ミ ニ デ ジ

07’8’10
 からすうりの花は夜咲く。 繊細なレースをまとい、不思議な美しさを持つ。 これを満足できる程度の写真に撮ろうと毎年挑戦する。 先夜も花の前に愛用の一眼レフのデジカメを構え、何枚か写してはパソコンに取り込んで大きくして眺めていた。 気に入らなければ再挑戦だ。
 四度目くらいになっていただろうか、パソコンの画面に「USBの一端が認識できません」と出た。 つまり、カメラとパソコンをつなぐ「USBケーブル」に異常が起きて、取り込めない、と言うわけである。 予備のケーブルに取り替えてみたけれど、やはり反応がない。 パソコンに問題があるのかカメラ側か。
 しばらく使っていなかった、同じUSBケーブルを使うコンデジ(コンパクトデジカメ)で急遽部屋の中の小物を写してパソコンに接続してみた。 こちらは何の異常もなく取り込めたので、問題はカメラ側にあることが判明した。

 どうやら修理に出す以外に手はなさそうだ。 販売店を通すと三週間はかかるから、新宿にある、メーカーのQRセンターに直接持ち込むことにした。 宅配便利用の扱いもしてくれるが、持込よりは日数がかかる。
 それにしても何で金曜の晩に・・・と思う。 土日は休みなのである。 ネットで受付だけ済ませておいて、月曜日の「即日修理」で直ることに期待した。 しばらく待っていれば良い、と。 

 土日は写してもパソコンには取り込めない。 写したカードをコンデジにセットして、取り込んだらどうかとも考えた。 しかし、それで何かがおかしくなってはまた大変だ。
 コンデジで撮ればよいのだが、このコンデジがこれまた極めて不調なのである。 電源を入れても液晶に画面が出てこないことがあるのだ。 以前、ほかの不具合で修理に出したときに、うっかりそのことを忘れてしまっていた。 そのころは「忘れていられる」程度だった。 それが、最近はひどくなって、一度で出ないのが普通になり、使う機会も減っていた。

 月曜日には、何はさておき新宿に行くことにした。 すぐ直れば、新宿の高層ビルを撮るのもよいし、早ければ新宿御苑あたりに行くのもよいと、レンズとカメラから取り外したバッテリーだの、記録用のカードなども一応持って出た。
 ところがである。 カメラのケーブルをつなぐ箇所にヒビが入っているので、そこの部品をそっくり替えなくてはならず、「一週間のお預かりになります」、と言う。 一週間! 今週はヒマワリと蓮華ショウマを見に行きたかったのに・・・。
 「来週の月曜日には朝からお渡しできますから」、とのこと。 ひときわ重く感じた帰り道のレンズだった。

 散歩に出るにも不具合のコンデジだ。 運の悪いことに、「撮りたいシーン」では一段と調子が悪い。 悔しいがどうにもできない。
  これを修理に出すかどうかで私は前から迷っていた。 悪くはないカメラだが、一眼レフに比べると、画素数が少ないので、やはり画質は落ちる。 しかし、コンバージョンレンズを使うためにアダプターも特注したし、フィルター類も揃っている。 だが、これを直す費用で、安いものなら新品が買えるかもしれない。 いずれにしろ、今すぐには直らない。 
 今週いっぱい写真が撮れないとなると、画像のストックがたくさんあるわけではないからホームページにも穴をあけることになるし、第一、カメラなしではストレスがたまる。 フイルムを買ってフイルムカメラを使おうか、とも考えた。 でも、現像して、焼き付けて、それをスキャナーでパソコンに取り込んで、と考えると、かなり面倒である。

 水曜日に散歩に出たが、カメラの不具合から一枚も撮ることができずに帰って来た。 新しいコンデジを買ってしまおうかという気になっていた。
 ネットで調べ、予算の上限を決めて午後から出かけた。  高額のものを買うならば、一眼レフの交換レンズの方が欲しいから、高いものは買いたくない。 電池が、「乾電池」のものも、私の場合、電池代がかかるだろうから避けて、充電式のバッテリーが希望だ。
 「一眼レフをお使いで当座用にというのならば、これはどうですか。 案外いいですよ」と勧められたのが、ペンタックスの手の平サイズ。 昔のライターを少し大きくした程度の大きさのもの。 「馬鹿チョンみたいな感じですけれど、色もいいですし」と言う。 フイルム時代には長いことペンタックスの一眼レフだったので、なんとなく親しみを感じた。 予算内だし、「馬鹿チョンでも良いか」と言う気になった。 
 

買ったものの、自分で絞りを決めたりする面白さはない。 露出補正はできる。 一応使い方を読み、練習にいろいろ撮ってみる。 散歩にも持って行く。 小型のミニデジだが、これが意外ときれいに撮れるのである。 モードがいくつもあって、景色・花・人物・夜景・・・。 それ以外にもテブレを防ぐ高感度モードなどもある。 スーパーマクロから無限遠までの距離に対応する。 スーパーマクロは、手持ちでは難しいのかもしれないが、一応、ちょうど合いそうな三脚もあることだ。
 「もう少しバックをぼかしたい」などの注文は無理と言うものだが、花も結構撮れる。 小さいながら画素数は愛用の一眼レフを上回るので画質もよい。 ただ、液晶画面は明るいところでは見にくくて、狙いたいところにピントが合っているのかどうか分からないことのあるのは気に入らない。
 元来、やや暗めの仕上がりが好きなので、マイナスの露出補正をかけることが多いのだが、元に戻しておくことをよく忘れる私である。 このミニデジは、電源を切ると自動的に標準に戻るという点は、そんな私に向いていると言うところだろうか。

 昨日今日と持って歩いているうちに、これは軽くていいと思うようになった。 撮影目的でない外出に持ち歩くには、一眼レフは大きすぎるから、コンデジを持って出ていたが、最近の不具合では持って出ても役に立たないことがある。 精密機器なので、修理しても果たして完全に直るものかと危惧もする。 まして古い機種だ。
 「携帯カメラ」としては申し分なさそうな、ミニデジである。

 昨日は、車で二十分ほどのところにあるヒマワリ園に行ってきた。 ミニデジはそれなりに使えたが、肝心のヒマワリは、猛暑と水不足で、下葉が枯れ、気の毒な状態になっていた。
 サラシナショウマもそろそろ見ごろを迎えそうとの「開花情報」だ。 一眼レフの修理が済んでからでもどうにか間に合いそうだ。 こちらは、山の斜面で暗い上に逆光と、撮影条件が厳しいので、やはりレンズを選んでゆっくりと撮りたいと思う。  腕がイマイチなのだから、うまくはいかないのだが、やはり愛用のカメラの退院予定日である「次の月曜日」が待ち遠しいことである。 そして、これからはこのミニデジも一緒に連れて行くことになりそうだ。   

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