後日談である。 
 その後も、同じ場所にやってきた形跡はあったが、おかげさまでと言うべきか、「落し物」はなかった。 
 かなり深く「フン」を埋めたのだが、そこを掘ろうとした痕跡もあった。  深く埋めても自分のにおいはわかると見える。 

 折に触れて「どこへ行ったかな」と思っていたが、最近になって、近所で2頭のタヌキが捕獲されたと聞いた。  その話では、ずいぶん弱っていたという。  毛が抜けて汚かったとも聞いた。 
 保健所が引き取ったということだから、もう生きてはいないのだろうか。  皮膚病だったのかもしれないが、冬毛に生えかわる途中だったわけでもないのだろうかと、少し気になる。 

 昔、我が家を通り道にしていたタヌキも皮膚病になって死んだ。  自然界の餌を食べていれば問題はないのだろうが、残飯などを食べることで病気になるらしい。 
 追われ追われて、人間界で生活することを余儀なくされた結果、病気に取り付かれて苦しむ。  私もなんだか追い出すのに一役買ったようで気分が良くはない。 

 コハクチョウといい、タヌキといい、人間と関わりながら暮らさなくてはならない生き物たちも気の毒なものである。  人間とは彼らにとってまことに始末の悪い存在と言えそうである。 

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