4)街歩き

a)クラーゲンフルト、フィラッハ/ケルンテン州

●クラーゲンフルト
直行便とは言えウィーン乗継ぎ、クラーゲンフルトに着いた時は既に暗くなっていた。もっと賑やかな空港と想像していたが、一般乗客が去り、次いで日本人団体がチャーターバスで姿を消すと空港はガランとして、インフォーメイションも既に閉まっていた。バスは1時間待ち、辛うじてタクシーが他の客を乗せ出発するところだった。戻る約束をしてしばし待った。時間も遅いので戻って来たタクシー運転手にホテル探しも頼んだ。携帯でホテルと連絡、案内してもらった。冬期街のホテルは空いているので、予約をする事は今までも滅多になかったが、こんなに遅くなるとは思っていなかった。これまで往きはスキー場に最小日数で入るようにしていたが、今回は旅行経路の関係で観光の一部を先にし、ここに2泊した。

クラーゲンフルトはケルンテン州の州都、この地方の商工業の中心都市である。泊まったホテルは中央駅のそば、駅を背にして真っ直ぐ北に1Km程、マリアテレジア像、竜の噴水のある大きな広場(Neuer Platz)が街の中心である。廻りには市庁舎を始めとして、インフォメーション、数多くの店が囲む。近くには比較的新しいと思われる“City-Akaden”と称する、日本でも最近増えている“モール”と呼ぶ大きな商業施設があった。2日共夕食はここでとった。その他、州立博物館、大聖堂など訪れた。
以下の写真から日中でも雪は溶けず、気温は零下で、寒かったことが分かる。

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クラーゲンフルト中央駅 ノイアー広場

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シティーアルカデン アルカデン内部 州立博物館

●フィラッハ
2泊後ハイリゲンブルートを目指しリエンツに向かった。日程に余裕があったので、途中乗換時、乗継ぎ列車を調整して、フィラッハで降りた。駅前の通りを下ればすぐドラウ川、橋を渡ればハウプト広場、だらだら坂を登ると右に聖ニコライ教会、左に市役所がある。少し足を延ばして西駅の前から引き返した。聖ニコライ教会は中に入れたがなかなか立派だった。
なお市役所前の広場は仮設のスケート場となっていて、父親が子供を連れ滑っていた。

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フィラッハ駅 ドラウ川

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ニコライ教会 同内部 市役所と前庭スケートリンク

b)リエンツ/東チロル

ハイリゲンブルート滞在中休養も兼ねて、一日麓のリエンツを往復し街を見物した。リエンツは前に触れたが、東チロルの中心都市。駅正面のケルントナー通りに入り、すぐ左に曲がれば中央広場(Haupt Platz)でホテルや高級ショップが廻りを囲んでいる。ケルントナー通りを道なりに進めば川に出、橋を渡る。

先程の橋のたもとで一寸したエピソードに遭遇した。写真を撮っていたら、女性から「日本のかたですか?」と日本語で声を掛けられた。ビックリして振り向くとどう見ても外国人、暫く話して事情が分かってきた。ご主人は日本人で東京の板橋に住んでいたそうだ。名前を聞いた覚えがあるが、思わぬ展開に昂ぶっていたのか忘れてしまった。佐藤だか、山本だかそれ程珍しい名ではなかったと思う。スキーに来ていることを話したり、街の観光名所を聞いたりした。「美味しいお寿司屋さんがあるが一緒にどうか。」と誘われた。既に昼食を済ませた後なので辞退したが、飲み物位付合い、もう少し話をすれば良かった。
あとで考えるとこの間、私は一生懸命ドイツ語で話していた事を思い出した。彼女の日本語の方が私のドイツ語より明らかに上なのに無理する必要はなかったのだ。

