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2014年11月へ

日 時:2015年1月23日(金)19:00~21:45

場 所:国分寺市本多公民館

参加者:阿久津・小川・菊地・岸・鈴木(ま)・鷹取・高橋・津田・手塚・町田・堀(記録)


0.当日の配布物

A.「被災地発 “釜石の奇跡”の陰で」(東京新聞/2014.11.19)

B.「不屈の詩 高知・窪川原発を阻止」(東京新聞/2015.1.1)

C.「伝言 1944年12月昭和東南海地震」(東京新聞/2014.12.24)

…………………………………………堀 雅敏

 「東京新聞」の3つの記事紹介です。

 Aは、3.11の大津波から避難して自らの命を守った釜石東中学校と鵜住居小学校の子どもたちが“釜石の奇跡”とたたえられる一方、鵜住居小学校の事務職員だった木村タカ子さんが、保護者対応で学校に残り、犠牲になったことを伝えています。

 Bは、高知県窪川町(現・四万十町)で1980年6月に持ち上がった原発誘致に当初から反対し、孤立・いやがらせ・脅しを恐れず、周囲に警鐘を鳴らし続けた島岡幹夫さんを取材、貴重な教訓を学ぼうという記事です。

 Cは、太平洋戦争中の1944年12月7日に起きた昭和東南海地震についての記事です。大きな地震なのに国は情報統制し、新聞やラジオで詳しく報道されなかったために被災者に支援が届かなかったことなどを、証言や写真をもとに伝えています。


1.実践報告「地形をイメージしながら玉川上水と恋ヶ窪分水を見る」

………………鈴木 まき子

 全体で26時間の授業を「地形の学習」、「玉川上水」、「玉川上水と分水をつなぐ」の3部に分け、4年の担任と一緒に学習を進めた報告でした。鈴木さんは「玉川上水と分水をつなぐ」の部分を、中心的に授業されたそうです。

 1万分の1地形図などを参考に作成した大きな地形模型、ご自身の撮影した写真や、鷹取さん作成のビデオ映像などを教材に、「立体地形図を見て、どんなところを流れていると言えるか」「恋ヶ窪分水の水路を実際に歩いて確認しよう」「国分寺分水と恋ヶ窪分水ができて人々の暮らしはどのように変わったか」を目標として授業をされたということです。

 「地形の学習」、「玉川上水」の部分は担任教師が主導したそうで、鈴木さんの意図がうまく伝わらない場面もあったそうですが、坂図や等高線の学習、立体模型を作ったことはその後の授業に生きたと実感できたようです。また、ビデオと写真、フィールドワークで学習内容がよくわかったようだとのことでした。ただ、恋ヶ窪分水ができてからの人々の暮らしの変化については、実際にはそれほど変わったわけではなく、4年生にどこまで捉えさせたらいいのかは課題だということです。

 町田さんからの「児童がわかったのは何?」との質問には、「傾斜がわかった」。さらに「尾根筋については?」との質問には、「子どもたちには、用意した地図に流路を描き込ませることもさせたが、尾根筋や谷筋がわかったかどうかはわからない」とのことでした。

 ここで鷹取さんは、「立体模型にテープで玉川上水を表しているが、そのテープの延長線上から見させるのが大事。玉川上水は尾根筋を流れていて、そこが一番高い。左右に低くなっていることがわかる」と指摘されました。鈴木さんによれば「それは見せた。子どもが多いので、その時どの程度把握できたかはわからない。教室に置いておいて、いつでも見ることができるようにさせた」とのことでした。

 続く鷹取さんの、「羽村の取水堰から四谷大木戸までの全部が尾根筋であることの確認はしているのか」との質問には、「なんとなく担任の方からも話している。子どもも使っているが、ストンと落ちているかどうかはわからない」とのことでした。

 阿久津さんからは、「立体地形図を使って、平面の地形図もわかるようになったのか」との質問がありました。「目的としては、そこまでやっていない。立体地図と見比べることにより、尾根筋についてはわかったのではないか。また、東京都が平面ではなく立体になっていることや、川の流れなどについては理解できたと思う」とのことでした。

 菊地さんからは、「言葉での説明で終わらせるのではなく、写真や地図などの資料を豊富に用意しているのが大切だと思った」との感想と同時に、「玉川上水は尾根筋を流れているということだが、例えば立川断層のところなどでは迂回していて、まっすぐではないのではないか」との指摘がありました。これについて鷹取さんからは、「できるだけまっすぐになるようにつくっている」との話がありました。


