4)その他諸々

a)日本のスキー場の将来は?

今回訪れたモルジン、アヴォリアの賑わいについては前に触れたが、日本のスキーの現状と考え合わせるにつけ感慨深いものがある。
北欧、英国など国外のスキー客が支えていると書いたが、付け加えるとヨーロッバは緯度が高く、冬は日照時間が短い。スキーを単なる冬のレジャーと考える日本と違い、太陽を求めるもっと生理に根ざしたものが存在するのではないだろうか。更にあちらでは国外旅行が当たり前という認識の差がある。通貨統合によって実質的にもますますその傾向が強まっているのは確かだ。
振り返って日本のスキー場を考えると、今回の地震による影響がどの程度か未だ不明だが、ますます厳しい状態に追い込まれる可能性は残り、淘汰されるスキー場はまだ増えるかも知れない。かといって日本のスキー場の自然環境は海外に比べ劣るものではなく、充分対抗出来ると考える。韓国、中国、台湾などアジアンパワーの台頭に伴い増加を続ける富裕層を引き付けるものを持っている。今後格安航空会社の参入は進むと考えられるが、数千円の運賃が定着すればこれを後押しするのは間違いない。問題は政治的軋轢が直ぐ観光に影響する事である。 これは外国に対する市民レベルの認識がまだアジアでは未成熟である事に起因するのではなかろうか?もちろん体制に問題のあると言うべき国もあるが、我々日本人も外国に対し一歩構えた意識を持っている事を反省せねばならない。時間は掛かるが、関係正常化の方向へ向かうのは確かであろう。その時自然環境に優れ、利益追求のみに走ることなくスキーヤーを大切にした、残るべきスキー場が残っていることを期待する。

b)鉄道旅行あれこれ

●海外でも今に始まった事ではないが、切符自販機が普及するにつれ、短距離切符は窓口では買えないとか、小さな駅には自販機しかないという傾向が強まり、避けて通り難くなっている。機械の指示に従ってタッチパネルを操作すれば良いのだが、慣れないとまごまごする。落ち着いて操作すれば良いのだが、後ろに並んでいたりすると焦る。今回慣れようと空いている自販機を使い極力挑戦してみた。ドイツ語の他に英語を選択するキーは始めに現れる。
●長距離切符売場では日本の銀行窓口のように番号札を取って順番を待つ方式が、少し大きな駅では普通になった。様子を見届け対応しよう。
序でに小都市の観光の切符購入に言及する。私の場合例え目的地が決まっている場合でも、自信のない場合は市内交通機関すべてに通用する一日券を購入する事にしている。値段は1回券のせいぜい数倍、小都市では10ユーロ止まりだ。乗り間違えても戻れば良いし、気持ちのゆとりからバスに挑戦する気にもなり、有効な場合がある。地下鉄(Uバーン)、郊外電車(Sバーン)を含む複雑な交通網を持つ都市では更に利用機会が増す。これ等の切符は自販機の決まったボタン一つで買えることが多い。大都市では○○カードと言う名で市内交通のほか博物館、美術館など観光施設の割引特典付きで更に有利。街のインフォメーションで買える
●今回やむを得ずコインロッカーを使った。始めのは何回入れてもコインが戻り、故障だったらしい。2Euro/1日と安かったので、荷物を入れずに一度試してみた。結構故障があると思うと、トラブルが心配で、一寸勇気がいる。
●昨年ミュンヘン空港での自動チェックインの話をしたが、フランクフルト空港もそうなっていた。パスポートあるいは航空券を読み込ませると、登録済みならチェックイン券が発行され、初めてチェックインカウンター入口を通過できる。
●チューリッヒ駅では確か国内、国外への切符窓口が異なっていた記憶があるが、一つになっていた。

c)チャイナ・パワー恐るべし ほか

バーデンバーデンでも見掛けたが、以前に比べ中国人を見る機会が多くなったような気がする。日本人と同様殆ど団体旅行だが、大声で話すので直ぐそれと判る。 シュトゥットガルトでかなり大きな衣料品の店に入った。後で判ったのだがスウェーデンのカジュアル衣料メーカー"H&M"の店舗であった。並んでいる商品を手に取ってみて驚いた。殆ど100%メイド イン チャイナ であることに気がついた。日本でもそうだと思うが、衣料、日用品雑貨、土産物の類は殆ど中国製品で溢れているようだ。

シュトゥットガルトで夕食を食べに出掛けた。街角で"回転寿司"と書いた看板を見かけ入った。日本人は居ず、言葉から中国人に間違いなかった。内陸なので生ものが少なく、ネタが小さいのと、少々得体の知れぬ巻きものが混ざっているのは止むを得ないとすると、味、値段は日本のチェーン店より極端に高いという感じはなかった。ドイツ人が一杯入っていて結構繁盛しているようだった。面白かったのはガラス窓に書かれた「回転寿司」の文字が外から見て裏返しだった。漢字が読める訳でなく、バターンなのだからどちらでも良いようなものだが・・・。昔から華僑は世界中を股に掛け、勢力を伸ばしてきたのが判る。チャイナ・パワー恐るべし!!
成田、フランクフルト空港にも寿司店を見掛けた。寿司文化が海外に浸透しているのが判る。

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文字裏返し

同じくシュトゥットガルトで土産にと思い調理器具専門店に寄った。以前に買ったドイツ製包丁と棒状の包丁研ぎを今でも家で愛用しているのだが、見ていると傍らに"旬"とか"俳句"とかおよそ包丁と関係のない漢字をを刻んだものが目に付いた。日本製であることは間違いないので土産には向かないと思い、当然ヘンケルの方を選んだが、帰って調べたら日本製の包丁がドイツでも評判が良く、売れていることが判った。少し嬉しかった。
今年も小型ノートPCを持って行った。料金に幅があるが全てのホテルでIT接続が可能だった。日本との通信手段として電話より安いし、高機能で、現地での計画変更時の調査、確認、画像データのバックアップなど多方面で役立つ。毎年念のため Thomas Cook の鉄道時刻表を買い替えているが、内容は殆ど変わらず、ごく一部使うだけなのでもったいないと以前から感じていた。

今回は家の事情で例年より短めの旅行となった。準備にも充分手を掛けられずぶっつけ本番の慌ただしい旅だったが、その割りには満足出来たと評価し、ほっとしているところだった。

ところが帰国早々4日目に・・・。史上最大の東日本大地震。これから暫く日本全体が困難な日々を迎えるだろうが、きっと立ち直れる事を信じている。耐えているだけではますます尻つぼみになってしまう。先は長い。気分だけでも明るく、気張らず頑張るほかない。
果たして来年の今頃はどうなっているだろうか?

次回はきちんと計画して実施しようと思っているのだが、どうなることやら。


−以上−      

2011年03月26日  田中 あきひろ