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2006年1月へ

日時:11月24日(木) 18:55〜21:00

場所:本多公民館

参加者:小川、酒巻、鈴木綾子、鷹取、堀、町田、吉村(文責)


1.VTR「エクアドル・アマゾンの旅」…堀さん

 エクアドル(ECUADOR)は赤道という意味だそうです。その赤道が通っている首都キトの街と、移動先のマカウィのロッジ周辺の自然が紹介されました。キトの街では、夜外のベンチで寝るホテルのガードマン、インカ時代の緻密な石組みが見られる大統領府(?)、踊るようなマリア像、昔からの信仰の太陽像、山の斜面を利用したクスコーに似た町作り、赤道記念館などが見られました。

 特に印象に残ったのは「赤道記念館」のモニュメントです。大きな地球儀が横倒しになり、高い塔の上に載っていました。やはり自分の住んでいる緯度を上にして地球を思い描くのが、その緯度に住む人達の一般的なイメージの一つなのではないかと感じました。

 マカウィへは、小型飛行機でシェルという町で途中給油(シェル)をしての移動です。途中、エクアドルの富士山とも言うべき形の山(コトパキシ5896m…エクアドル第2位)が見えました。着くと土だけの滑走路、途中カラフルで腹部にトゲのあるクモ(小川さんによるとカメムシに擬態しているという)を見て船でアマゾンの支流(にごっている)を遡ります。ボール状の蜂の巣、カラスのようにどこにでもいるという黒コンドル(口笛を吹くような鳴き声)、着いたロッジの周りは雨期には池になるという(旅行時は乾期)、アリの通り道、大きい魚と小魚、赤トンボ(?)、ヤンマ(?)、前庭にウラニワという名の蝶などを見せていただきました。


2.「中学校における細胞の学習」…鷹取さん

 はじめに“細胞分裂”を例に教科書検定の問題点の報告、途中で植物学習における細胞の必要性、後半で“成長”や“有性生殖と染色体”の授業を通して「細胞学習」の問題を考えていくことが提起されました。

 はじめに、今回の検定の特徴として、次の2つがあげられていました。

1)現行と同じ部分については現行となるべく同じにさせようとしている。

→現行部分を「発展」が使えるように部分修正すると、直させられている。

2)高等学校に移行された部分が各社まちまちに色々な所で扱われているが、「高校で扱う内容である」と止めさせられている。

→不充分な記述を強いられている。教科書はきちんとしたことが書かれる  べきで、教師が正確な説明ができるのは希である。

 また、途中、現教科書では植物学習の中で「細胞」がきちんと扱われていない現実が報告される一方、「(位相差顕微鏡等も使った)顕微鏡観察を正当に位置づける必要性」と、植物の光合成・栄養分の蓄積・気孔の開閉等が、細胞のはたらきで、つまり「細胞によって植物の生理現象が行われている」ことを強調したいと提案されていました。

 さらに授業記録から、“生物の成長についての生徒の認識”は、「食べて運動をすると体ができてくる(成長する)」という小学校レベルのものが、細胞の学習をすることで成長が「細胞の増殖」として自然にとらえられるようになることが報告されました。

 しかし、染色体の授業では「…通り一遍の授業で分からせたつもりだったが、これでは先に進むのは難しく、定式化された教え方が必要」と、細胞学習定式化の必要性が提起されました。

 この報告について、次の意見が出ていました。

・「ヒトの染色体は46本ありますと言っておいて、その子どもは何本というと、子どももヒトだから46本で終わってしまうのでは?」

 →課題を元に「生殖細胞ができるとき、染色体は減数分裂をして半分になっている」と言わせたいと当時は思った。そのように思う人もいるが、“受精する”ということだからどうなるのだろう?と、そこで考えてくれればいいなぁと思って課題を作った。

