10月例会報告
 

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日 時:2018年10月26日(金)19:10~21:45

場 所:国分寺市本多公民館


1.実践報告「高1物理基礎『加速度運動とvーtグラフ』」

  1.  転勤先の勤務校は“アクティブ・ラーニング”の研究校だということで、町田さんが理科の分野で公開授業をやることになったそうです。その授業ビデオを見ながらの報告でした。

  2.  生徒は、「力」「速度」「加速度」が分化していないということで、この3つを表す矢印を区別するようにし、授業の流れも「鉛直投げ上げ」の前に「進行方向と逆向きに力が加わり続ける運動」を学ばせたいとのことです。ところがいままでの実験機器では困難な実験のためできずにいたのですがICT機器の進歩で可能になった、というのが今回報告のあった授業でした。

  3.  小テストの後前時の学習を振り返り、実験に使う力学台車(スマートカート:島津理化)の説明に入りました。まずは等速度運動を見せましたが、途中からやや右下がりのグラフとなります。これは摩擦のためであることを説明。その後、進行方向と同じ向きに断続的に押して、グラフが登り坂の階段状になること、進行方向と逆向きに断続的に押して、グラフが下り坂の階段状になることを確認しました。

  4.  そして、<力学台車を進行方向と逆向きに引き続ける。v-tグラフはどうなるか>という課題を出しました。各自に自分の考えを書かせた後、班ごとに意見をまとめさせて発表していきました。

  5.  「見当がつかない」という班はなかったので出た意見をグループ分けすると、下図の4つになりました。話し合いの後実験をして確かめ、Dが正解であると分かりました。


  6. (グラフのは手を離したところ、〇は一番左に来たところ)

  7.  実践報告の後の話し合いで重さについて質問がありましたが、「台車が500g、おもりが50g」だということです。授業の最初に行った等速度運動のグラフについて「なぜ傾きが違うのか」との質問もありました。「摩擦力が逆になるから」だということで、これについては「シリコングリスを塗るといいのではないか」「レールを使うとだいじょうぶ」「ちょっと難しいが、滑走台を使って超音波で測定すれば」などの意見が出されました。

  8.  また、「黒板に書くときに手を離したところからグラフを書いて説明しているが、やはり原点、スタートから書き始めるべきではないか」との意見も出されました。

  9.  その“手を離したところ”が、「実験でもはっきりとは分からない」との指摘がありました。「無線ではなくて有線で超音波を使えば、リアルタイムでわかる」とのことです。

  10.  「速度にマイナスがあるというのはこの前にやっているのか」という質問には、「やっていない。直線になるということは前時にやっているが…。」とのことで、「グラフの形にこだわってしまった。速度にマイナスがあるかとか、手を離れても力が残っているかなど視点を絞って討論を組織すべきだったかも」と振り返っていました。

  11.  この“マイナスの速度”については、「先にv-tグラフのところでやってはどうか」「これだけの内容を、1時間の授業では難しいのでは?」などの意見が出されました。町田さんは、「来年度に向けては、階段状のグラフになる断続的に押す運動→右肩上がりの直線状のグラフになる等加速度直線運動→今回の課題という順番で授業を組むといいかな」と、見通しを持ったようです。「加速度は難しい」「高校卒業までにv=v0+atだけわかればいいのでは」との話もありました。


2.『理科教室』を読んで「『理科教室』10月号」

  1.  「〔大地のつくり 地層と地形と流水のはたらきが一目でわかる〕を書いたが、欄外の“参考”に誤植があり、11月号で訂正してもらった」との話があり、その後特集記事の話に入りました。

  2.  「特集〔もっと微生物を活かそう〕はおもしろかったが、難しかった」とのことでした。それでも(シアノバクテリアって何?)と思うとネット検索をし、(土壌層位の順番がよく分からないな)と思うと関連書籍を取り出して調べたり、文章だけでは理解できないと感じて自宅にあったうがい薬と米麹で造った甘酒を使って消化実験をしてみたりと、大変アクティブな読書報告でした。「小学校の教員の中には、ヨウ素液を薄めないで使っている人もいる」との問題点も話されました。

  3.  小川 郁さんからは、「イシクラゲは学校のあちこちで見られる。ワカメが捨ててあるなという感じ。生物基礎によく出てきて、だれでも細胞が見える」「リグニンはバニラエッセンスの材料になる。リグニンを分解する微生物がいなかった頃、植物は腐りにくく、みんな石炭になっていった」など、興味深い話も聞けました。