11’12’25
私の両親も姉も脳血管系の病気で亡くなっている。 両親の場合は「脳溢血」と言うことで、現在のように詳しいことは分らないが、姉は「脳梗塞」だった。 母は五十歳そこそこ、父も姉も六十代だった。 二十代で亡くなった兄もおり、確かに「長命」にはあまり縁がなさそうな一族である。 私自身も当然のように、脳卒中で亡くなるのだろうと思っていた。
思いもかけず、兄がガンになり、「長生きすると、ガンで死ぬ可能性もあるのか」と、死への選択肢が増えたと感じたのだった。 兄自身は、「こんなに長生きできるとは思わなかった」と言って、七十六歳の生涯を閉じたが、私も「七十五歳まで生きられたら凄い」と思って生きてきた。 それが、今年は「喜寿祝い」も頂戴し、「おまけの人生」を楽しんでいる次第である。
今年は、娘の切除したポリーブが、「早期大腸がん」であることが分り、完全に切除できたことでほっとすると言う出来事があった。 障害を持つ娘だが、私の母親の亡くなった齢も越え、私が娘の父親、つまり私の夫と死別した年齢になっている。
息子たちには、娘の顛末を知らせ、「そういう年頃になっているのだから、検査の機会は逃さずに検査を受けるように」とメールを送った。 長男は「ポリープがどういう経過で見つかったのか」と電話で尋ねて来、二男からは、「早期でよかった。 やはりガンの家系かな。」と返信が来た。
子供たちの心配も当然で、彼らの父親はガンのため、五十代の若さで亡くなっている。 とは言え、早く亡くなった夫は末っ子で、夫の兄や姉はみな八十過ぎるまで元気だったし、全員がガンで亡くなった、というわけではなかった。
娘が糖尿病と診断された時に、主治医から、「家系的なものがないから、やせれば治るだろう」と言われた。 今、体重を落とした娘の血糖値は正常値になっている。 確かに糖尿病には家系的なものがあるらしいと思うが、ガンにはそれほどはっきりした「家系的なもの」はないのではないだろうか。
ガンにはやはり、日常生活が大きく影響するのではあるまいか。 「生活習慣病」と言われるゆえんでもあるのだろう。 お酒が好き、塩辛いものが好き、そして煙草を手放せない、と来ては、ガンを予約したようなものだと思っている。
「家系」と思うならば、特に生活の上で気をつければ良いのではないのか。 「ガンの家系」と言われるものは、やり方次第で、その家系から外れられるものだと思う。
私の兄は、深酒もせず、食べるものも特に問題はなかったと思うが、続けていた喫煙が肺ガンの原因だったと私は考えている。
「長命の家系」とよく聞くが、その家系の中でも早く亡くなる人はいるのだから、「家系」に安心もできないし、逆に心配することもなさそうに思うのだが、いかがなものだろう。