掃 除 機 

08’12’27
 この年の瀬になって、突然掃除機が故障した。 考えてみれば十数年使っていたのだから寿命だろう。
 機械物に共通しているのは、仕組みが単純なものほど故障は少ないということである。 これ以前の掃除機は、円筒形の胴の中にごみがたまるだけの、事業所向けのもので、ずいぶん長い間使っていた。 今は何やかやと「機能」がついている分、故障も多そうだ。

 とにかく、生活必需品となっている掃除機が使えないのでは、早速何とかしなくてはならない。 とはいえ、またしばらく使うものであるから、なんでもいいというわけにもいかない。

 こんなときに、まことに便利なのが「ネット」から得られる情報である。 まず、「売れ筋」の掃除機を調べる。 ここで、紙袋を使わない掃除機が多くなっていることを知った。 次に「使っている人の意見、感想」を読む。 当然ながら、これが大変参考になる。 そして候補を絞った。
 紙袋使用のほうが、捨てるときにごみが舞い上がらないと言う利点もあるらしいが、それよりも、紙袋を使わないものは「フィルターをこまめに掃除するのが厄介」と言う点で、面倒くさがりやの私には不向きである。

 ついでに買い物も済ませたいので、スーパーも入っているモールの中の家電量販店に行った。 ごひいきの店の系列ではあるが、品数も少なく、候補の機種は見本があるだけだったので、やはり、慣れた店に行くことにした。
 こちらにはずらりと並んでいる。

 候補機種二つを見比べていたら、ころあいを見計らったように店員がやってきた。 「この価格の差以上に、こちらの方が便利にできています」と、やや値の張るほうを勧める。 「機能が多いと故障も多くないですか」と言うと、「これはしっかりできているから大丈夫ですよ」と。  売り手が「そうですね」と言うはずもない愚かな質問をしてしまった。
 「ホースが太くて狭い場所に入らない」との「使用者のコメント」を思い出したが、ほかのメーカーのものと大差はない。 店員の勧めに従ってと言うよりも、簡単に着脱できる「子ノズル」が、我が家では便利そうだったのでそちらを選んだ。 

 ブラシも隙間用のノズルも、すべて延長管部分に収納できる仕組みになっている。 ノズルを行方不明にしたという話を聞いたことがあったが、そういう騒ぎはなくなりそうだ。
 私が面白いと思ったのは、「ハウスダスト発見」と言うランプが点灯することだった。 目に見えないホコリや花粉を感知するらしい。 部屋の隅などに行くと点灯する。
 点滅しないから「たいしたことはない」段階らしいが、どこに細かいごみが集まりやすいかがよく分かる。 予想通り、ベッドの周囲ではちょくちょく点灯する。 やはり綿ぼこりが多いのだろう。

 そんなことを面白がっていたら、あっという間に家中の掃除が終わってしまった。
 吸いこむ力が強いので、気をつけないと厄介なことになるだろうが、その割に音は静かで、目方も軽く、持ち運びも楽である。 掃除機もご他聞にもれず、進化を続けていたようだ。

 故障した掃除機がかなりお粗末だったので、いろいろとものめずらしさを感じながら新品の掃除機を使っている。 単純な人間と言うのも結構楽しいものである。

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