5)その他諸々

a)ホテル暮らし

今回は円高、ユーロ安の恩恵を最大限に享受できた旅行で、今後あるかどうか分からない。過去に160円台/ユーロもあった事を考えると、現在のレート100円そこそこは夢のようだ。今回の旅は意図的に決めた訳でもないが、宿泊した2ヶ所のホテル共四つ星で、これまでの中でも上等な方だ。以下今までと重複する内容も含めてまとめた。

星の数は絶対的なものではないのは当然だが、部屋の広さ、設備の優劣のほかに食事にある。朝食は三つ星でも、四つ星でもバイキング方式が普通だが、当然種類、質の違いはある。夕食は四つ星の場合メイン料理の選択が可能で普通3コース制だ。

 (1) 肉料理
 (2) 魚料理
 (3) その他−ベジタリアン対応イメージ
 (別に野菜、チーズ、ハムなどは自分で自由に取る。−サラダ・バーという。)

コース選択は朝食時に、前夜の飲物代(追加料金)請求書のサインと同時にその晩のメニューに希望のコースをチェックするのが普通。だがメニューはドイツ語は元よりフランス語、イタリア語、しかも料理独特の語彙まであり、食材一つでも理解できれば御の字。私の対抗策は好き嫌いなしに何でも食べられることだ。金曜日はコース選択はなく、何時もより凝った特別料理が出るのが普通で、コックが出て来て屋台形式で希望の料理を振る舞うなど趣向を凝らすことが多い。

食事の話で思い出した。以前にも触れた気がするが、私の場合パン食を続けると便秘になりがちで、痔の気がありウォシュレットに慣れた身にはヨーロッパのあの硬い紙には閉口する。私の便秘対策は野菜を極力多く摂ることと、朝はパンを止めてシリアルにミルク、たっぷりのヨーグルトをかけて食べることにしている。シリアルも数種類あり、ドライフルーツ入りなど結構旨いのだが、体に優しい代わりに顎に厳しい。

昨年よりパソコンを持参するようにしたが、有料、無料の別はあれ、一ヶ所を除いて全てのホテルでITに接続できた。有料でも電話よりずっと安く、情報量が多く便利だ。
一ヶ所というのはハイリゲンブルートのホテルだが、部屋にLANコネクターも設けられているのに限られたサイト以外アクセス出来なかった。原因は不明。ホテル備え付けのパソコンを借りて使ってみると、当然ドイツ語配列のキーボードで(ウムラウトなど特殊文字のためにY,Z キーが逆、記号の位置も変わる。)日本語のサイトにもアクセス出来、日本語で普通に見られるのだが、日本語入力は出来ず一方通行だった。この間送信は携帯メールを使った。

続いて私のホテル予約方法。今や手段は殆どメールである。まず宿泊地、ホテルの選択だが、これはITを始めとして多様なので省略するとして、通常次の3段階で契約が成立する。

(1) 日程、食事条件(朝食付、朝夕2食付−Halb Pensionという)、料金などの問合せと回答
(2) 同意の連絡
以上で形式的には契約成立であるが、初回は殆ど場合手付け金の要求がある。銀行の外貨での送金は手数料が異常に高いので、私の場合は
(3) クレジットカード番号の連絡
をこれに代えているがこれまで不都合はなかった。勿論万一の場合でも被害が少ないよう専用口座のクレジットカードを使用し、事後の支払も監視する。旅行業者の場合でも初回はほぼ同様な手続が必要と聞いた事がある。

ついでにホテルでのチップについて再度触れる。特別なことを頼んだ時は別だが、毎日小銭を枕元にただ置くのも気が引ける。折紙に添える形でチップを渡している。街中のトイレのチップとして無いと困る50セント硬貨は別だが、小銭は使うのも結構大変で自然に溜まってしまう。今回「こんな財布があったらいいな。」の添書を付けた財布の折紙を置いたら、写真の様な御礼が残してあった。折紙の方法は何処でも受けが良い。夜は暇で折紙位作る時間は充分ある。

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チップ用折紙 御礼の作品

b)鉄道・市内交通

一般に飛行機の場合日本と同様空港は街外れにあり、そのアクセスに意外に時間の掛かる事が多く、かなり長距離で条件が整わないと使い難い。その点鉄道は網目状に細かく整備されていて。ヨーロッバ内の移動はまず鉄道である。改札のないことはご存じと思うが、昔は駅、車両に時間を打刻する機械(Entwerter)があった。切符を持っているだけでは駄目で、時刻を打刻して始めて有効になる。どこが問題だったのか知らないが、チェックは車内の検札だけで Entwerter はかなり前に姿を消した。その代わり切符販売は特殊なものを除いて自動券売機に委ねられ、窓口でも券売機で買うよう勧められるようになった。ドイツ語のほかに英語、フランス語etc. を選択、指示通りに進めれば良いのだが、積極的に利用し慣れるしかない。

話はそれるが東京のど真ん中を走る中央線新型車両にドアー開閉用手動ボタンが付いたのをご存じだろうか?実際にこの機能は青梅線内でしか使っていないので気付かない方もあると思うが、冷暖房効率を上げるため不要なドアーの開閉を少なくするためである。停車、発車時は勿論車掌の操作が優先されるがその間は完全手動である。見ていると停車と同時に開ボタンを押そうと焦っている降りる人、乗る人が開け放したドアーをその都度閉めようとする人を見掛ける。ヨーロッバでは以前から手動ボタンが常識だが、今回近距離用列車でこれに関して更に工夫された設定を見た。開ボタンを押しておくとランプが点いて記憶する。車掌の開操作と同時にドアーは開き、タイマーで自動的に閉まる。(停車中なら再度開ボタンを押せば開く。)
話は更にそれるが、あちらのエレベーターには扉の閉ボタンは付いていない。閉まるまでじっと待つのだ。日本人の“性急さ”に改めて気付かされた。

