09’9’13
この時期に、この花に集まってくるのが「スズメバチ」だ。 花盛りの日中、恐ろしげな羽音を響かせて、大きなスズメバチが飛び交う。 秋は特に攻撃性の強いことで知られる「スズメバチ」ではあるが、そうやたらに人に攻撃を仕掛けてくるわけではないから、今のところ被害はない。
巣でも揺らそうものなら一斉に飛び出してくる怖い蜂だが、人の家の花によって来て、横を通る人を襲うことはなさそうである。 その程度の礼儀はわきまえているようだ。 とはいえ、横を通ると一斉に羽音をさせるのだから、あまり気持ちのよいものではない。
何しろ玄関前なので、家への出入りにはどうしても横を通らなければならない。 「手で追い払ったりしなければ、刺されない」と家の者には分っているが、来客は、突然目の前に飛び出されれば、思わず手で追い払うかもしれないので、隣に植えてある「糸ヒバ」の枝に「スズメバチにご注意」と、札をぶら下げておいたりする。
岩南天を、移植するか、切るかすれば良いのかもしれないが、花の時期だけのことだし、自然界に生きるもの同士、折り合いをつけながら共存したい気持ちもある。
今年は秋の訪れが早目のようで、この岩南天のつぼみも早々と膨らみ、黄色い花が開き始めた。 どうやって察知するものか、スズメバチもやってきた。 ただ、例年よりも数が極端に少ない。 一応、横を通る時には注意しているのだけれど、今のところ、いつも一匹か二匹しかいない。 ぜんぜんいないこともあって、何だか拍子抜けすることもある。
そういえば、今年は「アシナガバチ」もあまり見かけない。 草むしりをしていて目の前に巣を見つけ、肝を冷やすことも多いのだが、今年は通るたびに蜂が出て来るので覗いてみつけた戸袋の下の一つだけである。 電気や水道の「検針」の人が通ることもあるので、その巣は気の毒だが撤去した。 「作った場所」から考えて、「今年は台風が来そうだ」と思ったのだがどうだろう。
岩南天に来る「スズメバチ」はかなり大きいが、我が家の雑然とした庭によく巣を作るのは「コガタスズメバチ」である。 今年は今のところ、その巣も見当たらない。 蜂がいれば、洗濯物を取り込む際にも神経を使うが、まったく姿を見かけないのも寂しいものである。
おかしな夏で、日照時間が少なかったことも関係があるのかもしれない。 今年の秋の花はみな背が低めで、花の色も冴えない感じだったが、ここに来て、やっと持ち直してきた感がある。 当然虫たちにも影響はあっただろう。
最近はスズメも減っている。 オナガ、カワラヒワ、アオジ、・・・、みんな来なくなった。 自然環境の変化で、鳥にも住みにくい世界になったのだろう。 これで、更に虫までいなくなったのでは、人間にも影響が無いとは言えないのではないだろうか。 「明日のエコでは間に合わない」。 聞き飽きた台詞だが、その通りと思う。
岩南天の花を根元が黄色くなるほど散らすスズメバチの現れるのを心待ちしている人間も珍しいとは思うが、これ以上、生き物の住みにくい自然界にはしたくないと、節に願うのである。