新 型 車 両 

07’1’12
 「試運転」で走っているとは聞いていたが、見る機会のないままだった「新型車両」に乗った。 JR中央線、青梅線、五日市線に導入されたらしい。
 チョコレート色の”省線”が、オレンジ色の車体に変わったときは、あまりの色鮮やかさに戸惑った記憶がある。 それにもすっかり慣れて、黄色や青など線によって違うカラフルな電車も、当たり前になった。
 しばらくは新旧の車両が混在するのだろうが、いずれはオレンジ色のおなじみの車両は姿を消すわけだ。
 新車両はシンボルカラーのオレンジのラインが、シルバーの車体を走るデザインである。 女性や年配者に配慮して、優先席の網棚が低くなり、女性専用者の吊手も低くしてあるそうだ。
 たまたま乗ったのが真ん中だったので、優先席の様子は分からなかったが、ドアの上に二つの液晶画面があって、一方には次の駅名が出、もう一方にはCMなのか、若い女性の姿などがいろいろと映っていた。

 初めて乗った私が最も気になったのは、七人がけの座席に手すりが二本付いていたことだった。 両端から二人分の席のところについていた。 地下鉄だったかにもこのスタイルがあったが、これは何のためなのかと、気になるのである。
 こうすると、座席から立ち上がるときに手すりのない人は真ん中の一人だけだから、高齢化社会に配慮した結果なのだろうか。 年を重ねた人には、立ち上がるときにつかまるところがある方が楽なのは確かだろう。 それならばいいのだが、この手すりのあることで、「七人がけ」が守られるから、というのかもしれないとも思うのだ。
 七人がけの座席に六人しか座っていないことは良くある。 しかし、ほぼいっぱいに座っていれば、「六人だから詰めてください」とは言いにくい。
 座席の背もたれ部分には色の違うところがあって、その前に一人ずつ座る仕組みになっているのだろうが、これは完全に無視されている。

 優先席を設けなければ、社会の弱者は座れず、手すりで否応なしに座れるように仕切らなければ、七人がけが守れない。 この現実は、まことに情けないことだと思うが、一方では、あの席に七人は根本的に無理だとも思う。
 痩せ型人間ばかりではない。 恰幅のいい人も多い時代である。 その上、冬はダウンコートを着たりしているから、七人を座らせるにはかなりの無理がある。 その根本的な部分にも目を向けてほしいものである。

 女性や高齢者への配慮を前面に押し出しているJRだが、「乗客への配慮」と言う点では”イマイチ”かなと、考えながらの初乗りだった。

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