注)後日譚

この件に関してアップロード直後、友人から次の指摘を受けた。「食事等に誘い、睡眠薬で眠らせるなどして金品を奪う例があり、この類ではないか?特に日本語で話し掛けてきたのが怪しい。ドイツ語で受け答えしたので諦めたのでは?」というのだ。確かに外務省の"海外安全情報"というホームページに「日本語で話し掛けられたら要注意」という記事があった。
東洋人と見ると英語で話し掛けるのが普通だが、ドイツ語で答えると相手の口元が綻ぶのを私も何回か経験している。丁度その反対で外国人から日本語で声を掛けられる機会はそうあるものではなく、嬉しくて思わず信用してしまいたい気持ちも今回体験した。真偽の程は定かでないが、彼女の日本語には外人特有のイントネーション、アクセントの不自然さがなく、日本での日常生活から覚えたものと感じたのだ。言われてみれば、簡単に信頼しきってしまうのは危険だと思うが、そうは言ってもそのような接触がうまくゆけば、旅行の最大の楽しみでもあるし、皆様ならどうしますか?
もっともその日は日帰りで遊びに来ただけなので、現金、その他多くは持っていず、被害は少なかっただろうと思うが・・・。ご参考まで。

もう少し街を歩きたく、リエンツの名所について彼女に尋ねたら「ブルック城(現在は東チロル郷土博物館)だが冬は休館中。」とのこと。他に余り見るべきものがなさそうなので、早々に引き上げた。

なおリエンツ−ハイリゲンブルート間のバスは所要時間:約1時間、料金:8ユーロ、直通もあるが、途中峠を一つ越えたヴィンクラーン(Winklern)で乗り換える事が多い。このアクセスについては不安で前以てホテルにメールで問合せ、時刻表を送ってもらっていたのだが、始め来た時は丁度日曜で大幅に便数が減るのを見落としていて、リエンツで2時間半程待たされた。

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リエンツ駅 中央広場 橋よりブルック城方向

c)グラーツ/シュタイアーマルク州

フラッハウでのスキーを終えラートシュタットからグラーツへ向かった。本数は少ないが、都合良くグラーツ直行の特急を利用できた。距離:188Km、所要時間:約3時間弱。ホテルはインフォメーションは通さず、直接駅前のホテルチェーン飛び込み。(76ユーロ/1泊)この時期都市では予約なしでもまず苦労することはない。グラーツはシュタイアマルク州の州都、商工業の中心で、ウィーンに次ぐ2番目の人口を有する予想外に大きな街である。なおグラーツ中央駅前広場は工事中だった。様子から市電停留所の地下化と商業施設の拡張と思われる。

【市街地図】

街の中心、旧市街中央広場D は中央駅南端から真っ直ぐ延びるアンネン通りを1.8Km、ムーア川を渡って直ぐの所にある。歩けないこともないが、市電を利用するなら1,3,6,7番、いずれもこの広場を通る。この中央広場の正面には堂々たる市庁舎があり、近くには州庁舎@、武器庫B など、17〜18世紀の建造物が建ち並ぶ歴史地区である。

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工事中のグラーツ中央駅 中央広場と市庁舎 D

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州庁舎中庭 @ 武器庫入口 B

グラーツの起源は古くローマ時代の砦からだそうだ。確かに200m以上はあると思われる急峻な崖を有する城山(Schlossberg)は砦そのものだ。城山に登るには勿論歩いても行けるが、当時ケーブルカーは運休でエレベーターで上った。城山はムーア川、グラーツの街全体が一望に出来る観光スポット。反対に時計塔A は街の色々な所から見える城山のシンボルである。冬とは言え週末で天気も良く、観光客はかなり多ったが、中国人の団体も目立った。

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城山エレベーター入口 時計塔 A ムーア川と街、城山より

橋の袂にはクンスト(芸術)ハウスE がある。2003年完成の近代的な、曲線を多用した芋虫のような建物である。当初住民はさぞ奇異に思ったと思うが、現場に立って見ると、深い水色で、くすんだ色のせいかそれ程の違和感はなく、結構廻りに溶け込んでいるように感じた。ヤコミニ広場F は市電の集まる大きな広場でスーパーなどの商業施設が集まっている。中央広場DからSporgasseを登り、右に折れHofgasseを上り詰めるとドーム教会とフリードリッヒV世の霊廟C が見える。ブルク門をくぐり更に進むと左に公園(Burggarten)、日曜の朝で、犬を散歩させる老人に会ったのみ、穏やかな雰囲気を堪能した。そういえばグラーツに着いた頃から気候も緩み、降った雪も日中は溶けるようになって春の兆しを感じた。

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クンストハウス E 同 内部

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ヤコミニ広場 F ドーム教会と霊廟 C