・生物サークルでは、減数分裂をどこで教えるかは、まとまらなかった。現在では天下り的に減数分裂ありきと教え、その方がすっきりしている。「どの段階で(染色体が)半分になるのか」という問いかけはしているかも知れない。すると、生殖細胞で半分になるのが合理的と分かればよい。そのために相同染色体があり、先に相同染色体を教えなければ意味がない。さらに元に戻って染色体が何をしているかを先に教えるようになってきた。現在では?染色体の役割(DNAのこと)、?相同染色体について、?減数分裂、の順で教えるようになってきている。

→染色体のはたらきやどこで教えるかを確定したい。一つは遺伝の授業で

減数分裂を(通して染色体を)扱うのが良いのではという議論もしたし、星の環の本でもそうした。この辺の実践報告がほしい。

・「ソラマメのどこが伸びているか?」という課題は、はじめに出てくるなら生徒は当てずっぽになり、考えが散漫になり集中してこないのでは? 私は「髪の毛とソラマメの根」を比べて考えさせている。

・根では図にあるような分裂・成長の仕方をするが、葉ではちがう。葉のもと(原基?)が芽の所でできるともう分裂せず、そのまま大きくなる。細胞がそのまま大きくなる成長もある。

 →成長・分裂・成長・分裂…のくり返しだけにパターン化するのはおかしい。

・根の縦断面全体の顕微鏡写真が分かりやすい。ずーっと並んでいて、先端部だけが小さい細胞があって、しかも染色体が出ている。

・一人一人のプラン、実践記録を出してもらいまとめたい。細胞をきちんと教えようといっているのだから。

・孔辺細胞をきちんと説明しスケッチさせたい。どれが核・葉緑体・この部分が孔辺細胞で…、こんなメカニズムで開閉していると説明し、一つひとつの場所を細かく認識させたい。観察させたい。(メカニズム…孔辺細胞は内側の細胞壁が厚く、細胞が膨張すると細胞全体が湾曲して気孔が開く)

・染色体は教科書に写真で載っているが、実際に顕微鏡で観察すると感激する。ぜひのぞかせたい。そういう実践報告を広めたい。

 →根がなかなか伸びない。授業に間に合わない。発芽・発根しないよう放射線で処理されているものもある…という現実もある。

・受精の時の卵核・精核を拡大して見せ、染色体が半分になっていることを確かめさせたい。減数分裂そのものを扱わないなら…。

・染色体が複製されていることを(授業で)やらないと、どんどん細胞分裂していくと染色体が無くなってしまう。…その材料はどうなっているのかも生徒は不思議に思うはず。

・減数分裂は、相同染色体が分からないとムリ。意味不明。何で相同染色体なのかが(ネックになっている?)。なんで男の方が弱いのか。性染色体の所だけが相同染色体ではない。だから色弱は男…(?)。

・200人に1人くらいは色覚異常がある(?)。  めずらしいことに女性にもいる。

・血友病は男の子だけに見られる病気というが、女の子にもいる。

・ケヤキの芽吹きは小さい形のものがそのまま伸びて大きくなってくる。

・芽の中ではまだ細胞分裂が続いているが、葉が出てきたときには細胞分裂は終わっている。

・シュートも大部分出来上がってから(細胞分裂が終わってから)伸びてくるのではないか。

・ぜひこのあたりのことを出し合い、細胞の学習をやっていきましょう。ぜひ続きをみなさん出して下さい。


3.「運動力学(中3)」その2…小川さん

 先月に引き続いての報告で、「ていかっしゃに同じ錘を糸でつるしたときの力のつり合い」と「アトウッドの装置」を使った課題についてでした。

 小川さんからは、レポートについて次の3つの説明がありました。(レポート中にあることは省略)

1)つり合いは基本的なことなのでここでつまずきがあると後にひびく。

2)課題4(高性能滑車を通してのつり合い)は要らないようにも見えるが、誤 りが多く強固に思いこんでいるので、絶対に必要な課題である。

3)(生徒の学習前提として…)小学校でてこをやる(小5)が、中学ではモー メントを扱わないから小学校止まり。仕事の所にあった輪軸も今はない。 ここでは小5の物理的知識をもとに考えている。

