06’5’2070歳を過ぎてから運転免許の更新をする場合には、「高齢者講習」なるものを事前に受けることが義務付けられている。 数年前かららしいが、高齢者の交通事故が増加していることを受けて始まったようだ。
私も今年の6月が更新月なので、そろそろ来るかなと思っていたところ、4月に入ると程なく「免許証更新のための講習のお知らせ」が来た。 通知はがきを見ると、「高齢者講習」、「チャレンジ講習」等、選択はできるようだが、まずは一般的な「高齢者講習」を受講することした。 早めに予約するようにと書いてあるので、最寄の「西多摩自動車学校」に電話をかけた。
この教習所は羽村市にあり、私が免許を取得した母校でもある。 空きのあるのが5月19日というので、その日を予約した。 連絡のはがきと、免許証と、料金6150円が必要ということ、9時から12時までの講習なので、8時40分にはお越しをと、丁寧な応対だった。 車で来られるかと問われ、「できればそうしたい」旨答えると、「では、駐車場を用意してお待ちしています」とのことだった。はがきの「講習内容」によると、座学講習1時間、「運転適性検査器材」による診断指導1時間、運転実技1時間、である。 ちょっと楽しみな内容だ。
多分、お話やビデオで1時間、あの「ゲーム機」みたいなので1時間、・・・である。 「適性検査器」と言うものだとはじめて知ったが、教習所に通っていたときから「ちょっとやってみたい」器械だった。 思いがけずこの年になって触れるとは・・・。
教習所のコースを走るのも久しぶりで、今走ればどんな感じかと、これも楽しみである。 「自分の車でですか」と予約時に尋ねたら、「教習車でお願いします」と、こちらも久しぶりの「高級車」だ。 そのときに「その実技の試験は」と話したら、「試験ではなく講習なのです」と訂正されたが、受ける方の気持ちから言えば似たようなものである。
当日は、かさなしでも済む程度の小雨がぱらつく日だった。 手続きをして指定の部屋に行く。当日の受講者は男性4名、女性5名の9名。 T人の教官が3名の受講者を担当する。
聞く前から内容を想像できたお話が約1時間。 2時限目は3人ずつ、検査器材組、乗車組、そして私たちは視力検査組と分かれる。
静止視力、動体視力はまぁまぁなのだが、「視力回復時間」がやはり、極端に悪い。 暗いところに入って、目が慣れてものが見えるようになるまでの時間である。 それと、まぶしいところから普通の明るさに戻った時の視力、「眩光下視力」も、平均以下。
夜は見えにくいので運転はしないことにしているのだが、これは正解だったらしい。 私の目は、「人工レンズ」のためか、少しの暗さでも見えにくくなる。 これはメガネを使用することでかなり改善はされるのだが、夜間の運転はしないに越したことはないと思っている。 このことを確認できたのは良かった。楽しみにしていた運転シュミレーションの「ゲーム機」。 これは4種類の反射神経のテストのように思えた。 赤がついたらブレーキ、黄色がついたらアクセルを放す、青のときはそのまま、というのだが、青で、ぴくんとしてしまうのが、おかしかった。
左右の信号を見ながら両側の障害物をよけていく「ゲーム」など、もう一度やらせてほしいと思うほど面白かった。
しかし、この「ゲーム」は、どうもおじいちゃんには不向きなようで、皆さんずいぶん苦労されているように見受けられた。 私自身は、最近ちょっと気をつけなくては、と感じていたことが、結果にも出ていた。 自分で気づいているうちはいいのかもしれないが、器械の判断は適切だと感じたことである。
最後の実技は、教官と受講者3人が乗り込み、順番に運転する。 我々の組は「マニュアル車希望」の3人である。
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都心の教習所に比べれば、コースが長く取られているというが、普通の道路を走り慣れている者にとっては狭い。 やけに重いハンドルだなどと言いながら、無事に運転も終わる。
一時停止をきちんと止まらない人、少し出っ張りすぎる人など、普段の癖が顔を出すが、人生のベテラン揃いだから、教官もうるさくは言えないようだ。
私はスピードが速い、と。 のろのろ運転の教習車になれているので・・・と笑っていた。 速いと言われた私も、ギヤはサードどまりだった。受講者はお客様である。 途中では熱いお茶のサービスもあり、「待たせないように」との気遣いが感じられ、扱いは至極丁重である。
私が教習生だった頃はいつも込み合っていたものだが、この日はすいていて、最近の教習所は、まさか、高齢者講習で命をつないでいるわけではないのだろうねと思うほど人がいなかった。運転適性検査の総合結果は「5」クラスということで、まだ運転が危ないという段階ではないらしい。
午後は「高齢者講習終了証明書」を持って、青梅警察に赴き、あっという間に更新手続きも終わり、これで3年と1ヶ月先まで「安全運転」を心がければよいということだ。 ちなみに「ゴールドカード」でも、70歳を超えると有効期間は3年なのである。
新しい免許証を眺めて思ったのは、「5年前は若かった」ということである。 今回はしっかり「オバァチャン」の顔で写っていた。 仕方のないことである。 何しろ「高齢者講習受講者」なのだから。