10’11’25
写真家さんの説明は、一枚は、自分の狙い通りに撮れたと満足のいくもの、一枚は、失敗作、一枚は、危険を冒して撮った作品と言うことだった。 その作品の一枚は、東京の夜景である。
一枚は、縦位置の画像で、下半分に六本木ヒルズを中心とするビル群があり、上半分には真っ青な空に変わった雲が広がる作品だった。
あと一枚は、「スクランブル交差点」を撮ったもので、渋谷駅前のスクランブル交差点と言うことだった。
タレントさんたちはそれぞれ意見を言っていたが、 満足できる作品、危険を伴った作品、失敗作、の選び方が人それぞれなのが面白かった。 中には、「ボクは正しい見方ができないから・・・」と、謙虚とも、弱気とも取れる発言の人もいた。
東京の夜景は、「誰でも撮れる」なんていう人もいたが、私には最高傑作に思えた。
東京タワーもくっきりと写り、さながら宝石箱をひっくり返したと言うのはこのことか、と思うほどの美しい夜景だ。 羽田空港に夜帰ってくると、下に広がる東京の夜景は、息を呑む美しさである。 その作品は、車の走る光の帯も鮮明で、まことに美しいものだった。
光の一つ一つに人間の営みがあり、それがまことに美しく表現されていると思った。
六本木ヒルズの写真は、私としては、もう少し低い位置から撮れば、六本木ヒルズの高さが強調されて、なお良かったなぁと思ったのだった。 もう少し低い位置から狙ってほしかったが、高層ビルへの接触を恐れたのかもしれないと思い、「危険を伴った」作品と判断した。
スクランブル交差点は、それをテーマにするならば、その部分をもっと大きく撮ってほしかったなと考えながら見ていたので、「テーマが絞りきれていない」から失敗作かなと。
プロの作品にたいして、まことに失礼ながら、自分なりの判断をさせていただいた。
最後に写真家ご本人が、答えを示された。 何と、私は正解だった。
ただ「危険を冒した」内容が違い、その変わった雲は台風の名残の雲で、撮影にあたっては機体が大きくゆれるので危険だったのだそうだ。
ごく短い放映だったが、私には大変興味深いものがあった。
私も「写真の見方」だけは、どうやら進歩したらしいことが分り、私なりの満足感を得た。 一方、人の見方はそれぞれ違うから、「誰が見てもすばらしい写真」を撮ることは至難の業であることも知った。
写真展などで、上位に入賞している作品よりも、佳作の作品のほうが好きだというような経験は、誰にもあることだろう。
自分なりの「表現」すらまだ分らず、どうすれば良い写真がとれるものかと、常に模索中の私だ。 ただ、見る人が「なんとなくほっとして好き」と、言ってくださるような写真が撮れればと、思っているのである。