孫のお箸

04’1’8
 一番小さな孫も今年は三年生になる。 年賀状に「しばらくそっちに行ってないね。また行くね。」とあった。
 両親が忙しいこともあって、会う機会が少ない。 今年の正月、その年賀状よりも先に一家でやってきた。
 親たちは年賀はがきについてきた祝い箸でいいとして、子供たちはそれぞれ自分の箸のほうが使いやすかろうと思って出したところ、この子の箸の先がはげている。 うっかりそれを忘れていて、買い換えておかなかったのだ。 「先がはげているけど、これで我慢できる?」と聞くと、特に気にしている様子もなく、「うん」と言う。
 保育園の年少組のときから「しっかり者」ということで、年長組に入れられていた孫である。 こんなことでぐずることもないとは思ったのだが、一応お伺いを立てた。
 この次来るまでには必ず買っておいてやらなくては、ばぁばの沽券に関わりそうだ。

 この子の「好み」がよく分からないので、ばぁばの独断と偏見で選んだ箸だった。 ピンクの地にウサギが描いてある。
 プラスチックよりも塗りの箸のほうがいいかなと思ったのだが、はげてしまった。 何度も使ったわけではないので、或は「かじった」か。

 プラスチックのカラフルなものもきれいだけれど、一応「安全性」を考慮すると、箸一膳買うのにも考えるものである。
 食べ物をつまみやすくというわけか、先のほうに「刻み」のはいったものがある。 そこが洗いにくそうだけれど、あの子はキティーちゃんが好きだからと、五年生になる孫には、迷いながらそれを買い、こちらは今も使っている。
自分の箸を選ぶほうがはるかに気楽で簡単だ。
 一番大きな孫の箸も先が欠けたことがあるから、子供の箸は大人のものほどしっかりできていないのかもしれない。 成長が早く、使う期間が短いからということなのだろうか。
 彼はもう中学生になるから、そろそろ親と同じ大人の箸にしたほうが喜ぶのではないかなと思ったりしている。
箸だけを考えても孫達の成長ぶりは窺えるものだ。 「たかが孫の箸、されど孫の箸」である。


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