----報告について、次のような意見・質問・議論等が出てきました----------

・重心の授業は中学校にはなく、必要だと思われていない。しかし、「つり合うときには、同じ高さになってつり合う」という小学校時代から続く強固なとらわれがあり、これが払拭できないでいる。

・上皿天秤をどう使わせているかが問題になると思う。ここで同じ高さになったときがつり合っていると身に付けてしまっている。

・時間がないから電子天秤だけを使わせがちになる。上皿天秤を使わせ、左右均等に揺れなきゃだめなんだと…、最近の子は一生懸命に止めようとする。今は、上皿天秤を使わせることが必要だなぁと思う。

・同じ高さでないとつり合わないというのは理屈でどう教えるのか。

→同じ高さでなくてもつり合う。力を書けば分かること。とにかく力を書くこと。重心の理論は別だと思う。タオル(がズレ落ちること)だったら重心の授業になるが、糸には重さがないとして進めている…。

・錘Cの載った錘Aが下がってくるとき、錘Bとぶつからないのか。ぶつかってしまうのでAとBがすれ違ったところからの実験しか組めてないが…。

→ぶつからないような細工をしてある。(錘AとBは)上皿天秤の100gの分銅を使っている。Cの錘(20g)はハンダを曲げて馬蹄形(あるいはCの形)に作り、載せるときに重心がずれずに重なるようにしてある。重心がずれるとゆれてぶつかる。100gの分銅に対して20gくらい必要で、けっこう速くなる。このくらいの加速度にならないと下までいかない。多少ちょっと(精密滑車の左右のネジを)しめるわけ。あとでものすごく小さな加速も見せるが、その時は10gのハンダに替えてやる。すると静かに加速し、それを見ると「お〜っ!!」となる。糸は絹糸。滑車は中村の精密定滑車。

・ここまで誤解は多くないが、高校でも課題4は必要。今までの議論であったように、「つり合うというのは同じ高さ」という(理解)のが大きくて、でもその中でも「だって同じ力だぜ」と言ってのける者もいる。そのへんはどうしてなのかと思う。

・やはり天秤の構造は、どこかで学習してもいいかも知れない。

・高校生では、小学校時代に“てこ”をやってこなかったという者がいる。

・糸を力が伝わることはどういうことかが分からないから生徒は分かりづらいのではないか。

→力が伝わるということはむずかしい。力が伝わると言い出すとおかしくなる。力が伝わるとは言いたくない。結局は作用と反作用。ひも全体を一体と考える。ひもと錘B、ひもと錘Aの間で作用・反作用の力を図示してやると理解できる。作用反作用を教えた後であれば。 …作用・反作用も科教協の中でけっこう討論がある。弾性とか引っ張り出さないで、張力とか言わないで、はじめから作用・反作用ワンセットだけ教え込んだ方が分かりやすいとか…。…これを見ているとアソウさん(?)に加勢したくなる(?)。

・アソウさんは実践記録がない…。…だからいまいちまだ納得できない。

・折衷案でもないが、物理サークル的な力の書き方(Fa←ひも …ひもがaに加える力など)、これさえ教えれば完璧だと思う。あとはひっくり返せばいいだけだから。(片方の力があれば、もう片方が)絶対あるのだから。無いはずがないと思えばある。のだから…明日のテストでもこの力の反作用の力を書けとかを出す。要するに錘が受けている力を書いて、「それと作用・反作用の関係にある力を書きなさい」という問題です。

・作用線上だと力は動かせるが、滑車の場合は作用線を延長して力の矢を動かしにくい。どう教えればよいのか。

 →「定滑車は力の向きを変えるだけのはたらきが有る」と教えてしまう。

・(高校で)仕事の所で、動滑車を1個入れて錘を30cm上げるには、ひもを何cm引けばよいかという授業をやったら丸々1時間かかった。これを定滑車のときの仕事と比べこれらがイコールになるという授業。…滑車をやってないということがよく分かった。

・・・以下略

(物理はなかなか奥が深いとか、勉強不足だとか感じるこの頃です…。吉村)