4月例会報告
 

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日 時:2018年4月27日(金)19:00~21:45

場 所:国分寺市本多公民館


1.実践報告「中1最後の授業で、ビデオ<津波被災地・鵜住居町を歩く>を見る」……… 小川

  1.  みなさんが集まるまでの間、“エキジョッカー”の紹介がありました。砂とマップピンをペットボトルに入れて水で満たしたもので、軽く振動を与えるとマップピンが砂の中から現れてきます。地震の際の、液状化現象のモデル実験装置です。

  2.  「大地の変化」という単元の中の「地震と災害」についての報告でした。

  3.  以前受けた講習で「“地震”ではなく、“地震動”といわなければならない」ということや、地震計の仕組みについて学んだそうです。その“地震動”について、兵庫県南部地震(1995年)と東北地方太平洋沖地震(2011年)の地震動の比較を取り上げたそうです。震央とその周辺の揺れの強さと深さ、ある地点の震度と揺れの継続時間などの図版、倒立振り子で周期の長さによって高さの違う建物の揺れ方の違い(会場で実際に演示)などで、内陸型地震と海溝型地震の違いを示したそうです。

  4.  兵庫県南部地震では揺れの時間は短いものの激しく複雑な揺れの様子を3次元的に表した図を示したり、東北地方太平洋地震では津波が発生したので、私(堀)が現地で撮影して編集したビデオを見せたりしたそうです。特に釜石市鵜住居地区のビデオは、地震の後すぐに高台目指して走る釜石東中学校生徒の避難行動は意識して見せたということです。それは、中学生に見せることを考え、<全員が助かっていること><同じ中学生が主人公で身近であること>を考慮してのことだそうです。


  5. 鷹 取:よく“大地”という言葉を使うが、大地=地球と捉えたい。図版に“震央距離”とあるが、地震動が物理的にどう伝わるかを、どう教えたか。

  6. 小 川:地殻が2.8g/cm3、マントルが3.3 g/cm3など、密度は教えた。また、学校のボーリング資料やN値の出し方の説明はした。

  7. 鷹 取:生徒に見せるビデオは、どれがいいか。『東日本大震災の記録』の「南三陸町」は、高台からの撮影で、津波の個性が分かるのではないか。


  8. このDVD『東日本大震災の記録~3.11 宮城~』TBC 東北放送/1800円+税)の「南三陸町」は、志津川中学校に避難した住民が撮影ビデオで、以前サークルで紹介したことがあります。サイレンが響き、防災対策庁舎で殉職した町職員のうち、危機管理課の遠藤未希さんと上司の三浦毅さんが交代で避難を呼びかけるアナウンスが続きます。やがて志津川湾の異変が起き、八幡川を津波が遡ります。サイレンとアナウンスが消え、破壊される民家、マイクロバスが、かろうじて津波を振り切って高台へ逃れる頃には海水が谷を埋めて渦巻きます。最後に激しい引き波と、その様子を声もなく見つめて立ち尽くす住民が映されています。

  9. 鈴木さんからは、「釜石の子どもたちは高台に逃げて助かった。石巻の大川小学校ではなぜ逃げずに多くの犠牲を出したのか」との疑問が出されました。鷹取さんからは、「釜石の場合、地震・津波に対する科学的な認識があったからではないか」との指摘がありました。

  10. 釜石市では防災マップづくりや地形模型を使った浸水実験などを含めた津波についての学習が震災以前から行われ、被害想定もあくまで“想定”なので「想定を信じるな」「どんなときも最善を尽くせ」「率先避難者たれ」ということを学んでいました。また、学習とリンクした避難訓練も実施されていました。だから、釜石の子どもたちは“釜石の奇跡”といわれることに違和感を覚え、「奇跡ではない」と語っています。

  11. 大川小学校ではいろんな問題が混在していますが、真実を明らかにするには生き延びた子どもたちの証言のほかに、唯一助かった地元を知る教師の証言が必要だと思います。


2.授業プラン&実践報告「原子核と放射線」 ………………… 町田

  1.  「原子核が変化するときは放射線が放出され、化学変化に比べ桁違いに大きなエネルギーの出入りがある」という到達目標を掲げた高校2年・物理基礎の報告です。

  2.  2~3時間目の「原子核の崩壊と放射線」で、放射線や放射性物質、放射能などを(わかりやすく)と思いカレーに例えて説明したところ、「先生。カレーは放射線を出すんですか?」とまじめに質問されたという苦労話や、7時間目の「原子核・放射線の利用と問題点」はうまく実践できておらず、お話だけで終わってしまったという悩みも語られました。

  3.  私自身が(なるほど!)と思ったのは、「原子力発電や原子爆弾は“原子”ではなく、原子“核”分裂によって取り出したエネルギーを利用していますから、正しくは“原子核エネルギー”“原子核発電”“原子核爆弾”と呼ぶべきだと考えます」という部分です。これは生徒にも伝えているそうですが、本質的な表現だと思いました。

  4.  時間確保の難しさもあり、「他教科ではあるが、社会科だとか、同じ理科でも生物などにお願いできる内容もあるのではないか」という話も出ましたが、なかなか難しいようです。放射線の有害性についても、例えば生物濃縮の学習で取り上げられることも考えられますが、実際には入試前の3年生で用語だけ扱うような状況のようです。中学校では、会社によっては出ていない教科書もあるものの、中には詳しく書かれているものもあるようですが。また、「放射線医療とか品種改良などは、どこに入れるかというとやはり生物になるのではないか」という意見も出ました。

  5.  他教科が難しければどこを削るかということになると、やはり最後の部分かな、との話が出ました。ただ町田さんからは、「この部分、調べさせるとネット情報をそのまま答えるのが問題だが、今回原子核発電にについて“デメリットの解決方法はない”と初めて出てきた」と出されました。これについて、「デメリットはあるけれども、メリットはないよね」という感想も出されました。また、「調べさせるのであれば、発表させないといけない」との意見もありましたが、時間がないようです。「かつては原爆も一緒に教えていた。そういう意味では、原子核爆弾をアプローチするのがいいかもしれない」との意見も出ました。

  6.  町田さんからは、「霧箱の実験を見せたいが、常温で使える霧箱は40万円くらいと高い」と話が出されました。これについて小川さんからは、「常温にこだわらなくても、ドライアイスを使えばいいのではないか。毎日買いに行かなくても、10kg5000円くらいで、3日くらいは持つ。」との意見がありました。


3.科学工作「音をつくろう!」 ………………………………… 堀

  1.  2種類の紙笛、ストロー笛、ストロー笛ラッパ、ストロンボーンをつくって音を出し、振動を確認しました。

  2.  みんなうまくできましたが、ストロンボーンのとき、町田さんと小川さんから「あれっ?音が変わらない!」との声。何かの拍子で音の高さが変わらないことがあるようです。小川さんからは、「2本のストローのすき間から空気が抜けている。直径の近いものにするといい」との提案がありました。

  3.  極端に細いものや、極端に太いものは見たことがありますが、普通の太さのストローでどれだけのバリエーションがあるのか、家の近くの100円ショップに行ってみました。すると、4mm、4.5mm、5mm、6mmの太さのものがありました。これらのうち、直径の近いもの2種でつくるといいようです。改良に向けて、いい経験となりました。


4.『理科教室』を読んで「『理科教室』4月号」……………………………… 参加者

  1.   ほとんど話し合う時間がなくなってしまいました。一つだけ、鈴木さんから「5月号に原稿を書いたが、ミスがあった。編集部に問い合わせると、体制的になかなか大変なようだ。“厳しく指摘してほしい”と言われた」との話がありました。