慈  姑 (くわい)  

 

09’11’26
 お昼ごはんを食べながらテレビを見ていた。 コマーシャルがわずらわしいので、もっぱらNHKである。

 この日の生中継は、大阪の吹田市からだった。 吹田市特産の「吹田慈姑」と言うものがあることを知った。 その九割を作っている農家の畑にゲストが行って話を聞く場面があった。
  収穫期を迎えて、地上部分はすでに枯れていたが、「この日」のために準備されたらしい葉のついた株が取り出された。 「青々とした葉っぱですねぇ」とアップで映し出された葉を見て、「あれっ、オモダカの葉じゃないの!」とびっくりした。 あの切れ込みの深い三角形の特徴のある葉だ。
 オモダカの仲間なのかな、と思いながら早速ネットで検索してみた。 何と慈姑は「オモダカ科オモダカ属」である。 慈姑が「オモダカ科」の植物とは知らなかった。 
クワイ

  そもそも慈姑を食べることがめったにない。 お正月の縁起物とされているから、暮れのスーパーで「生」を見かけることはあるが、買ったことがない。 食べたことも、よそでご馳走になるだけだから幾度でもない。

 吹田市では慈姑の保存会まであって、町おこしに・・・と言う流れのようである。 市のキャラクター「スイタン」なるものの頭のてっぺんの芽につけられた飾りの花も、まぎれもない「オモダカの花」だった。
オモダカ

 オモダカは今は田んぼの厄介者にされているらしいが、羽村市のオオガハスの蓮田で、私はよく見かけている。 どこにでもあった水田雑草のオモダカを食用に改良したのは中国なので、「原産地は中国」と言うことになるらしい。
 吹田慈姑の農家のご主人の話では、慈姑は繊細で、農薬などには非常に弱く、有機栽培なので手のかかる作物と言うことだ。

私は慈姑がどんな形で育つのかも今回はじめて知った。 株を掘り起こすと親芋から派生した根?の先に一つずつ小芋がついている。 その姿が「慈姑」の由来なのだそうだ。 たくさんの子供に慈愛に満ちた母(姑)が乳を飲ませている姿に通じると言うのだが、今日の日本では「なるほど」と納得の行く話ではなさそうである。
 大体、「慈姑」を「くわい」と読める人もそう多くはないのではなかろうか。 

 慈姑にも種類があること、オモダカの仲間であること、化学肥料や農薬に弱いこと等等、ちょっとした勉強をさせてもらった昼のひと時だった。

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