水 分 補 給

 
06’4’27
 昨年、北アルプスの「西穂高山荘」に泊まった晩のことである。 荷物を山荘に置いて、「独標」まで往復し、夕食後は寝るだけ、と布団に入って、足を伸ばしたとたんに足がつった。 太ももから指先まで。 しかも両足。 飛び起きて揉むがなかなか治らない。 思い切って立ち上がると治るが、横になるとまた・・・。
 疲れたと言っても、歩いたのは正味半日のことであり、それほど大変な行程とも思えなかった。 痛い足をさすりながら、今日の行動の中で「いつもと違うことは何か」を考えた。 思い当たったのが「水分補給の少なさ」だった。 昼食以後、ほとんど水を飲んでいなかったし、夕食時にも味噌汁とお茶を少々程度だった。

 仲間に頼んで空のペットボトルに水を汲んできてもらい、一気に飲んだ。 500ミリリットルを一気に。 数分後には信じられないように足の筋肉の硬直が治ったのにも驚いた。 恐る恐る足を伸ばしてみるが、「ピピッ」とこなくなっている。 寝返りをしても大丈夫だ。 

 昔から私は水をあまり飲まない。 若い頃、水道水に含まれる薬品のアレルギーがあって、沸かしたもの以外は飲めなかった経験が、今も尾を引いているようだ。
 大勢で食事をしたり、お茶を飲んだりするときにも、私のコップの水は口をつけないままのことが多い。 気をつけてみると、人は、お代わりまでして水を飲んでいる。 

 冬が過ぎ、暖かくなってきたら、幾日か続けて、朝方、足がつるようになった。 「コムラガエリ」になり、飛び起きることもあった。 寝る前には必ず水分を取るように心がけているのにと、半信半疑ではあったが、改めて昼間からしっかり水分を取るようにした。 食後のお茶もお代わりをし、間でも必ず飲むことにした。 その結果、朝方の足のつりも治ったのである。

 水分の補給がいかに大事かと、思い知らされたことだ。 お茶は利尿作用があるので、水の方が良いそうだけれど、水ではあまり飲めないので、「でからしのお茶」を心がけている。
 ちょくちょく足をつらせていた山仲間も、最近血圧の薬を飲むようになって、飲む水の量が増え、つらなくなったと話しており、仲間内では、水分補給の重要性がしっかり認識された形である。
 先だっては、定年を過ぎた甥が、「朝、足がつってねぇ」と言うので笑ってしまった。 仕事から帰り、晩酌をおいしくするために、水分はとらないことにしていたらしい。

 年を取ると、のどの渇きをあまり感じなくなると言うから、やはりそれなりの注意が必要のようだ。 一生懸命に、水分を補給しても、顔のしわが伸びて、みずみずしくなることはなさそうだが、痛い思いはしないで済むようになった私である。  

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