カ メ ラ ブ ー ム

07’12’25
 このところ、写真ブーム、カメラブームが続いているらしい。 主役は中高年の男性である。 定年を迎えた男性には、時間がもてあますほどあるらしい。 その暇つぶしに登場するのがカメラである。 退職金を手にして、カメラ機材一切を揃えることもさほど無理ではないとみえ、高価なカメラを持っている人が多い。
 巷のカルチャーセンターや写真教室で、一応のカリキュラムを終了すれば、参加者がグループを作って「撮影会」や、「撮影旅行」も計画され、仲間同士の交流も始まる。 仕事、仕事で来た人たちには、きっと今まで経験のなかった楽しさに違いない。
 「写真になる」場所を求めて出かける。 どこそこの桜がきれいだとか、紅葉が見事だなどの情報を得て出かけるから、その場所はカメラマンであふれることになる。

 最近は男性に混じって女性の姿もかなり目に付くようになった。 カメラを手にしている年数だけは長い私も、結構なことだと思う。 うらやんでばかりいても仕方がない。 この楽しさを男性に独占させることはない。
 デジタルカメラの出現、カメラ付携帯電話の普及で、カメラ熱は高まり、老いも若きも「撮ること」には抵抗がなくなっているのだろう。

 カメラとともに、暇つぶしに最適の「友」がパソコンだと言う。 「孤独な年寄りには最適なおもちゃ」という説には私も一応納得する。
 デジカメで撮った写真をパソコンに取り込み、大きくして眺めるのはなかなか楽しいことである。 気に入らなければ「消す」ことができるのも便利だ。 「こんなものを撮って、もったいなかった」と思ったりするフイルムカメラとはそこが違う。
 自分の写真を眺めているばかりではなく、人様の撮ったものもインターネットで見ているうちに、写真を「見る目」も養われ、「こんな写真を、自分も撮ってみたい」と思うようになると、レンズもいろいろほしくなると言うわけだ。
 バックをきれいにぼかして、花だけが浮かび上がった写真に感激し、早速マクロレンズを手にして同じような写真が撮れた時には大満足である。 「バックのボケが良いですねぇ」と人の写真を評する人は、ほぼこの時期の人だろう。

 やがて、自分で見たり仲間うちで見せ合うだけでは物足りなくなり、ホームページを作ってネット上で公開しようと思い始める。 かくして、ネット上には写真のサイトが綺羅星のごとく存在することになる。
 メーリングリストに参加し、新しい作品をアップするたびに「見てください」とアピールする。 私がシニア対象のメーリングリストに参加した数年前には、必ずそれに応える投稿があったものだが、最近は少なくなっているように思う。

 「見て、見て・・・」「ハイ、見ましたよ」「見てくれてありがとう」の繰り返しである。 面白いのは、何度も繰り返すうちに、「必ず見る」サイトと、「見なくなった」サイトができることである。 つまり、私好みの写真を撮る人と、そうではない人とがはっきりしてくるからだ。
 同じ場所で同じように撮っても、おのずと技量の差が生じるのはやむをえない。
 写真も結局は自己満足の世界だから、自分が良ければ良いのだとは思うけれど、最低、「テブレ」のない写真を撮りたいと思うレベルの私である。

 せっかくのブームだ。 単なるブームに終わらせず、それぞれが個性豊かな写真を上手に撮るようになれば、年を重ねた後もパソコンを操り、インターネットで楽しく見せてもらえるというものである。
 私のホームページは写真専門と言うわけでもなく、きわめて中途半端なものではあるが、「気に入った写真が撮れたから見てほしい」と言うようになれれば、さぞ、うれしいだろうと思う。 残念ながらそんな日は到底きそうもないのが私の現実ではあるが、この老年女性もブームの端にぶら下がって、少しは上達するように励みたいと思っている次第である。

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