1996年に走り始めた東京臨海高速鉄道りんかい線の70-000形。
鉄道趣味誌の公式取材では「臨海副都心線」の表示が出ていたり、シルバーシートのマークがチラッと写っているなど早くも今では見られないシーンが。
4両編成4本で投入された後、増備を重ねて埼京線開業時には10両編成と6両編成の2グループ体制に。その後、10両編成8本に組み直され、余剰車輌はJR東日本に…と、落ち着くまでに結構時間がかかりました。

車内にも様々な変化が訪れましたが、先頭車の車椅子スペース付近の車端部を撮影した画像で、2006年から2022年までの変化を見ていこうと思います。


2006年2月に撮影した車端部


概ね登場時の車内を踏襲しているようですが、早くも携帯電話の電源オフを促すステッカーが妻面に貼られています。
千鳥配置のLED表示機も今となっては懐かしい存在。通常モケットは水色に近い青、優先席は小豆色でした。

2008年11月に撮影した車端部


埼京線大宮駅でたまたま撮影した70-000形。アッと驚いたのは水色の吊革です。
埼京線を走る205系の吊革、手掛けが黄緑色に変化したのと同じくらいのタイミングで、70-000形オリジナルの水色の吊革が優先席、車椅子スペースにお目見えしました。明るいながらも落ち着いた内装の中に飛び込んだ水色の吊革、結構目立ちました。
優先席表記に携帯電話に関するお願いが追加で貼られたのも、この頃です。
車端部の画像では見難いですが、忘れてはいけないのは側窓の開閉化です。2006年から始まり、この時期には概ね終わっていたと思います。

2015年10月に撮影した車端部


大きな変化があったのは座席モケットの変更で、これまでの色を踏襲しつつ、鮮やかな柄のものに変更しました。
また、吊革の手掛けの形状も異なります。ドア前には黄色いシートが貼られました。
この画像には写っていませんが、10号車に防犯カメラが設置されたのも2009年以降になります。
なお、白い吊革の手掛け等が他の画像とは異なりますが、この差は製造当初から生じているものです。

2022年3月に撮影した車端部


見た目の大きな変化は袖仕切りの上に風除けの板が設置されたことでしょうか。また、床面には車椅子スペースを示すようなシートが貼られ、化粧板にはベビーカーのサインが足された部分も。天井に目を転じるとLED照明が幅を利かせています。
LED表示機があった部分にはLCD表示機が。表示内容は短時間で変更があったとか。
優先席部分の吊革も水色から黄色のものに変更となり、窓の案内ステッカー共々JRとの統一が図られました。


中間車、貫通扉つきの車両で並べるとご覧の変遷になります。左上から2006年、2008年、2015年、右下が2022年です。
機材の差はさておき…
側窓の開閉化、座席モケット、袖仕切り、優先席付近の吊革、ドア周りの床、車椅子スペースの床、防犯カメラ、照明、鴨居部の表示機…など、細かい改良が絶えず続いていた事が伺えます。

2024年に幅広車体の新型車両が導入されるようですが、ここまで細かい改良を重ねてきたのが勿体ないと思う私としては、どうにか内側から金槌で叩いて70-000形の幅広化改造ができないものか、とついつい考えてしまいます。

そういえば…

東京臨海高速鉄道70-000形からJR東日本209系3100番台になった車両、2回撮影していました。


上の画像が2015年3月、左の画像は2021年9月です。
りんかい線70-000形ほどでは無いですが、優先席の案内や車椅子スペースの床などは変更が加わっています。
そして、りんかい線時代の思い出がどうしても捨てきれない70-000形登場時のモケットは廃車まで見ることができました。そう、海を思い起こさせる経歴に八高線が走る昭島市のシンボル、アキシマクジラの存在とどうも重なる部分があります(^^;;
…残念ながら中間車の譲渡車は最後まで撮れませんでしたが、偶然の出会いに感謝です。

ちなみに
水色の優先席吊革が忘れられないあなた、りんかい線のオフィシャルショップで廃品として販売されています。
5月1日時点で長い方は売り切れていますが、短い方の在庫はあるようです。ご自宅におひとつ、いかがですか?
 

 

ひとつ前に戻る