03’8’27メス猫のブチとシロは、独り者の隣の息子が餌をやるので居着いてしまった野良猫である。残飯などが出されると、急いでブロック塀を乗り越えていくが、後は日当たりのいい我家にいることにしているようだ。当然オスも集まってくる。![]()
毎年子猫の生まれるのも頭痛の種だ。今年も先ず、ブチが四匹産んだ。裏の家の古い納屋で産むらしい。少し大きくなると、引き連れてやってくる。餌を食べに親は塀を越えていくが、ついていけない子猫は、こちら側でミャ−ミャ−鳴き騒ぐ。夜は我家の縁の下や、濡れ縁の上などに親子で寝ている。
私はこれを、可愛いと喜んだり、しょうがないと諦めているわけではない。何とか追い出そうと、縁の下に忌避剤をまき、濡れ縁に剣山を並べ、容赦なくホースで水を浴びせる。![]()
大雨の日、なぜか子猫一匹だけが我家のテラスにいた。翌日も雨。丸一日飲まず食わずだ。ここで死なれても、と気になった。夕方、雨が上がった。弱弱しく鳴いたと思ったら親が来ていた。一緒に行こうとするが、弱っていて歩けない。私が顔を出したものだから、親は子を置いて逃げた。隠れて見ていると、すぐ戻ってきて、くわえていこうとしている。くわえて運ぶには大きすぎる。引きずって、やっと連れて行った。「親だなぁ」と思った。
七月になって今度はシロが三匹産んだ。ブチの子四匹が植木鉢をひっくり返したり、暴れ回るのに手を焼いている最中なので気がめいった。![]()
雨の降り続く朝、窓の下にシロの親子が寝ていたので、思い余って隣りに電話をした。「捕まえに来て」と。弟の奥さんが来て二匹だけ捕まえてくれた。「餌をやらないでと言うんだけれど」と、彼女も困り果てているようだった。
後日、「保健所で取りに来てくれた」と聞いた。かわいそうだが、もうこの手しかない。前の河原に猫を捨てる人。餌をやるだけの人。迷惑この上なしだ。無責任さが恨めしいが、一番の被害者はなんと言っても猫だろう。