11月例会報告
 

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日 時:平成30年11月30日(金)18:30~21:45

場 所:国分寺市本多公民館



1.岩間商店実験器具紹介と販売

  1.   岩手から岩間さんが参加されました。いつものように様々な実験器具をお持ちになりました。

  2.  比較的新しいものとして、核分裂立体説明器を、まず紹介されました。直径25mmの発泡スチロール球に、水性ペンキで赤く色をつけたものを陽子、色をつけていないものを中性子に見立て、赤92個白146個をポリ袋に入れて丸くします。これを238U原子核とみたてます。袋の真ん中をつまんで、適当に2つに分けて、それぞれを丸くします。これが、分裂後の原子核だそうです。とのような核種ができるかは偶然で、実に様々な原子核ができることを示せます。欲をいえば、袋の中から白(中性子)が2~3個取り出せるようにできると、連鎖反応の話までできるので、よりよいと感じました。

  3.  続いて、以前からある空気の重さ測定実験機(ペットボトルの蓋にバイクや自転車の空気バルブをつけたもの)にダイソーで販売している216円の空気入れで空気を入れて、中の様子の変化(発泡スチロールが縮むとか、密閉された注射器の中の空気が押し縮められるとか)を観察し、力の単位N体感器など、岩間商店定番商品が販売されました。



2.重力波望遠鏡KAGRA見学

  1.  11月17日(土)の見学会に、町田さんと久富さんが参加されました。構造はマイケルソン干渉計で、普通のものよりハーフミラー(半分の光を反射し、もう半分は透過する鏡)を3枚追加して距離を稼ぐ構造になっているそうです。光源から進む軸をX軸(Xアーム)それと直角に進み軸をY軸(Yアーム)として、光源からの光線と45°傾いているハーフミラーに当たった光は、X方向とY方向に直角方向に分けられます。普通の干渉計は終点の鏡(これはハーフミラーではありません)から戻ってきた光が再び45°傾いたハーフミラーに当たり、Y方向から透過した光とX方向から反射してきた光の位相差(2つの光波の山と山のズレ)を測ります。光が走る距離が長ければ長いほど、精度が高まります。KAGRAはXアームもYアームも3km程度しかない(そうはいっても結構な距離なので、構内の移動は自転車を利用するそうですが)ので、Xアーム上に光線と直角に1枚、Yアーム上にこれも光線と直角に2枚の鏡を入れて、終点の鏡と多数回往復させることにより距離を伸ばして、精度を上げるそうです。位相を合わせておいて、そこに重力波が来たら空間が歪んで、位相差が観測されるだろうということのようです。このまとめを書いている今、Yアームの観測装置側にあるハーフミラーがどのような働きをしているのかわからなくなりました。

  2.  例会で出された疑問で、ハーフミラーはAlの単結晶だと説明があったそうですが、それでは金属ではないか?というものがありました。材質の名称はサファイアガラスというそうなので、インターネットで調べたら酸化アルミニウムAl2O3だそうです(出典小学館日本大百科全書)。Alのわけはないものね。しかし、テルミットで鉄から酸素をはがしたあとに残る、あのかすみたいのが鏡になるとは、それも不思議です。

  3.  ほかの工夫としては、熱雑音を減らすために鏡は液体Heで冷却し、振動を抑えるために鏡は吊ってあるそうです。でも、何も知らない普通の人が見たら、ただの工事現場にしか見えないそうです。



3.仕事とエネルギー

  1.  全8時間の授業プランと今年度の実践報告。例会当日行われた8時間目の授業日ビデオもありましたが。それを検討するのは次回以降回しになりました。

  2.  一通り報告があったあと、まず話題になったことは、仕事の定義について。久富さんが授業で定義したときは“引っ張った距離”という表現だったそうです。それに対して町田さんより、力と力を受けた向きに進んだ距離であることを明確にしておかないと、振り子の糸に引っ張られておもりが仕事をされてしまうと考えられてしまうのではないか、としてきがありました。町田さんは、摩擦がない面に置かれた物体に水平方向のい力を加えたときに、物体が受ける縦方向の力(重力と垂直抗力)も書いて、これらの力の向きには動かないので、これらの力には仕事をされないと、確認しているそうです。大事なことかもしれません。

  3.  岩間さんからは4時間目の授業について、速さを2倍にするために高さが4倍のところから球を転がすのはよくないと指摘がありました。高さが4倍だから、仕事が4倍でいいではないか?。久富さんは高さが4倍とは言っていないようですが、生徒からは見えてしまいます。私も同感で、斜面を見せない工夫がある方がよいと感じました。

  4.  残りの時間で課題提示の仕方を話題にしました。1時間目で、力の大きさと引っ張る長さ両方を考えさせるのは難しくないかと、町田さんから意見が出ました。町田さんは、動滑車を使った時に力が半分になることは見せてしまって、長さだけを課題にしているそうです。子どもが考えやすくするためには、そのほうがよいかもしれません。岩間さんからは、この実験は体育館で体感できるようにやるべきだとのご意見をいただきました。猫車の車輪が、滑車として使えるそうです。

  5.  私は2時間目の課題で、どれが一番楽に持ち上げるか?と聞いているのですが、楽という意味が人によって変わってくるのでよくないと、批判されました。そうだとは思いますが、“ものを持ち上げる時に仕事で得をすることができない”というのが、仕事という量を考えた発端だと思うので、大事だとは思うのですが…。

  6.  森脇さんから、8時間目の振り子の実験で、途中にカッターを置いて糸を切る課題や、力学的エネルギー実験器(高いところと低いところを、小球が競争する装置)の課題、定力走地で力学台車を水平に引く場合と斜面に沿って引く場合の違いを問う課題の紹介がありました。



2.『理科教室』を読んで「『理科教室』11月号」

  1.  時間が押してきて、短時間の検討になりました。口絵について、いつも話題になりますが、写真が多すぎて配列もよくない。もっと整理した掲載を望みます。口絵だけではなく、全体に編集が雑ではないかという意見。写真や図には番号をつけるべきだし、ほかの文献からの引用に出典が明記されていないなど、見にくいだけではなく重要な問題もはらんでいます。最近依頼された原稿の依頼状を再度確認したところ、図版に番号を付けるようには書かれていませんでした。また、転載については著作権者に執筆者が了解をとるように依頼されていますが、出典を必ず明らかにするように、とは書かれていません。編集部が、もうすこし細かいところまで依頼する必要があるかもしれません。