西遊記TOP

西遊記モノ感想

■2004/09/07 (火) 平凡社東洋文庫・西遊補
悟空が単独で夢幻世界を冒険するという、その存在を知った時から読みた
かった。
西遊記を補うという題名の本書。「鏡の国の孫悟空」というのは副題だと
思っていたのだが、現物でびっくり!「西遊補」が副扱いかよッ!?
「鏡の国の〜」というのはかの有名なアリスの知名度にオンブした形であり、
実際に「鏡の国」での冒険なのだが、やっぱりデカデカと西遊補と記してほしかった……

で、読破一回目。私は素直に萌えていーのでしょうか?
高貴の美女の酒宴にて情報を得るため、毎度のごとく「美女(男女の秘め事には
とんと興味が無いが、桃と同じく食べごろはよぅ〜くわかっとると言う事
ですな)」に化ける悟空だが、これが偶然かの有名な「虞美人」瓜二つ!
いやはや、テキトーに化けたはずなのに。
さらなる情報のため虞の夫「項羽」をたらし込みにかかる悟空。
これも八戒や黄ほう怪でお馴染みの策だが、何しろページが有るのでさらに
濃厚なむつみよう!甘えてしなだれ引いてはなよなよとはかな気にじらし、
項羽に一晩中講談させてとうとう無事床入りの段を乗り切ったのだ!
さすがプロだぜ!悟空!!すべてはお師匠様のためッ!
傾国の美女の正体は毛むくじゃらの化け猿というカタルシスがあってこその
風味絶佳なシーンだよね。
悟空に騙されて本物の虞を手に掛け、贋者に鼻の下を伸ばしている間抜け役の
項羽の姿は、本宮版でしか知らない私さえ「こんなの書いて項羽ファンの心理は如何に?!」
と心配になっちゃう程。
他にも、「新冥府大王孫悟空」「三蔵妻帯!!」とか「悟空の息子登場・母は羅刹女?!」とかあるのだが、
同じパロディ野郎としておこがましくも悔しいナリ。
悟空好きなら読む価値大。


■2006/02/14 (火) 矢七CV悟空は渋すぎ!でも燃える!!

本日の西遊記〜'88劇場公開・松竹『Hi-SFX-MOVIE 西遊記SAI-YU-KI』
映画館に出かけたよーな気がしてたのだが、必ず購入するパンフレットが見あた
らないので行かなかったのかも…?原典ほぼ忠実に火焔山ネタ。
ハイビジョン・SFX映画と銘打ってるが、人形劇…ですな。『ダーククリスタル』
のように繰演がメインだが、ロングや後ろ姿など差し支えないところは人間が演じる。
人形とはいっても、羅刹女がまとった薄物の着物に乳首の色が透けているという
ように多分にオトナ向けなデザイン。でも三蔵は女性っぽいし悟浄は河童…
先の東映アニメははっきり子ども向けでいて悟浄は陰気な色の大入道。手塚先生
の悟浄は「河童」をちゃんと避けているよね。
悟空のCVが中谷一郎=風車の矢七で渋い!!劇画調の人形デザイン(=おっさん)と
相まって、小島版悟空の雰囲気なのよぅ!小島版みたいな悟空を描きたいと作った
オリキャラが天晧なんだけどね。
で、八戒>坂上二郎、悟浄>矢島正明なんだが、八戒はともかく悟空が渋キャラ
のせいで悟浄は果てしなく存在が薄い・・・体格も一番小さいし
牛大哥は悟空と実力伯仲なので大方の西遊記ではラスボス設定が多いのだが、原
作中では珍しく「三蔵を狙わない」奴で、悟空による芭蕉扇強奪の被害者なのだ。
血よりも濃い契りを結んだはずの義弟(悟空)に息子を取られ、妾は脅され、美
人妻まで色仕掛けで騙され、あまつさえ自分にも刃を向けてくる・・・俗世のし
がらみは捨て去るのが出家というものとはいえ、余りにダーティなヒーロー悟空。
それも全てお師匠さまのため・・・ケナゲだよねッ!!
人形デザイン、ステキ!とはお世辞にも…だが、羅刹女に芭蕉扇喰らい叩き付け
られて観音様に介抱、偽芭蕉扇つかまされ炎にまかれて大火傷でお師匠に介抱さ
れてる2度の包帯姿の悟空(のシチュエーション)はナニカが萌え出づりまするよ。
諸手をあげて人に勧めるのはちょとはばかるアレな1本ではありまするが、こん
な風に琴線に触れるシーンがあれば、ファンは満足しちゃうものなんだよなーと
いう好例。
三弟子はうちの連中以上にボロ着てるのだが、決戦に臨む悟空はその上に皮の
鎧?まとう・・・まーヲタフィルター越しにカッコイイからいーか