沖 縄・慰霊の日に


02’6’23
 6月23日は沖縄の「慰霊の日」です。戦争末期の沖縄戦の話を当時小学校5年生だった私は他人事でなく聞きました。担任の先生が沖縄出身の方だったこともあり、連夜の東京空襲も体験していたからでしょう。
 戦争が終わって平和な時代になっても、私にとって沖縄は「観光に行く場所」ではありませんでした。物見遊山に行くのは犠牲になった方々に申し訳ないといった気持ちでした。
 海がすばらしくきれいだと聞いても、遊びには行けない、と思っていました。それが、「今は行ってあげることが沖縄のためなんじゃないの」という息子の一言で、少し考え方が変わりました。時代の変化を再認識したとでも言うのでしょうか。「きれいな海も見て、お参りもして来ようかな」と思うようになったのです。

 「平和の礎」の向こうに広がる真っ青な海、白い砂浜。その海が敵の艦船で埋め尽くされた日があったなんて、とても考えられない静かな静かな海でした。
 傷ついた人たちが必死に逃れたのではないかと思われる道を観光バスが走るのです。50年という時の流れを思いました。

 「ひめゆりの塔」に花と線香を供えて手を合わせてきましたが、あれほど心をこめて手を合わせたことはなかったと今でも思っています。
 さんご礁の海の青さが、思いをさらに深めたような5年前の旅でした。


[目次に戻る]