08’11’13
今風のつめきりを使うようになったのはいつごろなのか定かではないのだが、自分で買ったことはなく、大体が頂き物で、お店の名前が入っていたりした。
つめきりでつめを切ると、切ったつめが飛ぶ。 それをなくそうと言うわけだろう、最近使っていたのは切ったつめが中にたまるような構造になっている。 これが、よさそうではあるが、私には不都合なのだ。 手のつめはまだいいのだが、足のつめが切りにくい。 山歩きのときの紐の締め方が悪いのか、親指よりも隣の指のほうが長いのがまずいのか、私の足のつめには変形して平らでないのがある。 これが、刃先の見えにくいつめきりではうまく切れない。 長兄が使っていた、あの形ならどうだろうかと、ここしばらく「良いつめきりがほしい」思いを強くしていた。
先日、尾瀬に行った帰りの寄り道で、新潟の小出の「道の駅」に、三条市の金物屋が店を出していた。 三条市は金物で知られている。 良い機会だとのぞいてみた。 つめきりを見ると、あの「やっとこ型」がある。
最高級品ではないが、「6825円のつめきり」は、私にとってはかなり高価である。 「切れ味が落ちたら、有料だが、メンテナンスもする」旨、説明書に記載されている。 一生使えそうだ、と迷わず買った。 プラスチックながら、立派な?箱に入っている。
「厚く変形したつめでも切れるように刃が大きく開くから注意するように」とか、「深爪をしないように」と注意書きにある。 今まで見たことはあっても、使ったことのない形なので、恐る恐る手のつめを切ってみる。 力を入れなくてもパチッと切れる。 何よりも、切ったつめの先がつるつるしているのがうれしかった。 今までのように、「ヤスリ」をかける必要がない。 変形している足のつめも思うように切れた。 大げさに言えば、今までは、切っていると言うよりはちぎっていたのだろうか。 「切れる」と言うのはこういうことだったか、と改めて感じ入った。 一口につめきりと言っても、大きな差があるものだ。
「良い道具」がほしいと思いながら、長年、すべてそこそこのもので我慢してきたが、人生も終わり近くなって、いささかの悔いも残ろうというところである。
たかが「つめきり」、されど「つめきり」である。 伸びないつめを切るわけには行かないが、なんだかつめきりが楽しくなったような気がしている単純な私である。