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日 時:2014年4月18日(金)18:30~21:30

場 所:国分寺市本多公民館

参加者:阿久津・石川・小川・鈴木・鷹取・津田・手塚・天田

                ・友常・高橋・堀・吉村・町田(記録)


今月も新しいメンバーが加わりました。手塚さんと町田の同僚である友常さんです。先月まで学生だった天田さんも現場で教壇に立ち始めました。まだまだ右往左往のようですが、今後のプランや実践記録が楽しみです。


1.【記事紹介】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・堀 さん

明治三陸津波のネガ

明治三陸津波の翌日に撮られた写真のネガ(キャビネ版のガラス乾板)が見つかったという産経新聞web版の紹介がありました。他のサイトにも同様の記事があったようですが、ここの写真のデーターが一番大きく、写真の数も多かったそうです。

鷹取さんによると、おそらく180mmF8程度のレンズであろうとのことで、近くから遠くまでピントがあっているということは、F11~16程度まで絞って撮影されていると推測されていました。結果、シャッタースピードを速くすることができないため、動いている人がブレて写っていました。


「平成の大合併の問題点 防災力の空洞化」

これもwebからの記事でした。堀さんは「もう少し詳しく書いてほしかった」と、やや不満げでしたが、自治体の合併によって細やかな対策が取れなくなっている現状に切り込んだことは重要だとおっしゃっていました。

鷹取さんからは、自治会や民生委員の活動や問題点についての報告がありました。


2.力学的エネルギー保存の法則の定量的な実験紹介 ・・・・・・・・手塚さん・町田

本来なら津田さんのレポートの一部分としての扱っていただくつもりだったのですが、津田さんが公務で遅れざるを得なくなってしまったために独立して先に報告しました。振り子を使って力学的エネルギー保存則を定量的に計測する実験です。

振り子を使った実験なら、レールの弱点である転がり摩擦や回転によるエネルギーのロスが少ないため、より理想的な状態を作って実験することができます。

いままでは振り子の最上部での位置エネルギーを計算で求め、最下点の運動エネルギーをビースピを使って求めてその差がほとんどないことを確認していました。しかし、途中の「運動エネルギー + 位置エネルギー」が同じになることはお話しで終わらせていたため、摩擦がなければ力学的エネルギーは常に同じになることを実験で確かめたとはいえませんでした。

今回は ①ビースピに発泡スチロールをかませて厚みをつけてゴム磁石を貼り付けたこと ②振り子の支点と振り始めの位置を黒板と平行にする方法 の2点の工夫をしたために中間のエネルギーの大きさも測れるようになりました。

公民館の黒板で実際にやってみると、まずまずの数字がでましたが、学校の黒板は方眼が書かれているなど比較的セッティングが容易なため、さらに良い精度で求めることができます。公民館の移動黒板は傾いていたため、すんなりとはいきませんでした。

鷹取さんから、障害物となる棒の太さは細いほうが良いのではないかという意見がありました。阿久津さんは箔検電器の芯棒があったので利用していたそうです。


3.地震の授業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・吉村さん

私が「地震は破壊である」という言葉を初めて聞いたのは、阪神淡路大震災のあとの大阪大会でのことで、嘴本さんがおっしゃられていたと記憶しています。その言葉通り、吉村さんは実際に自費で購入した(30000円くらい?)油圧式の12トンプレス機を教室に持ち込み、煉瓦や砥石を砕く実践をしています。片手で持てる程度の小さな石を砕くだけでこれだけ大きな力が必要なのだから、数十km(東北地方太平洋沖地震では数百km)にわたって破壊が起こるために必要なエネルギーについてイメージができる実践だと思います。生徒からもそのような感想が寄せられています。自費で買うかどうかは別にして、各校に1つあっても良い機材だと思いました。

岩盤が破壊されるときには様々な形でエネルギーが放出されますが、実際の地震では音はなかなか聞こえません。しかし、鷹取さんから、長野県松代での群発地震の際には「ドン!」という音が聞こえたという例があることを教えてはどうか、との提案がありました。

液状化に関して、吉村さんは「土砂が水と一緒に液体として振舞う」ことを理解してほしかったそうなのですが、生徒たちのノートからは「砂が噴出す」とか「マンホールが上がる」などの現象面だけを捉えた記述が多かったと反省していました。現象が派手なだけに、どのような方法で液状化を教材化するかは今後の課題です。

地震計は振り子で不動点を作る構造になっています。吉村さんは測量用の錘を使って単振り子を作っていましたが、小川さんからバネ振り子も見せても良いのではないか、という意見が出されました。


4.力学的エネルギー保存の法則の実践記録 ・・・・・・・・・・・・・・・津田さん

1月例会報告していただいたプランの実践記録です。

個人的にまずびっくりしたのは工作精度の高さでした。ベニヤ板をレーザー加工機で切断してもらったものにコードを隠すモールを打ち付けてレールにしたのだそうです。切断面からはまだ焦げた匂いがしていました。

実践記録はこの装置を使った1時間分の授業を録音し、丁寧に起こしたものでした。授業記録からは授業の様子が伝わってきて、検討することで様々なことが見えてきます。時間の制約もあり短時間で報告していただき、その後討論になりました。

議論の中心は「レールとボールとの摩擦について」と「エネルギー変換」についてでした。

レールとボールとの間には摩擦があるため、どうしても同じ高さまでは上りません。津田さんはそれを前提にしてレールが途中でなくなった場合にどの高さまで上昇するかを問うています。それに対し「摩擦を考えなくて良い振り子のほうがよいのではないか」「ボールとレールの組み合わせで摩擦が少ないものを探してはどうか」「レールが半円状だが、もっと緩やかな曲線にしてはどうか」などの意見が出されました。また、飲み会のあと堀さんから「ドライアイスではどうか」という意見がありました。

エネルギーの移り変わりについては、授業の最後に「エネルギーの移り変わりについて説明しなさい。」などとしてはどうか、という意見がありました。津田さんも考えさせたいとは試みているようですか、公式を与えられて数字を入れて解くことを訓練されている生徒たちなので、少しずつ考えるように変化しているものの、まだまだ難しそうというお答えでした。それに対して新採1年目の高校の授業でこれだけ生徒が発言していれば、今の段階では十分ではないかという発言もありました。