2.教材研究「内包量を量として教える(混み具合、密度、速さ)」

………………阿久津 嘉孝

 科教協東京支部冬の研究集会で提案される内容についての事前検討です。

 子どもたちは体感として速さは知っていても、算数で学ぶ速さは別物で、刻々と変化する速さを一定のものという条件で〔速さ=道のり÷時間〕(第一用法)で定義していくのは無理があると思ったそうです。そこでまずは内包量の意味から入り、その表し方として第一用法を教えるのがいいのではないかと、プランを考えたということです。

 鷹取さんからは、「中学生の場合、速さについては<道のり÷時間>だけでなく、<時間÷道のり>も思いつく。5秒で10m走ったとか、10m走ったとき5秒かかったとか。どっちでも速さ。ここで1あたり量を教えられる。東京書籍の教科書では、7時発の電車の混み具合を1216人÷8=152人としているが、数教協ではこの場合、1216人÷8両=152人/両と、単位記号を書かせる。なくていいと思っているか、どうか」と質問がありました。阿久津さんの答えは、「単位記号をつけてやっている。ただ、“両”というような枠がなくても、混み具合はある。そこから入りたい」というものでした。

 鷹取さんは、「80km/時を、“80㌔は80㌔”という子もいるかもしれないが、“1時間に80km走ること”という子もいるはず。そこで1分間には、1秒間には、という流れの指導があるはず。瞬間の速度という概念をどうやって教えるか」との意見。阿久津さんは、「“1時間に80km走ること”という子は、あまりいない。瞬間の速度については、速さの概念があればいいが、私生活での速さと、こうした物理量とは違うものと思っている」と、京王線のスピードメーターの変化を撮影したビデオを教材とした授業の意図を説明。

 小川さんからは、「はじめに混み具合の写真を見せるのはいいなと思った。それと同じことで、最初にS-tグラフがいるのではないか」との意見がありました。阿久津さんは、「子どもたちを見ていると、わかりにくいようだった。思い切ってS-tグラフはやらなかった。『理科教室』2015年2月号の“瞬間の速度の定義”は、言っているだけ」。鷹取さんによれば、「数教協でも瞬間の速さをどうするかの検討があり、1966年の後の『数学教室』を調べてみると、書いてあると思う」とのことでした。

 菊地さんは、「生徒の様子を見ながらやっているのは大切なことで、グラフの説明などなるほどと思った」との感想でした。最後に小川さんから、「日常感覚にこだわりすぎているのではないか。最初は単位なしでやれば、わり算でやった量とは思わない。vと2vなら2倍速さが違うと捉える」との意見があり、阿久津さんは「なるほど。参考にしたい」と答えがありました。


============■キーワード■============

【外延量・内包量】

 量─┬分離量                     ┌度┐

   └連続量─┬外延量(長さ・体積・質量・時間など) ┌率┐

        └内包量(密度・濃度・温度・速度など)─┼倍┼─割合

【外延量の4段階指導】                 └比┘

 直接比較→間接比較→個別単位→普遍単位

【度の三用法】(速度を例に)

 第一用法――長さ÷時間=速度

 第二用法――速度×時間=長さ

 第三用法――長さ÷速度=時間

※遠山啓著作集数学教育論シリーズ5『量とは何かⅠ内包量・外延量』(太郎次郎社/1978年)

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3.『理科教室』を読んで「『理科教室』2014年12月号2015年1月号

………………町田 智朗

 12月号と1月号の、多くの記事についての感想でした。鷹取さんからは、「一つの号に絞るべき」との意見。さらに、「12月号、鈴木邦夫さんの今月の授業“大地の変化”は1月号の特集記事とダブっているし、授業の一番大事なところが書かれていない。八田敦史さんのも同じで『理科教室』には出ておらず、“ホームページを見てください”となっている。誌面でしっかり読んでみたい」、鈴木まき子さんからは、「12月号で三上周治さんは荒れたクラスを受け持ったことを書いているが、民主的な学習集団をつくり、民主的な運営を学級の中で貫徹しなければならない。その前提がないとだめで、どこかで話すべきだろう」との感想が出されました。