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2008年1月へ

時:2007年11月30日(金)18時30分から21時まで

所:国分寺市立本多公民館実習室2

出席者:阿久津嘉孝、小川郁、酒巻美和子、鈴木まき子、鷹取健、堀雅敏、町田智朗、柳下貴美子、吉村成公。

司会・記録:鷹取健

<例会で紹介、配布された資料>

  1. 1)首都大学東京・東京都大島町共催、野外講座「伊豆大島 自然と歴史と文学と」

  2.  (2008年2月~3月実施ちらし)<小川 郁>

  3. 2)首都大学東京・東京都小笠原村共催、野外講座「小笠原と世界遺産」

  4.  (2008年3月実施ちらし)<小川 郁>

  5. 3)宇宙航空研究開発機構・NHK「月周回衛星『かぐや(SELENE)』のハイビジョンカメラ(HDTV)による『地球の出』撮影の成功について」<堀 雅敏>

  6. 4)早稲田実業学校初等部3年3組学級通信『ごきげんよう』No.44~No.63

  7. 「そのとき カマキリは 何を していたかって? ぼくは、わたしは、こう見たんだよ」

  8.                            =授業記録<鈴木 まき子>

  9. 5)鷹取健「昆虫の行動を記録する」<鷹取 健>

  10. 6)日高敏隆監修、栗林慧(ビデオ・写真)撮影『草間のハンター オオカマキリ』

  11.  (自然なぜなに? DVD 図鑑6)アスク、2006年、1900円+税<鷹取 健>

  12. 7)近藤典生編著『バオバブ』(大学図書)信山社、3605円<堀 雅敏>


報告1 堀 雅敏:マダガスカルの自然(約24分) 

  1.  外国製のマダガスカル島の地図を広げて、2007年8月旅行で今回上映する映像の撮影場所が説明された。夕焼け空のバオバブ風景が印象的であったのが前回最終の映像であり、今回はマダガスカル南東部の海岸風景から始まった。南東部のインド洋というよりも南端部といった方がよいのかも知れなく、堀さんたちはキツネザルで人気のあるベレンティー保護区の自然と社会の観察目指して首都アンタナナリボから向かった訳である。台地が削られてできたようなガリオマン海岸があり、そこの砂は日に当たって白っぽいが、浅瀬は赤っぽい。アカマツ様の海岸植物が見えた。以下部分的ながら報告しておく。

  2.  現地の子どもたちは裸足で凧揚げその他の遊びをしている様子も映し出されて、平穏な社会かなと思った。後に映写されたのであるが、男性は天秤棒を担いで荷物を運ぶ。ところが、女性は頭に載せて運ぶという。

  3.  マダガスカルは1960年にフランスから独立したというが、わたしは社会の様子を何も知らないし、生物についても同様である。わたしは原猿類単独の関心から、社会についても少しずつ、実際に現地を訪れた人から直接に話を聞くことができて、いつも楽しみにしている次第である。

  4.  互生とか輪生、あるいは輪生でも対生など葉の付き方が日本の理科で出てくるが、こちらでは三方向に葉が生えてくるサンカクヤシがあった。オウギバショウが映し出された。これは木の葉の木部に溜まった水を飲むとか言われて、旅人の木という俗称があるという。アメリカ大陸のバニラ(ラン科)も有名だがマダガスカル特産だというバニラの花、「ゾウの耳」が出てきた。ゾウの耳は飢饉時にはその芋を水にさらしてから調理するのだという。確かアンドゥハエラ植物園では「ゾウの足」という名の多肉植物もあるという。それが映し出された。蜜が溜まる極度に長い管をもっているランが紹介された。30センチメートルという長さであるというので、スズメガの一種が長い吻を使って取り込むのだという。これは国立科学博物館で、標本展示されていると小川郁さんが言った。 

  5.  大型のカメレオンが出てきた。堀さんのビデオでもNHK のビデオでも、その多様な暮らしぶりが紹介されてきたから、ここら辺で時間がきたので後は次回のお楽しみ、となった。


報告2 鈴木まき子:動物の学習 昆虫の飼育と観察から<小3>(約66分)

  1. 1. ビデオ「カマキリの捕食」の視聴

  2.  実践報告のはじめは鈴木さんが教室の飼育ケースを10月9日と10日にビデオカメラで撮り、同時にTVモニタに映し出された映像を子どもたちに視聴させた原テープをみんなで視聴した。後ほどカマキリが噛み砕く音が聞こえたか否かについては、聞こえていないと分かったが、短焦点のレンズで捉えた映像は「待ち伏せし、鎌(前足)を構えている、鎌を振り下ろすが捕らえられない」ところ、「食べ・飲み込み、食後の口の周りや足を掃除する」という様子が克明に記録されていた。

  3.  ギャルソナという名のカマキリは、教室に持ち込まれた5匹中の1匹であり、ショウリョウバッタが入れられた。これが「えさ」にされた。タイムコードを見るとほぼ28分が食べはじめから食後の掃除までの描写であった。

