08’1’27
真夏も、昔のように窓を開けたまま寝られるような時代ではなくなったので、雨戸もしっかり閉める。 暑さ対策にはエアコンを使うが、あの冷え冷えとした風があまり好きではないので、布団が必要になる。 タオルケットにしたり、薄手の羽毛布団を使ったりしてきたが、昨年は、夏も厚い羽毛布団のまま過ぎた。 寝るときには胸まで掛け、暑くなれば折り返すと言うことで、布団を換える手間を省き、不精を決め込んでいたのである。
寝相が悪いとみえて、掛け布団がよくベッドから落ちかかっていた。 しかし、昨秋、ベッドを新調したら、掛け布団のずれることがなくなり、「たかがベッド、されどべッド」だなぁと思ったものだ。
そのまま秋も深まり、布団だけではちょっと涼しいと感じるようになって、タオルケットを下掛けに追加した。 ところが、このタオルケットがとにかく重い。 体に絡みつく感じもうっとうしい。 感じが悪いからもぞもぞ動くのだろう。 タオルケットは丸まり、布団がまたずれる。
ある晩、夜中に、イライラの元のタオルケットをはずし、横においてあったガウンを布団の上に広げてみたことがあった。 あきれたことに、その方がよほど気分がいいのである。 ガウンを広げただけなのに、この方がなんとなく暖かい気もする。
ガウンにヒントを得て、タオルケットを上に掛けてみた。 今まで、「私の常識」にはなかった使い方である。 肌掛けや毛布は下、布団は上、と深くも考えずに長年使ってきた。
この「非常識」が、思いがけず、快適だった。 もちろん体にまとわり付くことはないし、重さもあまり感じない。 そして何よりも、とても暖かいのである。
今まで、綿の布団カバーが直接体に触れる時の冷たさがいやだったのだが、夏からの続きで、あまり感じなくなっていたこともあるのだろう。
ここで思い出したのは、以前、テレビで、羽毛布団は上に掛けるよりも下に掛けて、上に毛布でも掛けたほうがずっと暖かいはずだ、とさるお方が言われていたことだった。 そのときは、羽毛布団のたっぷりした隙間にたまった熱を逃がさないようにする方が暖かいのは当然、と聞いたものの、長年の習慣を変えるのは結構難しいことで、結局は今まで通りの使い方を変えられなかった。
寒さが加わり、タオルケットを毛布に替えた。 室温20度に設定しているエアコンも、音が気になるので、寝るときにはとめる。 それでも明け方も暖かい。
夜中に起きだしても、ベッドに戻ると暖かいのが不思議なほどである。 これはやはり、新しいベッドのせいばかりではなく、布団の使い方が大きく関係しているらしい。
多少は節電にもなり、電気毛布で、さらに干からびた人間になる心配もなくなると言うものである。
「なるほど」と思って聞いたことは「物は試し」と、まずはやってみるべきだとつくづく思った。 これまでの人生、それをしてこなかったのだから結構、損をしてきたに違いない。 少々遅いかも知れないが、頭を少し軟らかくして、「物は試し」の精神を忘れずに暮らしていくことにしようと思ったことである。