07’6’9
そんな中で、順調に成長を続けているスーパーがあると言う。 OKスーパーと言う名は、私の周りでは耳にしたことはないが、そこの社長がテレビで話すのを聞いた。
この社長の「基本方針」と言えるものは、「絶対に客を裏切らない」ことだと言う。 自分が客の立場で「嫌だ」と思うであろうことは一切しないのだそうだ。 経費はできる限り節約して、商品を安く提供することを心がけるようだ。
新聞に嫌になるほど折り込まれてくるチラシも、最近は色鮮やかで、大判である。 このOKスーパーでは女性社員がコンパクトデジカメで商品を撮影し、パソコンを使っての自社製で、新聞に折り込むことはしないらしい。
特売日は設けない。 特売日を設けると、その日にしか客は来なくなる、と言う。
私が利用する近くのスーパーでも、特売のチラシが入ると、店に慣れていないらしい客が増えるのは毎度目にするところである。 確かにその日だけの混雑だ。 このあたりは、しっかり客の心理をつかんでいる。
更に、よその店で特売をしている日には同じ商品の値下げをする。 そこにつけられる”コメント”がふるっている。 「競合店で下げているので下げました」。
常に競合店の様子は見に行って、自分の店の客が「損する」ことのないように気を配っている。
最盛期を過ぎて味の落ちるイチゴには、酸味が強くあまり美味しくないのでジャムにするか、コンデンスミルクをかけて食べるように、などと書いてある。 仕入先も信頼関係の深いメーカーに限られている。
私が近くのスーパーで、売れないのに何でこのメーカーのパンを仕入れるのか、とかねがね疑問に思っていたことを、このスーパーではやらないのである。
売れないものだから、売れ筋のパンを店に並べる時間を遅くしたりしているように思われたが、これは、私がパンを自家製にした理由のひとつでもある。 客にここまで「読まれて」いてはどうしようもないことだ。
近くに競争相手の店がないとは言っても、今は車もあり、道がよいから、自転車でも皆さんよその店に行ってしまうのに、と思う。
袋詰めを買うと、鮮度の落ちたものが紛れ込んでいたりするようでは、客離れが進むのも当然だろう。
どこの店は安いとか、品が良い、とかの情報は口コミでまたたく間に広まる時代である。 一度客に抱かれた不信感を払拭するのは容易なことではないはずだ。
スーパーの社長の話だったが、人と関わりながら暮らしていく上で、何事にも通じることだと感じさせられたのだった。 「人を裏切らない」。 心して生きて行きたいものである。