鉄道から打刻器(Entwerter)が無くなった話をしたが、市電の場合は未だ健在だ。グラーツの場合3両編成、6ドアーの電車を運転手一人だけで動かしており当然検札は無し。車内に券売機があり、購入後自身で時刻を打刻する。確か1時間券と1日券があり、それぞれ 1.5ユーロ、4.2ユーロだったと記憶している。不正乗車に対しては私服の監視員がいて100ユーロ近い罰金で対処しているそうだが、この方式でないと市電のみならず、海外では珍しくない2両連結の大型バス導入も困難だろう。多少の徴収漏れがあっても運営コストは低いと思う。日本人のモラルがそんなに低いとは考えたくない。

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グラーツ市電内

c)その他

円高の恩恵に浴したもう一つの話。旅行中の移動の便を考えて、昨年と同様現地での貸スキーを利用した。勿論費用は掛かるが(今回平均して20ユーロ/日)、新しいスキーを試乗する楽しみがある。今回スキー購入の計画は全く無かったのだがフラッハウのスボーツ店で、目を付けていたスキーが偶然目に入った。スキーヤーでない方は読み飛ばして戴きたいのだが、FISCHERのPROGRESSOR 800シリーズで399ユーロの値札だった。2月になるとスキー用品もバーゲンセールがが始まり、シーズン始めの−50%程になる。円高も考え急に欲しくなり購入を決断した。ストック、スキーケースを含め424ユーロだった。実際には出国時付加価値税(日本の消費税)17%が戻るので、当時の円換算で 約¥39,000だった。既に歳も歳、今後を考え、あえてPROGRESSOR 900シリーズを避け、柔らか目の800シリーズにし、しかも今までより10cm短い155cmにした。現地と帰国後未だ3,4日しか使っていないが、スキー操作が俄然楽になった気がする。

数ヶ月前に携帯をスマートフォンに替えたのだが。今回始めて海外で使った。出掛ける前にドコモショップに寄ってパンフレットを貰い、日本で、現地での設定をした。時計など自動的に変更されて、日本での使用との違和感は感じなかった。役だったソフトはマップ。街歩きの時地図と方向が分かり迷わずに歩けた。ただし「現在の位置を表示できません」?の表示で時々ストを起した。GPS 機能を使うと電池の消耗が激しいようだ。

【補足】スマートフォンの通信費低減対策

帰国後まもなくdocomoから携帯の請求書が来た。パソコンを主に使っていた割には高額で予想外だった。基本的に、例えば外国の同一国内の通信でも実質日本経由で、現地の料金制度とは大分差が大きい。出国前に知っていて処置したものもあるが、使って気付いたものも含め、低減対策をまとめる。(docomoの例だが他社も大差ない?)

 1.海外パケホーダイの契約。(1日の上限が設定されているので取りあえず安心)
 2.プログラム自動アップデートの設定を一時解除。
 3.長距離移動中はなるべく電源OFF。 注)1
 4.日頃から携帯の配信登録を抑制し、出国前に取り消すか、一時迷惑メールに設定。注)2
 5.地図ソフト使用の際出来ればGPSを使う。(ただし電池の消耗大)
 6.IT検索は極力パソコンを使用。携帯なら Wi-Fi でホテルのLANとの接続を使う方が有料でも得。
 7.IT使用、データー量の多いメールの送信はなるべく一日(日本時間の)にまとめる。−1.項参照

注)1 携帯は一番電波の強い基地局を常に記憶しており、基地局切替え時は必ず自動交信する。これも通信料に含まれる。長距離の移動は切替も多いので料金に影響する。
注)2 海外ではメール受信に料金がかかる。受信の知らせはあるが、相手の表示はないので、重要メールかと思い取り込むと不要な広告で、これ等に限ってデータ量が多い。

スマートフォンを操作する時はいちいち手袋をはずさなければならないのが面倒で、ふと考えたのが写真の手袋。幸い薄手の安物だったので人差し指の第一関節の場所をハサミで切って周囲をかがって使った。手袋を手放せない寒さだったので大いに役だった。(携帯用裁縫道具は毎回持参している)スキー中に写真を撮る時手袋を外してシャッターを押すのは面倒なので、同様なスキー手袋があれば便利と思う。次回までに考えようか?

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スマートフォン用穴空手袋

【あとがき】

今年は特に問題なく、予定通り旅行を終えることが出来た。旅慣れの点でも以前よりは多少グレードアップしていると思うし、右から左へとは云え日頃触れているドイツ語圏のみの旅行で気は楽だった。

考えて見るといつの間にやら74に手の届く歳になっている。スキーそのものは所詮個人プレイだから、誰に迷惑を掛けることもなく、大病でもしない限り当分続ける自信はある。しかしマイ・ホームページの維持、方向修正についてはそろそろ考えねばならないと思い始めた。直近の問題は次回どんなテーマで何処を選ぶかである。日本では無名でも規模の大きい、すばらしいスキー場は未だ限りなくあるが、果たしてその紹介がどんな意味を持っているか悩んでいる。

−以上−      

2012年03月25日  田中 あきひろ