05’3’24健康についての関心が高まり、最近は「ウォーキング」に励む人が増えている。平日の日中のことだから、ある程度歳を重ねた人たちである。広い公園の遊歩道、住宅地、それぞれ決まったコースを歩いているようだ。家近くに多摩川の堤防と玉川上水沿いの遊歩道のある私は、当然ながらここが最も利用する散歩コースである。堤防上を東に向かって歩き、帰りは上水に沿って「土の道」を戻るこの一周コースは、大勢の人が歩いている。逆コースを歩く人とは堤防と遊歩道とで2回すれ違うことになるのだが、すれ違う人もさまざまだ。グループでおしゃべりを楽しみながらの人、「ウォークマン」で音楽を聴きながらの人、まっすぐ前を見て足早に行く人、「おはようございます」と挨拶をしてくれる人、犬の散歩も兼ねている人・・・。
時間のあるときに行くことにしている私は、時間もまちまちで、コースにも多少の変化をつけて、さらに足を伸ばしてみたり、横道にそれたりしているので、「顔見知り」ができるには至らない。玉川上水の遊歩道は、桜の名所としても知られる場所である。桜の時季は、人の少ない朝のうちに歩く。桜吹雪の中では、思わず足が止まる。いつだったか、上水がまるで桜の花びらの流れのようになっていたのを見たことも忘れられない。
夏は釣り人が糸をたれる静かな朝がいい。
紅葉した堤防の桜
秋は対岸の草花丘陵も紅葉し、真っ青な空にくっきりと稜線を描く。一陣の風に紅葉が雨のように降り注ぐ上水沿いの木下道はうれしい小道となる。
冬は冷たい川風に負けないようにせっせと歩く。帰りはぽかぽかと暖かくなり、一枚脱いでくるほどだ。雪の後は、遥かに白くなった奥多摩や秩父の山を望みながら歩く。草花丘陵の「はだれ雪」が、絵心のなさを嘆かせるときでもある。この堤防の道には、50メートルごとに白線が引かれている。「○○橋まで○○キロ」などと横に書いてある場所もある。
100メートルを130歩、これを標準として、わずかに数歩の差ではあるのだけれど、「疲れている」と感じる日はてきめんに多くなり、「快調」と思う日は少なくなるのである。歩き始めは歩幅が狭く、調子が出ると歩幅が広がることも分かった。距離にして5キロ弱だろうか。それ以上歩こうと思う日は小さな水筒と飴くらいを持つ。お天気の良い日にはどこまでも行ってみたくなる。
もちろんデジカメは常に「連れ」である。「何も撮らない日」は1時間の散歩も、引っかかりだせばたちまち倍の時間の散歩になってしまう。
時には、突き当りが神社になる反対方向に向かう。距離は短いが丘陵が目前に迫り、グランドが広がり、また違う景観を楽しめる。神社を抜けて住宅地を通るのも、それはそれで楽しい。自然の風景の中で、歩く場所には事欠かず、健康にも良いとなれば、「ウォーキング人口」が増えるのも当然だろう。億劫になることもないわけではないが、私も歩くことに精を出そうと思っている。