  4. 2. 子どもはどのように学習したのか

  5. 1)子どもに出会わせたい事実

  6.  カマキリは草木の間に住み、周囲の色と同じ色をしている。

  7.  カマキリは、生きている虫を捕まえて食べる。

  8.  鈴木さんは捕食行動を観察させる中で、カマキリの体の構造とそのはたらきのようすを教えたいと考えた。

  9. 2)観察と描画

  10.  36人の子どもは、飼育ケースを直接見、TVモニタの拡大された捕食の様子を30分近く観察し、描画した。

  11. 3)モノクロ絵本を作り、学級通信に絵と文が掲載された

  12.   11月11日に印刷されたB4判7ページの絵本は「そのとき カマキリは 何をしていたかって? ぼくは、わたしは、こう見たんだよ」という題名である。学級通信「ごきげんよう」No.44(2007年10月22日発行)の大きな見出しは「カマキリは、魅力的だねえ、30分も、あの姿にくぎづけになった」 である。

  13.   鈴木さんは、この号で「ねらいをさだめて、いきおいよくつかまえた おおきなあごで バッタの皮をくいやぶった」と太文字で示した。

  14. 4)観察・認識した内容はこれでよいか

  15.  学級通信No.45(10月23日)では、カマキリは「待ち伏せするタイプなのかな」「えものをジーと見て、カマをかまえて」「口にひげみたいのがはえていた」などの見出しを設けて、食べる様子と形態的な子どもたちの記述を紹介した。このとき絵本を一緒に配った。No.46(10月25日)からNo.50(10月30日)ではかれらの記述を読み返して、その認識の程度をアンダーラインを施すなどして子ども・その父母、また教師ができるようにしていった。すなわち「1)子どもに出会わせたい事実」はこれでよかったろうか、という。

  16. 3. 討議の様子から

  17. 1)まとめの学習指導

  18.  小学校低学年サークルでの報告を経て、11月に入ってから追加の授業で昆虫の一般性の学習活動を指導している。カマキリの足がどこに付いているか(No.56、11月30日)、頭・むね・はらと3つに分かれていた、足の太さなど(No.57、11月30日~No.59、11月30日)から、さらに昆虫一般の特徴として認識していく様子が未配布の号に掲載されていく。鈴木さんは、このところで『バッタのオリンピック』(たくさんのふしぎ、福音館書店)、教科書記述、『カマキリ』(かがくのとも、福音館書店)の図版を教材として使っていく。

  19. 2)3区分の科学的な意味や昆虫の特徴

  20.  「胸は固く、筋肉が充満していて・・・」というところまでは扱わないというのは、それでよいのではないか。種によって多様な体の3区分であるところから、クワガタやカブトムシが出てくると「例外か」と考えてみたり、彼らは判断に困る。「蛇腹」のところという観察点があるのだということで、この着眼を指導すればよい、となった。

  21.  カマキリだけが首がよく回るという構造の捉え方は、省いた指導のトンボにも見られるのであるから、肉食性の特性と見たらどうかという意見があった。

  22.  カマキリの鎌による捕食行動は、短時間だから視覚で捉えるのは困難で、ハイスピードカメラ撮影の映像を探したい。とりあえず鎌を振り下ろして捕ららえるカットはスロー再生したりして(学習用に編集作業も必要)、繰り返し視聴させてみると食べるカット同様に子どもたちは注目してくれるだろう。

  23.  それにしても、鈴木さんのビデオ撮影とTVモニタ表示は適切な指導となっ た。

  24.  カマキリが草の緑と同じ色、というような決まりはなかろうということで、体色と環境との相互作用の学習は難しいようである。

  25. 3)カマキリの教材用ビデオ

  26.   栗林慧さんのビデオは、雪が降りそそぐカマキリの卵のうのカットがはじめに出てくる次のような構成である。鮮明とは言いにくい箇所があるが、得難い映像であり、区分けしてあるから利用しやすい。

  27. 1 幼虫の誕生/2脱皮・羽化/3カマキリの特徴/4狩り/5カマキリの仲間/6交尾・産卵(ビデオの長さは約23分30秒)

  28. 1 は待ち構えるヌマガエルに誕生直後にどんどん食べられるシーンがある。ヒメアリやクモにも食べられる。 

  29. 2 でカマキリは親と同じ形で生まれ、変態しないと説明。脱皮の様子、羽の成長の仕方。(ここまでで約10分)

  30. 4 で西洋では「お祈り虫」といわれる、またクマゼミを捕らえて食べる。草の色に似ている。夜のハンターでもある、と説明。ヒョウモンチョウを食べる。

  31. 5チョウセンカマキリ、コカマキリ、ハラビロカマキリ、ヒメカマキリ。


報告3 吉村成公:三宅島の自然と社会の現在(約15分)

  1.  2007年8月に三宅島を訪れて、2泊3日の観察を経験したことを中心に報告しながら、このたびの噴火活動以前の三宅島のもとで制作されたビデオを出席者に紹介したので、これを視聴した。

  2.  火山活動によって溶岩の原になったところに植物が見られるようになり、ブナ科の極相林ができるまでを描写して、海洋島特有の動物(鳥類など)を次々と紹介していくという三宅村企画の一種のPR的な映像とも言える。ビデオとしては過剰な期待かもしれなが、噴火の場所とその噴火年代、あるいは地形的な解説はもう少し欲しい気がする。

  3.  伊豆大島の場合はイタドリ、ハチジョウススキがパイオニアとして知られているが、三宅島ではオオバヤシャブシが目立つなど話される中で、三宅島では2年前には有毒ガスの噴出量がかなりあったものが、現在はかなり穏やかな環境といえる。しかしながら、かつて3箇所にあった小学校・中学校が一つにまとまるなど(小規模のままで)、人々が戻りきれない状況であることが分かった。